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海外の大学院に、大学からまっすぐ進む人はほとんどいません。だから、高校の3年間なんです!

「高校で留学させたら、そのまま大学も海外ですよね。
大学院まで行くとなったら10年分…。うちにはとても無理です」

保護者の方から、こういう声をよくいただきます。

話しながら、頭の中で電卓を叩いていらっしゃるんだと思います。
その感覚、僕もよく分かります。

でも、その10年、続けて海外にいる必要はないんです。

むしろ海外の大学院というのは、大学からまっすぐ進む人がほとんどいない場所なんです。

じゃあ高校の3年間に意味がないのかというと、まったく逆です。
今回はその話を深堀りしたいと思います。

10年間ずっと海外にいる子は、一握りの中の一握りです

最初に、正直なところをお伝えしておきますね。

高校から大学、大学院まで一度も日本に戻らずに海外で学び続ける子は、一握りの中の一握りです。

費用のことを考えれば当然ですよね。
3年間の卒業留学だけでも、国と学校によっては1,000万円前後の予算が必要になります。

そこに大学の4年、大学院の1〜2年が積み上がると考えたら、「うちには無理だ」となるのが普通です。

でも、その計算はしなくていいんです。

実は海外の大学院は、そういう積み上げの先にある場所ではないんですね。

海外の大学院は、大学を出てすぐ行く場所ではありません

具体的な数字を見てみますね。

ハーバード・ビジネス・スクールが公表しているクラス情報によると、2027年に卒業予定のクラスに入学した943人のうち、社会に出て働いている人が圧倒的多数で、その平均勤務年数は4.9年だそうです。

およそ8割の入学者が、3年から7年の社会人経験を持って入学しています。
さらに、そのうち37%が留学生で、62カ国から集まっているそうです。

つまり、大学を出たばかりの人が座っている教室ではないんですね。

「それはMBAだからでしょう」と思われるかもしれません。
でも、同じハーバードでも公共政策を学ぶケネディスクールの修士課程には、「入学者は通常2〜3年の職務経験を持っています」と書かれています。

職務経験は必須の条件ではない、とわざわざ断った上で、です。

もちろん分野にもよります。
理系の研究者を目指す人が、大学からそのまま博士課程へ進むケースは珍しくありません。

ただ、実社会と結びついた分野の大学院ほど、「働いて何を見てきたか」そのものを入学の材料として見ています。

大学院は、勉強を積み上げた延長線上にある場所というより、社会に出て何かを持ち帰った人が、もう一度学び直しに戻ってくる場所なんですね。

「じゃあ、働いてから大学院だけ行けばいい」…そこで英語が引っかかります

ここまで読んで、こう思われた方もいるはずです。

「それなら日本の大学を出て、日本で働いて、必要になったときに大学院だけ海外に行けばいいのでは」

理屈としては、その通りです。
実際そうやって海外の大学院に進む日本人はたくさんいます。

ただ、そこで多くの人が引っかかるのが英語なんです。

誤解のないようにお伝えすると、テストのスコアは大人になってからでも取れます。

例えばニュージーランドのオークランド大学が学部の留学生に求める英語力は、IELTSで総合6.0、各項目5.5以上。
そして、名門と言われる海外の大学院であれば、IELTS7.0以上は必須と言っても良いんですね。
いずれも、しっかりとテスト勉強をすれば手の届くスコアです。

ただ、問題はその先にあります。

大学院で求められるのは、白熱した議論に自分から割り込んで、話の流れを引き取る力です。
相手の表情や声の調子から、今この人に何を言えば通じるのかを瞬時に判断する力。

いわゆる「英語の底力」ですね。

授業中に全員が笑った瞬間、自分ひとりだけ何がおかしかったのか分からない。
聞き返すタイミングもないまま、話は次に進んでいく。

こういう場面で必要になるのは、スコアではないんです。
そしてこの力は、日本で働きながら机の上で身につけるのが、本当に難しいんですね。

もう一つ、あとから取り返しにくいのが“自分でなんとかした経験”です

英語と並んで効いてくるものが、もう一つあります。

海外の高校で過ごす3年間は、親も日本の学校の先生も、その場にいません。
授業の内容が分からなければ、自分から先生のところへ聞きに行くしかない。
ホストファミリーとの生活で言いにくいことがあっても、自分の言葉で伝えるしかない。
提出物の締め切りや成績のつけ方が日本とまるで違っても、自分で確かめるしかないんです。

