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なぜ日本の鉄道予約はここまでバラバラなのか

飛行機って、どの会社でも一つのサイトで検索してそのまま買える。

でも鉄道はできない。
JRですら会社をまたぐと一気に面倒になる。

これ、単に不便なだけじゃなくて、
理由を知るとちゃんと納得できる構造になっている。


インターネットより前からあるJRのきっぷ発券システム


最初に開発されたMARS 1(マルス1)の中央処理装置 Hirakawa - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=46155525による

1961年に「MARS(マルス)」という国鉄の座席予約システムが稼働開始した。
インターネットやコンピューター・システム自体がまだ世の中に普及するよりずっと前の話。

そして今でもこのシステムが使われている。

ただ、このマルスはもともと駅員や代理店が操作する前提で作られている。
つまり最初から「利用者が自分で操作する」ことは想定されていない。

駅員が操作するMR32マルス端末 Stanino030515 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=124123484による

ここが、今のネット予約とのズレの出発点になっている。


じゃあ券売機で買えるのはなぜか

JRの指定席券売機

とはいえ、「指定席券売機で普通に買えるじゃん」と思うかもしれない。

これはシンプルで、券売機は利用者向けの画面(UI)をかぶせているだけで、
中身は同じマルスを操作している
から。

つまり、

  • 駅員が操作する

  • 券売機が操作する

の違いはあっても、裏側の仕組みは同じ。

なので駅の中では一応「一つの仕組みで動いている」ように見える。

ただしこれはあくまで駅という閉じた環境の中の話で、
各社のネット予約システムが統一されているわけではない。

むしろ券売機で問題なく買えるからこそ、
「ネットでも同じようにできるはず」と感じてしまう。


国鉄分割民営化から各社バラバラのネット予約へ

1987年に国鉄分割民営化が行われる。

その後、1990年代から2000年代にかけて、各社がそれぞれ独自にネット予約システムを構築していく。

  • JR東日本:「えきねっと」(のちにJR北海道も参加)

  • JR西日本:「e5489(いーごよやく)」(のちにJR四国やJR東海の一部が参加)

  • 東海道・山陽新幹線:「スマートEX・EX予約」(JR東海、西日本)

  • JR九州「JR九州インターネット列車予約システム」

それぞれが自社の路線や事情に合わせて、システムや割引きっぷを作るようになった。

例えば、高速バスに対抗するために

  • JR九州の「ネットきっぷ」

  • JR東日本の「えきねっとトクだ値」

などが出てくる。

さらに2010年代後半になると、私鉄も特急券などのネット予約を開始する。

その結果、日本は
鉄道(JRも私鉄も)を一つでまとめる公式サイトが存在しない国になった。


これがめちゃくちゃ面倒な理由

実際に使おうとするとすぐ分かるけど、

「この区間どこで予約すればいいの?」ってなるし、調べて出てきたサイトで会員登録させられる。

しかもそれが1回じゃない。

まず単純に、アカウントを複数作る必要がある

それだけじゃなくて、すべての列車やきっぷがネットで完結するわけじゃない

例えば、

  • 東京駅を発着する寝台特急サンライズ出雲・瀬戸はJR西日本の「e5489」なら予約できるが、JR東日本の「えきねっと」では予約できない。東京発着なのに、JR東日本のサービスでは予約できないというややこしい状態になっている。

  • 一筆書きのような複雑な経路の乗車券は発券できない

といったことが普通にある。

サンライズ出雲・瀬戸を予約しようとしてエラーを吐いたえきねっとのスクリーンショット

さらにややこしいのが、予約できても受け取りに制限があるケース

例えば、

  • JR東海の周遊券「JR東海&17私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」はe5489で購入はできるが、発券はJR東海エリアの駅限定

  • JR東日本のえきねっとで株主優待券を使って購入すると、エリア外(「えきねっと受け取り可能駅」でも)では受け取れない。

みたいに、「買える場所」と「受け取れる場所」がズレることもある。


航空券はなぜ一発で買えるのか

じゃあ逆に、なんで航空券は一発で検索してそのまま買えるのか。

これはシンプルで、航空業界にはもともと
共通の予約・流通システム(GDS)があるから。

航空会社が違っても、座席情報や運賃を同じ仕組みに載せているので、
検索サイトや旅行サイトがまとめて表示できる。

一方で鉄道は、

  • 会社ごとにシステムが違う

  • 運賃ルールも違う

  • 割引もバラバラ

なので、そもそも「全部まとめて扱う前提」になっていない。

つまり、技術的にできないというより
最初から統一する設計になっていないというのが実態。


海外だとどうなっているのか

じゃあ海外はどうかというと、  だいぶシンプル。

例えばフランス国鉄 SNCF のサイトでは、
フランス国内を発着するユーロスターのような国際列車もそのまま予約できる。

会社や国をまたいでも、ある程度まとめて扱える前提になっている。

もちろん完全に統一されているわけではないけど、
少なくとも「どこで予約すればいいのか分からない」という状態にはなりにくい。

フランス国鉄(SNCF)のサイトで予約できるユーロスターのきっぷ

むしろ海外は、多少不便でも「一つにまとめる」方向に寄っている。

それに対して日本は、

  • JR各社で分かれている

  • 私鉄も別体系

  • 予約サイトも完全に分断

なので、そもそも比較にならないレベルでバラバラ。


少しずつやっと変わり始める?

最近は、JR各社の予約システムをAPI連携でつなげて、
同じアカウントで他社のサービスも使えるようにしようという動きは出てきている。

ただ、そもそも会社ごとに分かれている以上、
エリアをまたぐ予約の不便さ自体はどうしても残る


まとめ

鉄道が航空券みたいに一発で検索・購入できないのは、

  • 昔から使われているマルスという仕組み

  • 国鉄分割民営化で会社が分かれたこと

  • 各社が独自にシステムを発展させたこと

このあたりが全部積み重なっているから。

単純に「遅れている」という話ではなくて、
各社が最適化し続けた結果、統一できなくなったとも言える。

だから便利にするには技術だけじゃなくて、
仕組みそのものを変える必要がある。

……とはいえ、利用者からすると
「私鉄はいいからせめてJRは一つにまとめてほしい」が本音。

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