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『通知表廃止』という選択

神奈川県茅ヶ崎市立香川小学校では2020年度から通知表が廃止をされています。廃止に至るまでの経緯や廃止後2年が経過した現状についてまとめたレポートを読んで、これはとてもいい取り組みだと感じました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/51e43687db94a9221c343063135da19a94f076a8

一般の学校では学期末の風物詩ともいえる通知表を手渡す風景は、今も昔もあまり変わりません。担任の先生から受け取った通知表をこっそり開いて、満足そうな表情を浮かべたり、残念がったり、まさに悲喜こもごも。大学生になった私の息子の通知表(?)も学校から送られてくるなど、学校にとっての通知表とは、あって当たり前の存在で、それを廃止したというのですから、興味がわきました。

記事を読んで、まず私が「いいな」と思ったのは、廃止に至るまでのプロセスです。
通知表は、校長の裁量で内容を変えたり、廃止することも可能であることを再認識しましたが、同小では、廃止の方針を校長のトップダウンで決めたのではなく、校長からの問題提起を、教員同士で約2年かけて議論し、結論を導き出しています。校長は、問題提起してからは、基本的にその議論を静かに見守り続けました。校長も含め教員には人事異動が伴うため、赴任期間中に目に見える実績を上げようと躍起になりがちですが、2年もの時間をかけて検討することは、簡単なようでなかなかできることではありません。

通知表をなくすことに対しては、教員だけでなく、子どもたちや保護者たちからもさまざまな声が挙がったようです。その一例として、「通知表のように紙で残るものを作ってほしい」との保護者からの声に対しては、『自己評価シート』を子どもたち自身に書かせるようにして、半年間の学習を自ら振り返るようにしました。子どもたちにしてみれば振り返りを言語化することは簡単ではなく、教員にしてみれば、その振り返りに一つひとつコメントすることは通知表を作成するよりもかえって負担になるともいえるでしょう。

ただ、通知表をやめたことで、教員だけでなく保護者も、子どもの変化や成長にじっくりと向き合おうとする意識が高まったことは、間違いありません。単なるランク分けでは、三者三様の意識改革までは行き着かなかったでしょう。学習の習熟度や達成度はテストの結果で把握できます。「子どもがどれだけ伸びたのか、伸びていないとするなら何が原因なのか」—教育の基本に立ち返るきっかけが通知表の廃止だったのだと理解しました。

こうして紹介しながらも、やはり素晴らしい取り組みだと思います。私がそう感じたように、多くの人たちもそのように感じられるかもしれません。香川小学校のチャレンジが全国に広がる可能性も大いにあると思っています。ただ、心配なのは、ただ止めればいいというものではないので、まかり間違っても、国が「通知表廃止の方針」など打ち出さないでほしいということ。右へ倣えでやれるものではありませんし、拙速すぎれば成果は上がりません。

教育は100年の計ともいわれます。外国語教育の低年齢化やギガスクール構想など、時代の変化に対応することも大事でしょうが、人を育てることに関してはじっくりと着実に取り組んでほしいと願うばかりです。

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