太平記 現代語訳 38-8 元 versus 南宋 の戦
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この現代語訳は、原文に忠実なものではありません。様々な脚色等が施されています。
太平記に記述されている事は、史実であるのかどうか、よく分かりません。太平記に書かれていることを、綿密な検証を経ることなく、史実であると考えるのは、危険な行為であろうと思われます。
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(訳者 前書き)
この章は、前章末に記述されている「細川清氏の軽率な戦い」との太平記作者の批判をさらに正当化するために設けられたものであり、その内容は、中国・南宋王朝末期の、元(モンゴル帝国)との戦いである。
ただし、ここに書かれている事を、中国の史実であるとは決して思ってはならないようであり、細部に至るまで徹頭徹尾、一切信用しない方がよい。
従って、この章は、太平記作者の「細川清氏批判」への、何ら有効な傍証になってはいない。
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古代中国時代、かの孔子(こうし)は、弟子の顔回(がんかい)を賞賛していわく、
孔子 世に用いられる時には、大いに能力を発揮する・・・世に用いられぬ時には、じっと抱負を心中に秘めて時を送る・・・そういう事ができるような人間となると、そうそうはおらぬもの・・・そうじゃなぁ・・・私と顔回だけであろうて。
これを傍で聞いていた弟子の子路(しろ)は、大いに怒っていわく、
子路 先生! ではいったい、大軍を動かす時には、先生は、誰といっしょになさいますか?!
子路 (内心)「いざ、戦争」という極限状況になった時、あの顔回など、いったいなんの役に立つ? そういう危急の際に先生の役に立つのは、いったいどこの誰か? 決まっておるであろうが、わしよ! このわしをおいて、他に誰かおるというのじゃ?!
孔子は、重ねて子路を諌(いさ)めていわく、
孔子 ふぅん・・・そうじゃのぉ・・・大軍を動かすときか・・・そうじゃのぉ・・・少なくとも、あぁいった性格の者といっしょには、行動したくはないものよ。
子路 「ああいった性格の者」とは、いったい、いかなる性格の者ですか、先生?
孔子 そうじゃのぉ・・・「虎なんか怖くはないぞ、素手でかかっていってやる!」とかな、「黄河なんか、歩いて渡ってみせる、たとえそれで死んだところで、後悔なぞ、一切せん!」とか、しょっちゅうそんな事ばかり言うては、さかんに気勢を上げて、いきまいておるような男じゃよ。
子路 (内心)ムム・・・もしかしてそれは、わしの事?
孔子 そういった男とは、行動を共にしたくはないものじゃ。
子路 ・・・。
孔子 いざ戦場に臨んだならば、様々なあれやこれやの事柄に対して、まめに細やかに心配りをする・・・空しい勇気などあるよりもむしろ、恐怖心があるくらいの方がよい・・・怖れる心があれば、人間、万事に対して用心深くなれるであろうが? それに加えてな、謀略を積極的に駆使する、そのような人間がよいのぉ・・・そういった者とならば、私も安心して、行動を共にできるのじゃがぁ・・・ハァー(溜息)。
子路 ・・・。
このようなわけであるからして、昔も今も、敵を滅ぼし、国を奪うにおいての最重要ポイントは何かといえば、単に武(たけ)く勇める事のみにあるのではない、常に謀略をめぐらし、武力よりもまず知略を先にせよ、という事なのである。
現に、かの中国の南宋(なんそう)帝国の全土が一時に滅び、元(げん)帝国の支配に屈したのも、もとはといえば、西域出身の一人の皇帝メンター(mentor:注1)が、謀をめぐらした結果であった。
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(訳者注1)原文では、「西蕃の帝師」。
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しばし、元王朝のその歴史を、たどってみるに・・・。
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中国全土を宋王朝が支配しはじめてより、はや既に37代、南宋王朝(注2)最後の帝を、「幼帝」という。
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(訳者注2)皇帝・欽宗が、金によって開封から北に連れ去られた後に、欽宗の弟・趙構は南方に移って皇帝に即位し、宋を再興した。これを、「南宋王朝」と呼ぶ。
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元帝国の世祖(せいそ)・クビライは、この時、未だにチベット地方の諸侯の一人に過ぎなかったが、
「あぁ、何としてでも、宋王朝400州をはじめ、雲南(うんなん)、高麗の三韓に至るまで、残らず、自分の支配下にしたい。」
