手術は「最後の手段」でいい。──小児リハビリの現場で、僕が基本的に手術を勧めない理由
こんにちは。
今日もつらつらと書き連ねていこうと思います。
今日のテーマは
**「小児における手術について、僕の考え方」**です。
最初に、はっきり書いておきます。
これはあくまで僕個人の考えですし、
最終的に手術を決めるのはドクターであり、ご家族です。
僕たちセラピストに決定権はありません。
その前提のうえで、
臨床の現場で子どもたちを長く見てきた一人のPTとして、
どう考えているかを正直に書いてみようと思います。
僕は、基本的に「手術はやらない方針」です
結論から言うと、
僕は基本的に 「手術はやらない方針」 で考えています。
理由はシンプルです。
今の日常生活が、ある程度うまく回っている子にとって、
手術による“生活の中断”は、マイナスが大きいことが多い
と感じているからです。
手術をすると、
入院期間が必要になる
学校・保育園・デイサービスを休むことになる
いつもの生活リズムが崩れる
リハビリや療育が一時的に止まる
こういった「穴」が、どうしても生まれます。
この生活の穴って、
実は運動機能以上に、学習面や情緒面に影響することも少なくありません。
せっかく積み上げてきた
「毎日の当たり前」が一度リセットされてしまう。
それを思うと、
“今そこそこ生活できている子”に対して、
あえて手術を選ぶ理由は慎重に考えたい
というのが、正直な気持ちです。
それでも「手術を考えた方がいい子」はいます
ただし、
「じゃあ手術は絶対にしないのか?」と言われると、
それも違います。
手術を選択した方がいいケースも、確実に存在します。
その中でも、
僕が一番大きな理由として考えているのが、
アライメントの修正が、はっきり期待できる場合
です。
アライメントが整わないと、感覚入力はうまく入らない
これは、これまで何度も書いてきたことですが、
僕は 「感覚入力」 をとても大事にしています。
そして、その感覚入力が
良い方向に、安定して入るためには、
支持基底面のアライメントが成立していることが前提
だと思っています。
たとえば、
足部の骨アライメントが大きく崩れている
装具やシューズでは、物理的に修正が難しい
立位や歩行時に、どうしても悪い感覚入力しか入らない
こういうケースでは、
どれだけリハビリを頑張っても、
「感覚がズレたまま学習してしまう」
ということが起こります。
この状態で
いくら運動練習を重ねても、
動作パターンはなかなか変わりません。
手術は「ゴール」じゃなく、「スタート」にできるか
だからこそ、
アライメントを整えることで、
その後のリハビリの効率が大きく上がる
と明確に見込める場合には、
手術という選択肢が現実的になってくると思っています。
ここで大事なのは、
手術したら終わり、ではない
という視点です。
手術でアライメントが良くなっても、
動作パターンが変わらない
感覚入力の質が変わらない
使い方が変わらない
のであれば、
結局、元のアライメントに戻ってしまう可能性もあります。
だから僕は、
「その後のリハビリがうまく回るための手術か?」
という視点で考えることが大事だと思っています。
もう一つの理由:「痛み」がある場合
もう一つ、
手術を考えてもいい理由として挙げるなら、
痛みです。
日常生活で痛みが出ている
動くたびに痛みが強くなる
それが手術で軽減できる可能性が高い
こういった場合には、
生活の質(QOL)を守るという意味で、
手術を選択する価値は十分あると思います。
最終的に決めるのは、ドクターとご家族です
繰り返しになりますが、
僕たちセラピストに、手術を決める権限はありません
最終的な判断は、ドクターとご家族が行うものです
だからこそ大切なのは、
「なぜ手術をするのか」
「その先に、何を目指すのか」
を、
ドクター・セラピスト・ご家族で
できるだけ共有しておくことだと思います。
まとめ:手術は「生活を良くするための選択肢」
僕の考えをまとめると、
基本的には、手術はやらない方針
生活が回っているなら、無理に選ばない
ただし
アライメント修正が明確に期待できる
痛みの軽減が見込める
その後のリハビリが活きる
こういう条件が揃うなら、
手術は「前向きな選択肢」になり得ると思っています。
手術はゴールじゃありません。
**その先の生活とリハビリを良くするための“手段”**です。
この視点を持って、
一緒に考えていけたらいいなと思います。
