私の専門-素粒子の閉じ込め-
導入
じゃあお前はなにをやっとんじゃいって話だと思うので簡単に説明します。
素粒子物理学なのはお分かりかと思いますが、その中でもなにをやってるの? って話です。
素粒子とは
素粒子は、この世界を構成する最小単位の粒子のことです。
粒子と言っていますが、文字通り粒状なのか、紐のようなものなのか、それはわかりません。
そして、今素粒子として考えられている粒子が"真の素粒子"かも謎です。
その昔、哲学の時代では火、水、風、土の四元素が"素粒子"でしたし、原子が素粒子の時代もあれば、陽子や中性子などの核子が素粒子だった時代もあります。
素粒子は種類が増えてくると、
最小単位とするには多すぎるな?
というムーブメントが起こり、より小さな単位の"素粒子"の研究へと駆り立てます。
コンピュータープログラムは0と1の集まりですし、生物の特徴はDNAにある4種類の塩基の配列で決まります。
現在考えられている素粒子
では現在考えられている素粒子とはなんでしょう?
(まず前提として、全ての粒子には電気等の性質がひっくり返った反粒子があります。電子に対して陽電子がそれです。自身が反粒子も担っているものもありますが、反粒子まであげると大変なのと、何故か我々の宇宙は粒子だらけで反粒子がほぼいないので省きます。)
① 物質を構成する粒子 原子や原子核から順当に小さくしていくとたどり着く、まさにあらゆるものの素となる粒子です。
(1) クォーク
大まかに性質を分ける"世代"が3世代。それぞれ電荷(どの程度電気を持つか)に$${+\frac{2}{3}e}$$のものと$${-\frac{1}{3}e}$$のものがあって計6種あります。($${-e}$$が電子の電荷です。)
世代1 2 3
+ u c t
- d s b
この6種類です。陽子はuud、中性子はuddの組み合わせです。ちょうど電荷が$${+e}$$とゼロになりますね?
(2)レプトン
クォークと同じく3世代6種類ですが、電荷$${-e}$$のものと、電荷0のニュートリノがあります。
第1世代
電子・電子ニュートリノ
第2世代
ミュー(μ)粒子・ミューニュートリノ
第3世代
タウ(τ)粒子・タウニュートリノ
ニュートリノは電荷がない=電気をスルーするだけでなく、他にも何かとスルーするので、観測するのが不可能ではないものの非常に難しいです。
はい、これでよく知る原子の材料が揃いましたね。
じゃあ他に粒子なんていらないのでは?
と思うかもしれませんが、いるんです。それが次。
②相互作用(力)を媒介する粒子
さて、力ってのは実は運動量の交換です。運動量は速度に質量をかけたもので、外から力が加わらない限り保存します。
力Fを時間tの間加えると、運動量はFtだけ変化します。その間、力を加えた側の運動量も逆向きにFt変化し、全体として運動量を保存します。
これ、順番を替えてみると、時間tの間、力を加えた結果、運動量がΔp変化したとき、加えた力はF=Δp/tですよね。
これが力です。
何かを押したり押されたりするときは接触しているので、直接運動量を交換できます。しかし、世の中には離れていても伝わる力があります。電磁力や重力などです。
このときはどうやって運動量を交換するかというと、直接ぶつかる代わりに粒子を投げ、その粒子のキャッチボールを通して運動量を交換します。
この粒子が相互作用(力)を媒介する粒子です。
(1) ゲージ粒子
なぜゲージ粒子というかというと、理論がゲージ対称性と呼ばれる対称性を持つからです。
ゲージ対称性は私が研究手法としてもろに用いているものですが、今回は研究課題の話で、研究手法にまでは踏み込まないので割愛します。
(a) 電磁相互作用
電磁力を媒介するのは光の粒であるところの
光子
です。
(b) 強い相互作用
原子核が、陽子という+の電気を持った粒子同士がくっついていたり、その陽子や中性子もuやdがくっついていたりと、電磁相互作用の反発力よりも強い力で繋がれていることが伺えます。
これを強い相互作用と呼び、媒介するのは
グルーオン
です。
陽子や中性子はuやdをグルーオンが繋ぐことで成り立っています。
(c) 弱い相互作用
強い相互作用がなぜ"強い"なのか。弱い相互作用もあるからです。これは、第1, 3世代のクォークを相互作用を通して第2世代のクォークにするなどの作用を持ちます。
これを媒介するのは、Zと±のWの計3種の
ウィークボソン
です。
(2) 研究中
先程、離れていても伝わる力に重力があると言いました。
そんな身近な重力ですが、上で挙げた3つの相互作用と性質が大きく異なり、重力波などの痕跡はありますが、まだ研究中の段階です。
これを媒介するのが
重力子(グラビトン)
だと言われています。
③質量の起源とされる粒子
質量を持つ粒子がなぜ質量を持つのか、それは
Higgs粒子
という粒子を伴っているからだとされています。
以上が素粒子標準模型(Standerd Model)と呼ばれる素粒子の種類ですが、この範囲では説明できない現象もあるとされていて、それをBeyond Standard Modelと言います。
主題-素粒子の閉じ込め-
電磁相互作用では、電荷の符号や大きさで引力か反発する力か、またその大きさが決まります。
強い相互作用にも当然同じようなものがあって、カラー(色荷)といいます。
光子は電荷を持たないんですが、どうゆうわけかグルーオンはカラーを持ちます。あとカラーを持つのは当然クォークです。
カラーですが、±の概念(カラー・反カラー)があります。
なぜカラーというのかですが、カラー・反カラーの分類とは別に、r, g, bに対応した3種類ずつがあります。
そして、このカラーを持った粒子は
カラーと反カラーで打ち消し合う$${\text{r}\bar{\text{r}}}$$
や
rgb
のような色でいう白色=無色の組み合わせでしか観測できません。
グルーオンやクォークは1色しか同時に持ちませんから、したがってクォークやグルーオンは1個だけ取り出すということができません。
これを
カラー閉じ込め
と呼び、特にクォークの場合を
クォーク閉じ込め
と呼びます。
クォーク閉じ込めは盛んに研究されていて、最近でも目覚しい発展を遂げています。
しかし、より一般のカラー閉じ込めに関しては、1978年の九後汰一郎先生らによる九後-小嶋カラー閉じ込め判定基準と呼ばれる閉じ込めの十分条件に対して、今でも正しくないだ、成り立たないだと議論されてるくらいには進展がないです。
そこで、
ゲージ対称性という視点から、九後-小嶋カラー閉じ込め判定基準を40年越しにアップデートしてやろう
というのが私の研究テーマです。
実際の研究の様子は、何かをコポコポやるでもなく、PCでひたすら数式書いて、PC上で手計算してます。
LaTeXという文書作成ツールを使うので、pdf化する際にコマンドプロンプトがダーッと流れるのは見れますがね。
まとめ
前回桐生戦兎の専門を議論したので、今回は自分の専門について話してみました。
ちなみに九後汰一郎先生とは何度かお会いしていて、京大へ2週間出向いてみっちり議論したことがある、恩師の1人です。
いずれは究極の方程式と呼ばれる、統一理論にも関わりたいですね。電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用、重力相互作用を1本の式で書き、あらゆる方程式の素となる究極の方程式です。
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