『見えないつながりとともに(仮)』#2
◀︎『見えないつながりとともに(仮)』#1
「こちらサーシャ。噴水広場で迷子っぽい女の子を見つけた。」
9体の分身体たちとのコミュニケーションは、念話のように他人に聞かれることはない。
みんな同じ声なので、誰が話しているかわからない。なので、最初に「こちら◯◯」というようにはじめに名乗ることが自然に定着していった。
サーシャは近くで女の子の様子を見守りながら、他の分身体は、女の子の保護者らしき人を探し始めた。
分身体は常に隠密スキルを発動しているので、女の子の手をとって保護者を探し歩くわけにはいかなかった。
隠密スキルで街中などを歩くときは、他者から見えないので、こちらで避けなければぶつかってしまう。
馬車などにあたってしまったら、最悪、死亡してしまうかもしれない。見つからないのも結構大変ということだ。
使いはじめた頃は、人の肩や荷車にぶつかって、よく青あざをつくっていた。けれど今では、隠密で街を歩くことも、息をするのと同じくらい自然になっている。
「こちらバブル。みんな、いつものようにお願いね!」と授業を受けながら念話で伝えた。
ちなみに、9体の分身体の名前は、今はこんな感じで、落ち着いている。
バブル1号 → イチカ
バブル2号 → ニーナ
バブル3号 → サーシャ
バブル4号 → シオン
バブル5号 → ココ
バブル6号 → ムツミ
バブル7号 → ナナ
バブル8号 → ヤエ
バブル9号 → クオン
迷子の対応などは、みんなの日常的なイベントなので、動きに澱みはない。今回も、無事お母さんに会うことができた。
「こちらナナ。市場のあたりで、子供を探し回っている母親を発見。噴水広場に誘導します。」
といっても、手を引いていくことは出来ないので、子供を探している母親の近くの雑踏に紛れて、母親に聞こえるような声で「噴水の近くで、迷子の女の子がいたらしいよ」と声を発した。
姿は透明のままだ。近くにいた人は、誰が声の主なのか、キョロキョロしていたが、母親らしき人は、噴水の方に走り出した。
その日は、落とし物が数件と猫に顔を引っ掻かれてる執事風の人がいたりしたぐらいで、特に大きな事件はなさそうだった。
そのとき、ニーナが切り出しにくそうに、
「また、モーリスさんが落とし物を届けずに持ち帰って、お金を抜き取っていたんだよね…。どうしようか…。」

※ featuring シンフォニム「秘密を知るとき」
「秘密、隠密、親密」
※ このオリジナル創作小説の世界観から、Sunoで生成した楽曲です。
それぞれのことばが、
迷いながら創るあなたの、小さな創作のヒントでありますように。
#創作のヒント
#思考のヒント
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Photo: Unsplash
(c) s.f.出版
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