との心が、骨髄にまでしみわたって、止む時が無かった。(注3)
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(訳者注3)原文では、「此時太元の国主老皇帝、其比は未吐蕃の諸侯にてありけるが、哀れ何にもして宋朝四百州・雲南萬里・高麗の三韓に至るまで残さず是を打取ばやと思ふ心、骨髄に入て止時なし。」
「吐蕃」とは、現在のチベット地方に居住していた人々の事であるから、クビライを「吐蕃の諸侯」とするのは誤り、クビライはモンゴルの出身である。
「雲南」は、現在の雲南省の事である。
当時、朝鮮半島の支配者は高麗王朝であったから、「高麗」は問題無いのだが、その後に「三韓」とあるのは、解せない。「三韓」とは、高句麗、新羅、百済の三国の事であり、朝鮮に「三国」が存在したのは、中国でいえば隋から唐の時代、日本でいえば、大和時代の事である。
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ある日、クビライは、自らの征服の野望の良し悪しを天に仰いだ後、少しまどろんだ。その時、次のような夢を見た。
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宋朝の皇帝とクビライとが、長江(ちょうこう)を隔てて、長らく対陣している。
突然、長江の川水が残らず干上がり、陸地となった。
両軍の兵が互いに接近し、あわや戦いを交えんという時、突如、二人の皇帝は動物に変身、宋朝皇帝は、勇猛奮迅のライオンと化し、クビライは、形にわわかに変じて白色柔和の羊となった。
両軍の兵士は、これを見て、弓を伏せ、矛を捨て、
「天下の勝負は、ただこの、ライオンと羊との一騎打ちにて決すべし」と、事の成り行きをじっと窺い見る。
羊は、ライオンの怒れる姿に怖れ、たちまち地上に倒れたと見るや、二本の角と一本の尾骨を突き折り、天へ上っていった。
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クビライは、夢からさめて後、寝床の中でまんじりともできなかった。
クビライ (内心)ウーン・・・どうにも、ヘンな夢でありました。いったいなぜ、わたくしが羊で、宋朝の帝がライオンなのでしょう?! 逆ならば、話がわかるのですが・・・この夢、どこか、狂っているのであります。
クビライ (内心)・・・それにしても・・・(恐怖)この夢は、極めて不吉なる夢であります・・・。
クビライ ウーン・・・どうしても、気になります!
クビライ(ガバッ)(起床して、足早に謁見の間へ)
クビライ どなたか! メンター殿を、これへお呼びくださいませ!
クビライの身のまわり世話役 ハハッ!
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メンター (しずしずと登場)
メンター おはようございます、陛下。して、ご用の趣(おもむき)は?
クビライ おはようございます、メンター殿。実は、わたくし、今朝、どぉにも不吉な夢を、見てしまったのでございますよ。
メンター それは、いかような夢でありましたか?
クビライから夢の一部始終を聞いたメンターは、じっと考え込んだ後、おもむろに口を開いた。
メンター 陛下、おそれながら・・・その夢、全然、不吉なるものではござりませぬ・・・不吉どころか、大吉なる夢にてござりまするぞ。
クビライ えぇ? この夢は、大吉なのでありますか?
メンター さよう、大吉なる夢でありまする。
クビライ ならばこの夢、あなた、いかように解かれますでしょうか? 速やかに今この場にて、解いて見せてくださいませ。
メンター はい・・・陛下、陛下は夢の中にて、「ヒツジ」に変身なさったのでありましょう?
クビライ はい、さようです、さようでございます。
メンター して、陛下は、その「ヒツジ」、いかなる存在のシンボルと、解釈なされまするか?
クビライ 言うまでもないこと、[ヒツジ、イークァール(=)、か弱き存在]、それ以外に、解釈のしようが、ないではありませんか。
メンター 陛下、「ヒツジ」を表記したる中国の文字、陛下もご存じのごとく、あの文字は、3つの部分より構成されておりまする。まず、上部には、「八」なる図形がござりまするな・・・して、その下部には縦線が一本・・・書法の専門用語では、これを「懸針(かけばり)」といいましてな・・・さて、「八」と「懸針」に挟まれたるこの中央部、そこにありまするは、「王」なる文字ですな。
クビライ はいはい。(目をつぶり、頭の中で「羊」の文字を描く)
メンター この「八」が、ヒツジの頭に生えておる二本の角のシンボル、して、「懸針」は、ヒツジの尾骨の象徴。
クビライ フゥン・・・言われてみれば、その通り・・・ですね・・・。
メンター さて、夢の中で、ヒツジは二本の角を折り、さらに、尾骨をも折ってしもぉた・・・となると、残るものは? 「王」の文字ですな。
クビライ ウーン、なるほど!(右手で右膝を叩く)
クビライの右膝 パン!
