【Lil Fovnt #60】マイケルが愛したビートと、俺たちのクエストラブ
現在好評公開中の映画『Michael』。
もう観た人も多いと思うが、自分も例に漏れずあの熱量にあてられて、マイケル熱が全く冷めやまない状態になっている。
その勢いのまま、久々にドキュメンタリー映画『This is it』を見直した。
改めて観ていて、マイケル本人の圧倒的な完璧主義やオーラはもちろんなのだが、今回妙に惹きつけられた存在がいた。
それが、バンドの最後列からマイケルの背中を支え続けていた一人のドラマー、「シュガーフット」ことジョナサン・モフェットだ。
彼はマイケルが絶大な信頼を寄せていた、最高にして最強のライヴ・ドラマーである。
1979年のザ・ジャクソンズのツアーから参加し、『This Is It』に至るまで、マイケルの歴史的なステージのビートは常に彼が叩き出してきた。
「シュガーフット(砂糖の足)」という甘い愛称は、バスドラムを踏む足捌きが信じられないほど速く、正確で、そしてグルーヴに溢れていたことから名付けたものだという。
シンバルを叩いた瞬間に手で掴んで音を止める「シンバル・チョーク」のキレ、そして何よりマイケルのダンスの動きと完全にシンクロするあのビート。
ただのバックミュージシャンを超越した、まさに職人だった。
しかし、ここまで熱く語っておいてなんだが、正直ドラムという楽器そのものにそこまで詳しいわけじゃない。
専門的なテクニックや機材の話をされても、深くは語れない。
ただ、そんな自分にも「この人はヤバい」と無条件で惹かれる、大好きなドラマーがいる。
それが、ヒップホップ・バンド「The Roots(ザ・ルーツ)」のドラマーでありフロントマン、クエストラブ(Questlove)だ。
シュガーフットが「ポップスターを輝かせる究極の職人」だとしたら、クエストラブは完全に「異質な存在」だ。
ドラマーでありながらバンドのリーダーとして前に立ち、DJをこなし、プロデューサーとして数々の名盤を生み出し、音楽の歴史を語らせたら右に出る者はいない歩く辞書。
さらに近年は、アメリカの人気テレビ番組のハウスバンドとしてカルチャーの中枢に位置し続け、ついには映画監督としてオスカーまで獲ってしまう。
もはやドラマーという枠に全く収まっていない。
だが、こんないろんな才能を持つ彼でも、根本にあるのはやはり「ザ・ルーツ」でのビートだ。
様々なジャンルの音楽を吸収し、そこから作り上げられる彼のビートは、まるでサンプラーの「打ち込み」のように正確でタイトなのに、そこには確かな「人間味」がある。
その究極のバランス感覚があるからこそ、ザ・ルーツの音楽は他のヒップホップとも、どのバンドとも違う独特の匂いを放っていて、どうしようもなく魅力を感じてしまう。
彼がドラムキットの前に座り、あのアフロヘアを揺らしてビートを刻み始めた瞬間、その音は誰が聴いても「クエストラブの音」だとわかる。
彼が叩き出すビート自体が、一つの巨大なカルチャーを形成しているのだ。
マイケルのステップを完璧に支えたシュガーフット。
ヒップホップというカルチャーの屋台骨を自ら作り上げているクエストラブ。
ドラムの技術的なことはわからないけれど、彼らが作り出している「空気(Ambiance)」の違いを感じるだけで、音楽はさらに面白くなる。
裏と表の2人のビートメイカー。
そんな彼らの作り出すビートを楽しむ。
Skip Social Studies
Ambiance Maker Ko-Ta
Instagram(nobvl_official、skipsocialstudies)
ちなみに、そんな彼らザ・ルーツが今年の8月から9月にかけて、東京と大阪で待望の来日公演(THE ROOTS Japan Tour 2026)を行うらしい。
自分は行けないと思うけど。
