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『つきよのおんがくかい』──満月の下で生まれる、動物たちの大合奏

満月がぽっかりと夜空に浮かぶ、とある山の頂。そこへ、ひとりの少年・こうちゃんがピアノを担いでやってきます。やさしい月の光を浴びながら、楽しげに鍵盤を奏で始めると、どこからともなく動物たちが集まりはじめ……。ウマのベース、ネコのドラム、イヌのサックス、そしてクマのピアノが織りなす、幻想的でにぎやかな「つきよのおんがくかい」が幕を開けます。

:山下 洋輔
:柚木 沙弥郎
出版社:福音館書店


1. 作者・山下洋輔の世界観

作画家ではなく、ジャズピアニストとして名を馳せた山下洋輔さんが絵本を手がけるのは、実は意外な一面。長年ステージで培ったリズム感や即興演奏の楽しさが、ページをめくるたびに心の中でリフレインし、読み聞かせる大人もつい口ずさんでしまうほど。音楽家ならではの「音の気配」を文字で描き出し、読む人を五感で感じる世界へといざないます。


2. 柚木沙弥郎によるシンプル&大胆なアート

画家・柚木沙弥郎さんの手がけるイラストは、シンプルな形と大胆な色づかいが特徴。深い藍色の夜空に、まんまるの満月とシルエットだけで描かれた動物たちが、生き生きと浮かび上がります。細部をそぎ落とし、色とフォルムだけでリズムを奏でるような図版は、小さな子どもの目にも強く訴えかけ、読み聞かせを一層ドラマチックに演出します。


3. 物語の魅力──音楽が繋ぐやさしさの輪

本作の最大の魅力は、“音楽”を媒介にして生まれる、種を超えた交流です。最初は鍵盤のそばで控えめに佇んでいた動物たちも、やがて自分の楽器を手にして一緒に演奏を始める──その“合奏”のシーンは、まるで夜空に花火が咲いたかのよう。誰もが自分の得意な“音”を持ち寄り、共に生み出すハーモニーは、思いやりや多様性の大切さをさりげなく教えてくれます。


4. 読み聞かせのポイント

  • リズムを意識して声に出す:文章にはリズム感を感じさせる表現が多いので、テンポよく読むと動物たちの演奏が聴こえてくるよう。

  • ページごとの“間”を楽しむ:柚木さんの大胆なビジュアルは余白の美しさも魅力。イラストをじっくり見せながら間をとることで、子どもの想像力を刺激します。

  • 楽器になりきってみる:読み終わったあとは、家にあるおもちゃの楽器や手拍子でミニコンサートを開いてみて。物語の余韻が長く続きます。


5. 親子で味わう、夜の魔法

“絵本を読み終えた後、満月を探しに夜のお散歩へ”──そんなちょっとしたお楽しみプランを添えれば、絵本の世界と現実がつながり、親子の思い出が何倍にも輝きます。夏の夜、秋の夜長、冬の澄んだ夜……季節ごとに変わる月の表情もまた、この一冊でより味わい深く感じられるはずです。


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