メンター もうお分かりでしょう。まさにこの夢こそは、陛下が、全世界の「王」になられるとの、予兆でござりまするよ! 南宋はおろか、高麗までをも併呑(へいどん)され、全世界の「王者」になられるであろうとの、瑞夢(ずいむ)以外の、何ものでもござりませぬわ!
クビライ ウーン、なるほど! そういう事でございましたか!(笑顔)
メンター はい。
クビライ しかし・・・(再び顔を曇らせる)・・・ライオン・・・あれはいったい?
メンター ハハハ・・・「南宋王朝の帝王、ライオンとなりて、闘い怒る」・・・それは、南宋王朝の帝王、自滅の相にてござりまするわ・・・ハハハ。
クビライ 自滅? ライオン? いったい、どういう事なのですか?
メンター 陛下、ライオンの事を、中国では、「獅子(しし)」と呼びまする。して、中国では、かように言われておりまする、「獅子身中(しししんちゅう)に毒虫ありて、必ずその身を食い殺す」。敵軍の中に、二心ある者が出現し、敵の帝王を裏切る事になるであろうとの、予兆にてござりまするよ。
このように、クビライの夢を占い、その夢の意味を鮮やかに解き明かし、彼我双方の吉凶を見事に判じてみせたので、クビライも大喜びである。
クビライ なるほど! なるほど! この夢は、そのように解釈すべきであったのですね、なるほど!
メンター まさにこの夢、多いなる吉夢にてござりますれば、時をおかず兵を動員され、速やかに宋に対して、攻撃をしかけられませ、陛下。
クビライ よろしい! 可及的速やかに、兵を集める事と、いたしましょう!
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クビライは、このメンターの才智に絶対の信頼を置き、万事、彼の進言するがままに行っていたから、再度、夢について誰にたずね問う事もなく、元帝国の全エリア700州に対して、兵の動員を行った。
かくして、元の兵300万騎が、長江北岸に臨んだ。沿岸300余箇所に浮橋を敷設し、一斉に兵を渡そうと、工事にかかった。
この報を受けた南宋皇帝は、「ならば、速やかに軍を差し下せ」との命令を発し、伯顔(はくがん)を上将軍として100万騎、襄陽(じょうよう)大守・呂文煥(りょぶんかん)を副将軍として30万騎、大金(たいきん)の賈似道(かじどう)、賈平相(かへいしょう)兄弟を副将軍として60万騎を向かわせた。
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南宋側3軍の兵300万騎は長江南岸に臨み、3箇所に陣を設けて日夜、長江を眼下に見下ろし、警戒を怠らなかった。
長江南岸の最前線を守る伯顔は、元側が陣を張り、浮橋を着々と敷設していくのを見て、
伯顔 (内心)このままでは、とても勝ち目は無い。謀をめぐらさずしては、勝利は得難い・・・さてと、どのような手がよいものか・・・。
伯顔は、陣の背後60里程の距離にある高く険しい山に目をつけた。そこに城を築き、四方の塀をどのような攻撃にも堪えうるように高く築き、その中に、数千軒の家を、隙間なくビッシリと建てた。
櫓(やぐら)の上や矢狭間(やはざま)の陰には、カラクリ人形を数千万個設置した。その人形は、いかにも戦いをするかのように動くのである・・・矛をさしまねき、刀を交え、太鼓を叩いたり、弓を引いたり・・・そのエネルギー源は、風力と水力であった。
城の前面は、岩の間を通る細道のみ、そこに木戸を一個だけ設置し、そこにだけは、本物の兵200余人を配置した。
伯顔 なんじら、よく聞くがよい。敵、城へ寄せなば、しばしは戦うフリをして防戦せよ。その後、戦いかねたる体(てい)を見せて、木戸から退け。
伯顔 敵、勝に乗じて城中へ攻め入らば、敵全軍を、城中へそのままおびき寄せよ。
伯顔 しかる後、同時一斉に数千の家々に火を放ち、己(おのれ)の身体を例のトンネル中に隠没して、城外へ脱出せよ。