誰かに助けを求めない限り、誰も気づいてはくれません。
僕が留学で一番大きいと思っているのは、この“助けを求める力”です。

日本にいると、人を頼ることは弱さのように感じてしまいますよね。
でも海外では、助けを求められない人から順に立ち行かなくなるんです。

そして大学院というのは、世界中から集まった、それぞれ違う正解を持っている人たちと組んで結果を出す場所です。

分からないことを分からないと言えて、必要なときに人を頼れる。

この土台があるかないかで、同じ2年間の学び方がまるで変わってくるんですね。

現地の高校を卒業しておくと、大学に願書を出すときの立場が変わります

もう少し実務的な話もしておきますね。

海外の高校を卒業するというのは、その国の“高校卒業資格”を手にするということです。

これが、その先の進学で効いてきます。

例えばニュージーランドには、NCEAという高校の資格制度があります。
その中でUniversity Entrance、いわゆる「大学入学資格」の要件を満たすと、現地の大学に進む道が開けます。

オークランド大学の学部入学の英語要件を見ると、ニュージーランド国内でNCEA以外の資格を取った留学生については、IELTSなどの英語テストを別途受ける必要がある、と書かれています。

裏を返せば、NCEAで大学入学資格の英語の要件を満たしていれば、留学生であっても改めて英語のテストを受ける必要がない、ということなんですね。

日本から直接その国の大学を目指す場合は、まず英語のスコアを取って、場合によっては進学準備の課程を挟んで、という流れになります。

現地の高校を卒業していると、そのスタートラインそのものが変わってくるんです。

高校留学は、その3年間だけで完結する経験ではありません。

親がやるのは、10年先を決めることではありません

ここまで読んで、「じゃあ、うちも大学院まで計画を立てないと」と思われた方がいたら、少し待ってください。

僕がお伝えしたいのは、その逆なんです。

10年先の進路を親が決めることはできませんし、決めない方がいいと思っています。

娘のエリンも、15歳で英語力ゼロからカナダの高校に留学しました。
行く前から将来が見えていたわけではありません。

親にできるのは、“3年後に本人が選べる状態”を用意しておくことだと思うんです。
そのために日本にいる親がやることは、思っているよりシンプルです。

まず、うまくいっていない話を聞かされたときに、すぐ解決してあげようとしないこと。
本人が自分で誰かに頼る前に親が先回りしてしまうと、さっき書いた“助けを求める力”が育つ機会を、こちらから奪ってしまうことになります。

そして、進路の話を「で、その後はどうするの」と急かさないこと。

親の“期待”を“信頼”に変えていく作業が、この3年間には必要なんだと思います。

だから、土台づくりは早いほどいいんです

話を整理させてください。

海外の大学院は、大学からまっすぐ進む場所ではなく、社会に出た人が学び直しに戻ってくる場所です。

ということは、大学院に行くかどうかを、今の時点で決める必要はまったくありません。

でも、そのときに問われるのは専門知識と、実社会で何を見てきたかです。
そしてそれを海外で通用させるには、英語の底力と、自分でなんとかしてきた経験の蓄積がいります。

この2つだけは、必要になってから急に用意することができないんです。

どこかで作らなければいけないものなら、早い方がいい。

だから僕は、高校時代の正規留学には大きな意味があると思っています。
それは「10年間の始まり」ではなくて、“その先を自分で選べるようにするための3年間”です。

高校を出て日本の大学に戻る子もいれば、現地の大学に進む子もいます。
一度社会に出てから、大学院に行く子もいる。

どれを選んでもよくて、選べる状態にしておくことにこそ意味があるんですね。

うちの子には、行き先を自分で選べる人になってほしい。
いつか「学び直したい」と思ったときに、その扉が開いている状態にしておきたい。

そう思う方にとって、高校からの正規留学は、重要な選択肢の1つだと言えますね。


中高生が価値観を大きく揺さぶられる経験ができるのが「海外留学」です。

娘の高校留学(カナダの高校に3年間)をきっかけに、親として様々なことを考え、家族で対話を重ねてきました。

そして、この8年間、YouTubeなどで情報発信するかたわら、同じような不安や疑問を抱える皆さんの応援をしてきました。

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アメリカの大学留学経験者であり、娘の高校留学を応援してきた親の立場の留学パパと、15歳で英語力ゼロからカナダの高校に留学したエリンが、皆さんの不安や疑問について、一緒に考えていきます。

無理な「押し付け」や「留学ありき」の話は一切しません。
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