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「意味」の連なり

[1] 『鍵の言葉』

  「意味」

  『意味のない地図』 #1

[2] 『創作の断片』

  「忘れたくない夢」

 1.「意味」の「意味の香り」
 (参考)
 1. 「意味」の「赤の記憶」
 1. 「意味」の「青の記憶」
 1. 「意味」の「緑の記憶」

[3]『詩のない詩』

  静けさを揺らすとき:
   こころの軸「情、知、意」
   →
   静かなざわめき
   「ざわめき、意味、踏み出す」

  『詩のない詩』#1 《静けさを揺らすとき》

[4] 『詩のある詩』

《静けさを揺らすとき》⭐︎

忘れていた夢が ふと胸の奥でふるえた
誰にも言えなかった感触が 波のようにひろがって
その波が まだ名前のない灯りを連れてきて
どうしてか 足元があたたかくなって
私は 理由もわからず 歩きはじめていた

※featuring シンフォニム「ざわめき、意味、踏み出す」
⸻言葉にならないまま、動き出す

《静けさを揺らすとき》 ⭐︎

[5] 『詩(うた)の子供たち』

#1. 《静けさを揺らすとき》

 ルーメリアの城門近く、花壇の陰でしゃがみ込む小さな影があった。旅人は足を止めて膝を折り、やわらかな声で尋ねた。
「どうしたの?」
 顔を上げたのは十歳ほどの少女。瞳は曇り、手には小さな布袋を握っているが、中は空っぽだ。
「……帰る場所があるの。でも、帰り道がわからないの」
 少女は「詩(うた)の国」から来たという。
最近、そこから迷い出た子供たちが、この世界セレシアで見つかっている。港町も砂漠の都も抱える広い大陸で、帰るには“鍵の言葉”を取り戻さなければならないらしい。しかし彼女は、その言葉を忘れてしまっていた。
 旅人は案内役のリュミエと目を合わせ、仲間のアリア、ソルシアに連絡をとった。四人は少女を連れて、言葉の手がかりを探す旅に出た。

 最初に訪れたのは、風の囁く岬。潮風が頬をなで、波の音が胸に響く。
「……あたたかい」少女は小さくつぶやいた。
「波の音が?」とリュミエが首をかしげる。
「ううん、胸の奥が。何か、忘れたくない感じなの」
 旅人は微笑み、その感覚を大事に覚えておくようにと告げた。最初の手がかりは“感触”だった。

 二日目、グランティア港を望む山間にある静かな寺院を訪れる。境内の池に落ち葉が浮かび、風がさざ波を広げている。
 少女は水面をじっと見つめた。
「この感じ……広がっていくもの。波みたいに」
「何かを伝えようとしてるのかもしれないね」旅人がやさしく返す。
「……そうかも。“理由”に近いのかもしれない」
 言葉の輪郭が少しずつ現れていった。

 三日目の夕暮れ、一行はオルミナ諸島の港町へ。祭りの夜、無数の灯籠が空へ放たれる。金色の光が波間を漂い、町を優しく包み込む。
 少女はその光景に見入り、足元から温かさが広がるのを感じた。
「……わかった。わたしが探していたのは、“意味”だったんだ」
 旅人は目を細めて頷く。
「この世界に来た意味、帰る意味、歩き続けた意味……全部がつながったの」
 その瞬間、港の空気が震え、少女の足元から淡い光が広がった。光は輪を描き、やがて大きな門となる。

 門の奥には森と湖が広がり、その中心に文字が浮かび上がる。

忘れていた夢が ふと胸の奥でふるえた
誰にも言えなかった感触が 波のようにひろがって
その波が まだ名前のない灯りを連れてきて
どうしてか 足元があたたかくなって
私は 理由もわからず 歩きはじめていた

 少女は旅人に向かって微笑んだ。
「ありがとう。もう迷わない」
 光に包まれ、少女は門をくぐっていく。その姿が消えたあとも、港には灯籠の明かりが残り、別れの詩を静かに歌っていた。

#1. 《静けさを揺らすとき》




それぞれのことばが、
あなたの創作の入口でありますように。


Photo: Unsplash
(c) s.f.出版

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