伯顔 かようにして、城中に残った敵軍を全員、焼殺するのじゃ。
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やがて、300余箇所の浮橋は全て完成、元の兵300万騎は、先を争って長江を渡った。
伯顔は作戦通りに、矢戦を少しだけするフリをした後、しばしも前線を確保せずに、退却を開始。
元の兵は勝ちに乗って、逃げる南宋軍を急追する。
南宋側の兵は、偽りの退却を敵にさとらせまいと、さらに用意周到、盾、矛、鎧、兜をそこら中に遺棄し、掘や溝に馬を乗り捨てながら、我先にと逃走。
この逃走を作戦とは知らずに、命を軽んじて元軍と戦い、徒(いたずら)に討死にしていった皇帝近衛部隊の者や斥候の者たちが、数多くいた。
日は、既に暮れた。
南宋側は、例の城へひきこもるふうを装いつつ、その後方の深山へ隠れた。
元軍は、相手側の疲労と弱りにつけこみ、ここで一気に南宋軍を殲滅せんものと、城のすぐ際まで攻め上っていった。
旗を進め、矛をさしまねき、城をはるかに見上げれば、櫓の上、塀の陰には、兵が袖を連ねて並び居るようである。しかし、彼らは、トキの声もかすか、射出してくる矢の勢いも弱く、盾を通す事もできない。
元の将軍は、まさか、カラクリ人形の兵士多数と本物の兵士少々が城の構成メンバーであるとは、思いもよらない。
元軍の将軍 敵は、今朝の戦に遠退きして、気力疲れ、勢い尽き果てておるのですよ。ここで、立ち直りの余裕を敵に与えるのは、非常によくありません、みんな、イッキに攻めるのですよ、攻めなさい、攻めなさい!
将軍は、このように大声を出して全軍をひきしめた。
攻撃開始サインの太鼓が打ち鳴らされ、元側は全軍、盾を前にかざして前進。
それからしばらくの後、城中に残っていた南宋側の兵少数は、火が燃え出たふうを装って家々に火をかけ、トンネルを潜って、城外に脱出した。
人形は本物の兵ではないから、敵が攻め入ってきても、城の中にそれを防ぐ者は誰もいない。
元軍の兵300万騎は、勇みたって進み、唯一の木戸を破って城中に殺到、南宋側がわざと残し置いた財宝を争って奪い合い、元側をだます為に設置されている人形に向かって、剣をとりひしぎ、矛をなびかす。
そうこうしているうちに、3万余軒並んだ家々から一斉に火が燃え上がり、煙は城内に充満、炎は四方に燃えさかりはじめた。
元軍の兵たちは、塀を登り越えて火から逃れようとしたが、取り付く足場も無く、渡れる橋も無い。攻め入ってきた木戸から外へ出ようとしても、煙が目にしみて心が迷い、どちらの方角に木戸があるのか、さっぱり分からない。
ただただ、猛火の中に走り倒れ、300万人は全員、焼死してしまった。
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元の皇帝クビライは、意気消沈。
長い間の苦心の末にようやく送りこんだ大遠征軍を、南宋側の謀略によって、あっという間に破られてしまい、未だ南宋の首都での決戦もせぬ先に、300万人もの兵が死んでしまった。
クビライ (内心)あーあ、やっぱり、中国全土の支配は、見果てぬ夢でありましたか・・・あぁ、もうダメ、もうダメですね。
クビライの身のまわり世話役 ・・・あのぉ・・・陛下、陛下。
クビライ なんですか?
クビライの身のまわり世話役 メンター殿が、陛下に謁見を・・・。
クビライ ここへ、お通ししてくださいませ。
メンター (しずしずと登場)
メンター 陛下、かような事で、お気落ちされては、なりませぬぞ。
クビライ ・・・。
メンター 古代中国の哲学者なる、かの老子(ろうし)も言うておりまする、「大器晩成(たいきばんせい)す」と。
クビライ ・・・。
メンター わが元の世界征服の大業は、まさに大器そのもの、さようではござりませぬか?
