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留学を考える前に知っておきたい、転職で年収が上がった人はアメリカで7割、日本では4割に届かないという話【全4回シリーズ②】

全4回シリーズの第2回です。
前回は、"いい大学に行けば安心"という前提が、経済的なデータの面からもう成り立たなくなってきている、という話をしました。

今回も、留学そのものの話ではありません

前回お話ししたように、僕は留学をそれ自体のゴールではなく、"その先にどんな未来を望むか"から逆算して選ぶ、数ある選択肢の一つの通過点だと考えています。

後悔しない選択をするためには、留学の前に、まず今の日本の社会がどう変わってきているのかを、正確に知っておく必要があります。

今回のテーマは「じゃあ、無事に就職できれば安心なのか」です。

留学そのものの話は最終回にたどり着きますので、もう少しお付き合いください。

「内定が出た」その日の安心感の先にあるもの

子どもが希望していた会社から内定をもらった日、多くの保護者は、ほっと胸をなでおろすんじゃないかと思います。
「これでひとまず安心」と。

でも実は、この"内定が出た瞬間の安心感"は、思っているほど長くは続かないケースが少なくありません。

就職はゴールではなく、そこから先の方がずっと長いんですよね。

今の会社にずっと勤め続けることを前提に人生を組み立てるという考え方そのものが、少しずつ揺らいできています。
せっかく厳しい就職活動を乗り越えたのに、入ってからの現実にギャップを感じる人も少なくありません。

今回は、就職した後にどんな現実が待っているのか、そしてそこからのキャリアの築き方が、日本と海外でどう違うのかを、データを見ながら一緒に確認していきたいと思います。

大卒でも3人に1人が、就職して3年以内に辞めています

厚生労働省が公表している新規学卒就職者の離職状況を見ると、大卒者のうちおよそ34%から35%が、就職して3年以内に離職しています。
3人に1人以上という数字です。
高卒だとおよそ38%、中卒だと半数を超える人が3年以内に辞めています。

この数字を見て、「うちの子は我慢が足りないのでは」と不安になる必要はないと僕は思っています。
会社と本人の相性は、誰にでも起こり得ることだからです。

この数字が本当に示しているのは、"一度入ったら、そこで一生働き続けるものだ"という前提そのものが、もう社会の実態と合わなくなってきている、ということなんですね。

数字の裏にある現実を、まずは冷静に見ておきたいところです。

大企業に入っても、4人に1人は同じように辞めています

「それでも大企業に入れば話は別なのでは」と思う人もいるかもしれません。

でも、従業員1000人以上の大企業でさえ、およそ26%から28%は3年以内に離職しています。

業種別に見ると、宿泊業や飲食サービス業ではおよそ55%から56%、生活関連サービス業や娯楽業でもおよそ53%から54%の人が離職しています。

ここで気づいてほしいのは、"大企業に入れること"は"入る前の安心"を与えてくれても、"入った後の安心"までは保証してくれない、ということです。

会社の規模やブランドと、そこで長く働き続けられるかどうかは、必ずしも同じ話ではないんですね。

これは、子どもの就職先を選ぶときの物差しそのものを、見直すきっかけになる話だと思っています。

転職が"賭け"になってしまう国と、そうでない国があります

では、辞めた後に転職すればいいのかというと、ここに日本特有の難しさがあります。

リクルートワークス研究所の国際比較調査によると、アメリカやフランス、デンマーク、中国などでは、転職して年収が増えたと答えた人が7割を超えています。
一方、日本で転職して賃金が増えたという人は、厚生労働省の調査でおよそ38.6%から40.0%にとどまり、賃金が減った人もおよそ28.9%から33.2%います。

この違いが生まれる理由を考えると、日本ではまだ、"一つの会社に長くとどまること"自体に価値が置かれていて、"外に出ても通用するかどうか"があまり評価されてこなかったからなんですね。

だからこそ、これから社会に出る子どもたちには、今いる場所で頑張り続ける力だけでなく、環境が変わっても自分で動いていける力の、両方が必要になってくると思うんです。

会社の仕組みそのものが、静かに変わり始めています

なぜこんな差が出るのかというと、背景には日本特有の雇用の仕組みがあります。

総合職として採用して、社内の異動を通じて人を育てていく"メンバーシップ型雇用"では、社内での調整力や協調性は評価されても、外の会社でも通用する専門的なスキルは育ちにくいんですね。

ただ、ここ数年で状況は変わり始めています。

日立製作所や富士通、パナソニック、ソニーグループといった大手企業が、職務内容をはっきり決めて成果で評価する"ジョブ型雇用"を次々と導入し、中途採用の比率も2024年度でおよそ43%と過去最高になりました。

学歴という過去の実績よりも、"今、何ができるか"の方が問われる時代への変化は、不安の材料ではなく、むしろ自分らしく働ける道が増える、前向きな変化として捉えることもできると僕は思っています。

"転職を恐れるな"という話ではありません

ここまでの話で伝えたかったのは、「だから転職を恐れるな」とか「安定なんて求めるな」ということではありません。

ただ、"どこかに所属してさえいれば安心"という考え方だけに頼るのではなく、環境が変わっても自分の力で対応していけるという感覚を、できるだけ早いうちから育てておくことが、これからの時代にはとても大事だと僕は思っています。

そしてその感覚は、大人になってから急に身につくものではなく、子ども時代の経験の積み重ねの中で、少しずつ育っていくものだと感じています。

うちの子には、会社の看板に守ってもらうのではなく、どこにいても自分の足で立てる人になってほしい、そう思う親御さんは多いんじゃないでしょうか。

次回は、こうした変化の根っこにある、日本人の幸福度そのものについてお話ししていきます。


このシリーズの土台になっている考え方は、留学パパの書籍『中高生の海外留学 知るたび、自分と未来が広がる本』にまとめています。

詳しく知りたい方はぜひ手に取ってみてください。

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アメリカの大学留学経験者であり、娘の高校留学を応援してきた親の立場の留学パパと、15歳で英語力ゼロからカナダの高校に留学したエリンが、皆さんの不安や疑問について、一緒に考えていきます。

無理な「押し付け」や「留学ありき」の話は一切しません。
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