JR九州50系客車で宮崎から宗太郎越えと阿蘇高原線を経由し火の国・熊本へ
JR九州トラベルデスクとクラブツーリズム鉄道部が9/27〜28にかけて、豊肥本線(阿蘇高原線)と日豊本線経由でSL人吉で使用された50系客車を使用し、熊本から宮崎間を往復するツアーを開催した。ツアーは片道ずつ販売され、筆者は復路に当たる宮崎→熊本に乗車した。迫力ある日向灘、特急列車を除く普通列車が1日3本の宗太郎越え、起伏の激しい阿蘇高原線とスイッチバックで有名な南阿蘇地域を越え、熊本へ向かう大変貴重で優雅な客車旅となった。記憶する限りでは初の客車への乗車である。
【クラブツーリズム鉄道部xJR九州 新コース発表】
— クラブツーリズム鉄道部 (@ct_tetsudou) August 22, 2025
詳細は https://t.co/BPJ5KqwLaA 右上ツアー検索に下記コース番号入力
【1名2席利用】50系客車で行く!阿蘇高原線と宗太郎越え
≪熊本→宮崎≫片道の旅…LE062-990
≪宮崎→熊本≫片道の旅…LE065‐990
熊本→宮崎プラン1名1席利用はLE061-990… pic.twitter.com/ki9FEC35t4
「プッシュプル方式」で運行される予定です。
— 乗りものニュース (@TrafficNewsJp) September 2, 2025
【熊本駅と宮崎駅を11時間以上かけて結ぶ「客車列車」が運行へ 前後に機関車を連結! 屈指の閑散区間も走る】https://t.co/4kqD6SQVwG
旅のポイント
①貴重な客車列車から、日向灘や阿蘇の雄大な景色をお楽しみください。
※DD200形機関車のプッシュプル運転となります
②昼食弁当付き(大分駅出発後、お弁当をお渡しします)
③ツアー記念乗車証付き(お一人様おひとつ)
※小学生未満のお客様はご用意はございません
※旅行代金に含まれます
④クラブツーリズム鉄道部員も同行!
雨の宮崎駅
今回乗車する50系客車はSL人吉号として活躍したリニューアルされた車両で内装はJR九州のD&S列車のほぼすべてを担当しているデザイナー水戸岡鋭治氏によるもので、インテリアのような落ち着いた空間である。もちろん、客車であるため、基本はボックスシートとなる。




今回のツアーでは、途中7つの駅で途中下車のための時間が設けられた。また、往復ともに熊本から大分間は急行火の山、大分から宮崎間は急行フェニックスの愛称で運転され、側面にはサボが埋め込まれ旅情を誘う演出もあった。



この日の宮崎駅は朝から曇り空で小雨であった。晩夏特有の湿度の高い気候で過ごしやすとは言えないが、海からの風もあり、蒸し暑さはそれほど感じなかった。
宮崎7:18に発車した。発車時には宮崎駅長らの見送りを受けた。客車3両に前後にディーゼル機関車をつないだ5両編成である。大分から熊本方面は一部区間を除き非電化となるためディーゼル車が必要となる。また、この日は一部列車の遅れの影響を受け、定刻よりも3〜4分の遅れての発車となった。

日豊本線を北へ進む
宮崎を発車すると列車はスピードを上げて走る。いきなりの爆速走行である。電車とは異なりモーター音がなく、線路の繋ぎ目を越える際のカタンコトンの音だけが聞こえる何とも不思議な感覚である。機関車部分はエンジン音もあり加速度がある程度分かるが、それがないのが客車ということなのだろうか。延岡までは線路改良がなされ、直線区間も多く、特急列車では100km/h以上で駆け抜けていく。

オフレールステーションが併設されている。

日向新富駅
最初の下車駅は日向新富であった。普通列車のみが停車する行き違い可能な駅である。15分ほど停車した。宮崎空港行きの特急列車の通過待ちを行ったが、通過列車は高速であった。とは言えまだ朝の8時前である。








日向新富を発車すると、都農町や高鍋町を走行していく。車窓右手には時折、日向灘が間近で見ることができる。


美々津駅の手前からはかつてのリニア実験線が構造物のみで残っている。時折、山が迫ってくる区間もあるが線形の良い区間を順調に北進していく。







日向市を通過し門川駅へ
日向市駅が近づくと住宅地が広がり、高架駅の日向市を通過する。すべての特急列車が停車するが、急行列車は通過した。日向市の次が門川で2回目の途中下車の時間が設けられた。門川では特急列車の通過待ちのほかに宮崎地区の普通列車で使用される713系電車と行き違いを行った。門川で約20分停車し、延岡へ向けて列車は進んでいく。


















宗太郎越え
延岡から佐伯までは秘境区間となり、列車本数も大幅に減る。現在は概ね2時間おきの特急にちりんまたはにちりんシーガイアに加えて上下3本の普通列車のみの運行である。秘境区間のためカーブも多くなる。延岡で乗務員が交代した。宮崎県北部の主要都市で化学メーカーの工場がある。車窓も海側の開放から内陸の山々が近づき、トンネルを介して山中を走行していく。市棚を通過すると宮崎県から大分県に突入する。





