誰かと会いたかったんだもんね
ここ二週間ほど、いや三週間くらい? 挨拶を返さない人について考えていた。そのような人には「おはようございます」と目を見て挨拶しても頭を下げないのがよい、ということを聞いて尚のこと嫌になった。相手が返礼するのを待って頭を下げれば、そうした人物はこちらを認めるというのだ。まるで犬のしつけだ。ばかばかしい。何でそんなこと考えながら生きてなきゃならないの。何でそんな奴から認められなきゃならないの。私はバカから一目置かれたいのではなくて、「お互い仕事のうちだと思うから挨拶してんだよな」と理解し合いたいだけなのだ。
でも「上下関係を教えている/しつけている」とあっちは思ってんのかな。こんなの今に始まったことじゃねえんだけど。おれナメられんだよね。
しかしそんなアドバイスにも真理はある。動物は種類によってコミュニケーションがちがうのだ。言語も挨拶も異なる。行動から考えてみれば、彼らはヒトならずヒト以外の別種なのだ。あるいはヒトには種類があるのだ。思い返してみればやたら他人を嗅ぎ回る者がいた。あれは臭腺を探していたのかもしれない。そんな動物だったのだ。じゃおれのケツ嗅げよ。
しかし挨拶を返さないのだけは、犬猫でもヤバい。犬猫でも挨拶を返さないのは威嚇行動であり挑戦であると知っている。つまり犬猫より下位な動物が挨拶をスルーしてしまうことになる。あるいは、犬猫より同等か多少なり高位の動物ではあるが、争いたい個体なのだ。ならマジで殴り合いでもいんだけど。犬猫以下同士、どっちがオスとして強いか決めたいんだよね? おれ勝てるとかは思ってないけど、「絶対負けてやらない」とは思ってるよ。……でもさあ、
おれ52歳よ。残り人生もっと別のこと考えていたいんだよね。
世界をどう変えようとか。
あの服ならおれ一番かなとか。
息子に教えたいカッコいい立ち食いソバの食い方とか。
みんな見惚れちゃうようなマックポテトの食い方とか。
大好きな人たちを爆笑させるネタとか。
ここぞと何かで使いたいカッコいいセリフとか。
人生ってそういうもんでしょ? おれにはそうだったな。
なんかクサクサしてたので、初対面の人に会って来た。山上さん。

ここに書けない笑える話とか、どこでも書けやしない笑えねえ話とか、そうコーヒー二杯分。
で、なんと奢ってもらった。
「いや払いますって」
「いいです」
「なんでよ」
「なんでもです!」(←かわいい)
……ありがとね。
店を出ても話は終わんなくて、中高生みたいに道端でしゃべってた。キリねえなと思って、我慢させてたら悪いなと思って、切り上げたけど。ま、実はしょんべんしたかったのと、ジーンズの中で半ケツのパンツがズリ落ちてたからなんだけど。穿き込み浅いボクサーブリーフって全ケツ出ると前も落ちるじゃないですか。歩くとね。前の引っかかりが足りんのか。
こんな時間が必要だった、と思う。
愚痴を並べていたのではないけれど、何となくホッとして。
何となく人に助けられて、生きている感じはある。
そんな時間あって生きてんだって感じはあったよ。ありがとう。
そんな時間を探して、また人に会いに行く。
【お知らせ】この記事から同じ記事が「GWAVR」でも掲載されてます。たぶん。GWAVRさんとは、LGBTQ+の属性を持ったクリエイターのブログやポッドキャストを集めたキュレーションメディアということなんです。服でいえばセレクトショップですね。もともと note で読んでくださってる方々に何が変わるかというと、……何も変わらないです。ただ「あーそんなメディアがあって、そこに行けばいろんな人がいるのね」と知っていただけましたら。
