my power, my pleasure, my pain.
悲しいことがあったら、なんか旨いもん食ったり、しようぜ。
これは半月以上前の(パンチになる前の)、雪が降った日のお話。
我が家では「かごの屋」は贅沢なんすよ。でも今日はOK。
うちはまず外食しない。それは二人とも個体的に健啖家なので、「なんだこれはチワワのエサか」みたいになるし、エンジェル係数がねえ。あと、男ふたりで外ではスキンシップできないので(世間様を驚かさないように生きてます)、地味にストレスだから――という理由あってのことなんですが。
まあでも外で会う用事もあったので、外食しようかという流れに。そんなら行ったことがなかった「かごの屋」に行ってみようか、という運びとなりました。プライベートでしんどい事件があったので、あれこれあって目にも楽しい、普段よりお高めな価格設定のコースがある店……という選択。
……ま、家訓なんでね。

白飯追加。
天ぷらに刺し身にステーキ(パートナーはしゃぶしゃぶをチョイス)という「白めしの友達」が並ぶのに、このコースでは「握りずし4貫しか」付いてこない。白米バランス的にそれは(我々には)ない。そもそも寿司は白米カウントじゃない。ここは追加ごはんを。「小」「中」「大」とあるので、どうせ大した量じゃないに決まってるんだから「大」を頼んでおこうよ、と提案したのだが――

もう鯨飲馬食できない

さすがに食えなくなったなあ、と思う。互いの年齢を思えば、そうなるものだと思う。ただ打ち消したい気持ちもある。まだ自分は元気でいなくてはならない――自営業であるパートナーの取引先にトラブルがあって、何ヶ月もかかりきりだったプロジェクトが飛んだ。ギャラさえ危うい。
どう助力できるかアタマはフル回転しながら、詰問してしまわないよう、メシを頬張る。どうなってるのどうするの、こうしたらああしたら、と矢継ぎ早に言い立てることは、責めているのと同じだ。肉を頬張る。関係ないことを、なんかしゃべって、なんか笑って。味噌汁がうまいとか、そんなことだっていい。そうやって、まだまだ笑えるって確認し合う――乗り切らなきゃならないからだ。しっかり一緒にいなきゃならないからだ。
まだおれにはできることがある、と思う。でも、それだって自分が元気なうちだけだし、そもそも彼にとっておれは法的に他人だ。いずれそのことを思い知ることになる。ま、義務もなければ権利もないってわけだ。じゃあ何があるんだろう。
There used to be a graying tower alone on the sea
You became the light on the dark side of me
海にひとり立つ灰色にくすんだ塔みたいなおれだったんだよ
あなたはそんな暗闇に射した光
But did you know that when it snows
My eyes become large and
The light that you shine can’t be seen
でも雪が降るとさ おれ 目に焼き付けようって頑張るんだけど
あなたの光が見えなくなるんだよ
チラチラ雪が舞ってた。今度会うのはいつだろう? 元気でいてくれるか。
「おれ駐車場でクルマにエンジンかけるけど、一緒に来ませんか」
あとちょっと、いたい。クルマのなかで太ももに手を置く。手を握る。
……おれの力。おれの喜び。おれの、痛み。いま何が言えるんだろう。
「いざともなればさ、おれ一緒に死んでもいいですから」
「いや、俺は命を自分からっていうのはないな!」
あ、そっすか。ウンそれはいいことだね。……おうマジか。
そっかこの人、恋唄も聴かなければ恋愛映画も観ないタイプだったな。
おっけい、ハードモードで行きますか。ナメた畜生に後悔させてやるか。
おれもそっちが好みだわ。
Drowning Pool の「Sinner」がガンガン流れるクルマん中で。
【警告】 過食や嘔吐、急激な老化表現等の描写があります
【カッコ良すぎ注意】 慢性的な中毒症状が報告されています