宗太郎駅
次に停車する宗太郎は、日豊本線ひいては九州内でも随一の秘境駅として知られる。















駅に降り立つと、集落らしき建物もある。山の斜面を切り開いて列車交換ができるスペースは最低限確保して作られている。ツアー以外で宗太郎駅に降り立つのはほぼ困難であったから、この機会に降り立つ事が出来て良かっと思っている。そして、宗太郎駅が峠越えの頂上にあたると思われ、宗太郎発車後は一気に下り勾配となった。

浅海井駅(あざむい)と豊後水道
朝から日向灘、太平洋を眺めているせいもあるだろうが、内海特有の穏やかな波と風が何とも言えない心地よさであった。特急列車が停車する佐伯を通過し浅海井駅で3度目の途中下車となった。




この駅は九州最東端の駅として知られ、周辺には豊後二見ヶ浦や暁嵐の滝などの景勝地があることから、JR九州ウォーキングの定番コースとなっており、当日には特急にちりんの臨時停車が設定される場合がある。
過去に急行日南の停車設定(非自動ドア車両時代の運転停車に伴う設定)はあったが、臨時設定やツアー扱い以外では、基本的に優等列車は停車しない。浅海井では貨物列車との交換を行った。






浅海井を発車すると、トンネル区間では山々を潜り抜けていく音や車窓は格別であった。列車は津久見、臼杵を通過し、やがて大分市の郊外へと車窓は変わった。



幸崎駅は普通列車の折り返しが存在するなど大分方面への列車本数が増える。大分駅手前で車両センターを車窓左手に眺めていると、大きくカーブした線路と合流した。このあと乗車する豊肥本線である。




大分駅までは車両センターへの引き込みを兼ねて、複数の線路と並走しながら大分駅に到着した。大分駅では4分間停車し、進行方向を変えて熊本へと出発した。








大分から阿蘇高原線
先程までは九州を縦貫するような形で日豊本線を堪能し、路線志向が異なる豊肥本線に乗車する。豊肥本線は肥後大津から大分方面が非電化となる。大分大学前といった大分市の郊外も通過するが、すでに列車は限られた山間部を進んでいく。途中の中判田駅で15分間停車した。

中判田を発車すると切り立った岸壁など自然遺産が数多く眠っており、日豊本線とは異なる車窓が続く。線形はあまり良くなく、ゆっくりと進んでいく状況であった。


三重町で約1時間停車
三重町では約1時間ほど停車した。急行列車の旅だからこその運行ダイヤであった。写真撮影や発着する列車の見送り、買い物など自由時間を過ごすことができた。三重町駅は豊後大野市の中心駅で、特急列車を含む全列車が停車する。
単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線のホームを持つ地上駅になっている。互いのホームは跨線橋で連絡している。駅舎は開業時のものだが、1988年に洋風な三角屋根に改装されている。2016年に駅舎の外観の塗装が、茶色とクリーム色に変更された。










豊前国から阿蘇高原へ
三重町を発車すると、豊後竹田で運転停車したほか、特急停車駅の豊後荻を通過した。








次の滝水までの区間で県境区間となり大分県から熊本県に入った。波野駅の先にある坂の上トンネルを通過すると、阿蘇高原に入る。オメガカーブを下ると宮地駅に到着した。なお、豊後大野から宮地間は豊肥本線の中で列車本数が最も少ない区間に当たる。

宮地で運転停車した後、しばらくは阿蘇カルデラの平原を走行する。いこいの森、阿蘇を通過し、内牧で再び運転停車となった。



赤水を通過すると、一気に下り勾配となる。阿蘇カルデラの外輪に向かって走行している。途中から白川へと注ぐ黒川と並行する。2016年4月に発生した熊本地震では肥後大津から阿蘇間で長期運休を余儀なくされ、2020年8月に全線再開となった。赤水から肥後大津までの区間は被害が特に大きく、斜面の崩落、路盤の崩落が相次いだ。道路被害も甚大で国道57号線から南阿蘇方面へ架かる阿蘇大橋は崩落し、現在も震災遺構として発災当時の姿をほぼそのままに残している。

立野のスイッチバック
阿蘇カルデラを下ると列車はここから一気に急勾配を下ることになるが、標高差が大きいため、列車は進行方向を変えながら進む。いわゆるスイッチバックである。阿蘇方面から下ったところで一旦停止する。今回は客車で前後にディーゼル機関車を連結しているため、前後のディーゼル機関車に運転士が乗り込み対応した。立野のスイッチバックは二段方式であるため、縦の駅構内を含めて2度のスイッチバックとなる。最初の方向転換を終えゆっくり下ると立野駅のホームに到着する。立野駅には阿蘇方面行きの普通列車が待機していた。もちろん、客車を見送ったあとの時間で発車していく。立野駅は南阿蘇鉄道の乗換駅で朝の時間帯のみ南阿蘇鉄道線から肥後大津までの直通列車が運行されている。




約11時間の客車旅
立野を発車するといよいよ阿蘇カルデラと別れ、阿蘇外輪山を越え、熊本平野へと向かっていく。瀬田を通過し肥後大津で運転停車となる。肥後大津からは熊本都市圏となり、列車本数も都市部並みに増加する。

一つネックなのが全線単線であるということ。列車本数の多さに比例して、車両数や駅設備が脆弱であるとも言える。夜の時間帯に始めた頃に終点の熊本に到着した。








