8月の皆既日食、バレンシアの内陸湖に10泊張り付くことに決めた理由
皆さんおはようございます。6月23日、火曜日を迎えました。 今朝のバレンシアの空も、相変わらず非の打ち所のない見事な青さに包まれています。
ここ数日のあいだ、僕の頭の何パーセントかを占領して、悩ませ続けていたひとつの問題が、昨夜ついに解決を迎えました。
今年の8月12日、スペインの空で起こる「夕暮れの皆既日食」を、一体どのポイントで迎えるべきか。そのロケーションの選定と、トルコへの航空券を含めた後半戦の移動計画が、ようやく確定したのです。
日食に関しては、結論から言うと、静かな場所を選ぶことにしました。
当初、一番条件が良いとされていたイビサ島やマヨルカ島といったバレアレス諸島でのボートチャーターを検討していたのですが、やはり世界中の天体ファンやカメラマンが押し寄せるだけあって、ボートの空きはすでに絶望的でした。
かと言って、内陸のサラゴサあたりまで引いてしまうと、緯度と位置関係のせいで、「サンセット(夕日)と日食が完全に重なる瞬間」の条件が、どうしてもベストではなくなってしまう。
今回の皆既日食がスペイン本土で最大(食甚)を迎えるのは、日没直前の極めて低い空です。
狙うべきは、西側の視界が完全に開けており、なおかつ低空の光をドラマチックに増幅してくれる場所。 たどり着いたのが、バレンシアの内陸にある、ある小さな湖でした。 お世辞にも観光地としてポピュラーとは言えない、静かな、美しい水面です。
皆既状態を迎える瞬間、太陽の高度角はおそらく地平線スレスレのわずか3度から5度。 これほど低い位置で起こる黒い太陽を、西側に障害物のない広大な水面越しに捉えることができれば、大気によって劇的に赤色化したコロナが、完璧な入射角で湖面に鏡面反射(リフレクション)することになります。
そして僕たちはその湖のほとりにある宿を、思い切って「13泊」の長さで確保しました。 ちょうど最後の1部屋が滑り込みで空いていて、運良くそれを死守することができたのです。
本番を迎える前からその場所に腰を落ち着け、毎日、20時過ぎのマジックアワーの時刻になるとその湖畔へと三脚を担いで足を運ぶ。 そんな、少し偏執的とも言える贅沢な「ロケハン」を繰り返す予定です。ここ数日間の段取りを巡るモヤモヤがすっと解消され、視界はこれ以上ないほどクリアになりました。
悩み事の多くは、シャワーの温度と静かな眠りのなかに溶けていく
これでとりあえず、安心して次のステップへ進んでいけそうです。 手元には今日も進めるべき仕事が控えているので、余韻に浸る間もなくデスクに向かうわけですが、今回のロケーション選びのドタバタを通じて、僕はひとつ、人生における極めてシンプルで重要な真理を再発見したような気がしています。
それは、「人間が抱える悩み事の大半は、うまいもんを食べて、温かいシャワーを浴びて、たくさん寝て、あとは適度な運動をすれば、次の日の朝には大体解決している」ということです。
何か物事がうまく進まなかったり、選択肢の多さに頭がパンクしそうになったりしたとき、僕たちはつい、パソコンの画面を睨みつけながら夜更かしをして、思考の迷宮を堂々巡りしてしまいがちです。けれど、疲れ果てた脳が出してくる答えというのは、大抵の場合、それほど洗練されたものではありません。
そんな時は、さっさと諦めて、美味しいディナーを胃に収め、一週間ぶりに直った我が家のありがたい給湯器のシャワーをたっぷりと浴び、泥のように深く眠ってしまうに限ります。 翌朝、少しだけ早起きをして身体を動かしていると、昨日あれほど僕たちを足止めしていたはずの強固な問題の壁が、まるで嘘のように、ごく自然な大替案とともにすんなりと崩れ落ちていく。
結局のところ、悩みの正体というのは問題そのものの難しさではなく、僕たちの身体の側の疲れにあるのかもしれないな、と考えています。
身体を健やかに保ち、しっかりと眠ること。 それだけで、世界は昨日よりもほんの少しだけ大らかで、風通しの良い場所に変わってくれるはずです。
さて、火曜日のタイムラインが動き始めます。 頭の中のノイズが綺麗に片付いた今、今日の僕はとても良いビートで仕事に向かえそうな予感がしています。
皆さんも、どうぞ何か小さな悩みが頭をよぎったときは、まずは目の前の美味しい食事と、温かいシャワーの温度に身を委ねてみてください。明日の朝のあなた自身が、きっとスマートな答えを用意してくれているはずですから。
それでは、また明日お会いしましょう。 ありがとうございました。
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