クビライ はい・・・。
メンター それにしましても、南宋も見下げたもの・・・あのようなこざかしい策略を用いるとは・・・策略というものはしょせん、小手先の技巧、真のストラテジー(storategy:戦略)からは程遠きもの・・・策略をいくら駆使してみたところで、ゲイン(gain)は微々にして、そのロス(loss)は膨大。
クビライ 画期的な戦線建て直しの方策、なにかありますか?
メンター ござりますとも!
クビライ ・・・。
メンター 南宋国の将軍らの用兵の様を伝え聞くに、人としての正しい道を守って死に、義の道の為に命を軽んずる、というようなものでは、ござりませぬ。彼らの考えておる事はといえば、ただただ、ちょっとしたつまらない計略をもってして、大功の成らんことを狙っておるだけに過ぎませぬ。
クビライ ・・・。
メンター 計略・・・謀略・・・南宋の臣のみが智有りて、元朝の人間はみな愚か? いやいや、そのような事は、決してござりませぬ。
メンター あちらが謀略で来るというのであらば、こちらも、謀略で対抗するまで。今、わたくしめが謀略をめぐらしましたならば、一戦もせずして勝利を得る事、可能でありましょうぞ。
クビライ いったいあなたは、どのような謀略を、用いるおつもりなのですか?
メンター おそれながら陛下、この謀略、今しばらくは、我が胸中にのみ、秘めさせてくださりますように・・・陛下はなにとぞ、お志を高く広く、世界征服の草創に向けてのみ、ご専念くださりまして、謀略のような細事はどうか、一切をわたくしめにおまかせ下さりませ。わたくし必ずや、智謀をもって、あの広大なる大宋400州を、一日のうちに傾けてみせまする。
クビライ (大喜)あぁ、いいですね、いいですね! あなたの謀(はかりごと)でもって、わたくしがもし、中国全土を手中に収める事ができたならば、あなたを、天帝の下、君主の上の位に、おつけいたしましょう。あなたを、代々の帝王の師とあおぐように、決めさせていただきましょう。
クビライは、このようにメンターに約束した。
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メンターは、変装して南宋国に潜入した。
彼は、長江(ちょうこう)南方のある市(いち)に行き、「ある条件」に合致する人間を探し求めた。
その「条件」とは、「貧困、かつ、子だくさんの男」である。
メンター (内心)必ずやどこかに、この条件にマッチする人間がおろうはず。なぜならば、「貧困」という条件にマッチする人間の数は多いであろうし、「子だくさん」の条件も、またしかり。故に、双方同時に満たす人間が見出される確率は、極めて高い。
彼は、一人の男に目をつけた。
年の頃は60余り、一本の剣を売り、その金で肉饅頭(にくまんじゅう)を買っている。
メンターは、男に接近して、
メンター もしもし、そこのお人。
男 はぁ。
メンター さきほどから、あなたの売買の様態をじっと見させていただいておったのですが・・・非常におもしろいですな、あなたのやり方は。
男 はぁ?
メンター 剣を売って牛を買うは、平時の備え。牛を売って剣を買うは乱世の備え。あなたは今、剣を売って饅頭を買われた。しかるに、今はどう考えても、平時とは思えませぬ。いったい、いかなる思惑あっての事ですかな?
男 ハハハ・・・そんな・・・思惑も何もあったものではない・・・止むに止まれずの事ですじゃ・・・。
メンター 止むに止まれず?
男 わしはこう見えてものぉ、若かりし頃には、好んで兵法の書を読んでおりましたのじゃ・・・兵の凶器なる事をも知らずにのぉ・・・。
メンター ホホォ・・・いや、これはぜひとも、じっくりと、お話をおうかがいしたいものですなぁ・・・どうですか、あそこの酒店で一杯。お近付きの徴(しるし)に、ごちそうさせてくださりませよ。
男 わしのつまらん身の上話など聞いて、いったい何のたしになりまする?
メンター ま、ま、そう言わずにぃ・・・よろしいではござりませぬかぁ。
男 む・・・そこまで言われるのであれば・・・では、お言葉に甘えまして・・・。
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酒が入るにつれて、男は次第に、雄弁になっていった。
男 「智は性のたしなむ所に出ずるもの」という言葉を、ご存じかな?
メンター はい、私の出身地にも、それと同様のことわざがござりまする、「好きこそ、ものの上手なれ」。
男 兵法間連の書物という書物、かたっぱしから読破しましたなぁ・・・(遠い所を見る目)・・・呉子(ごし)と孫子(そんし)の秘したるところの兵法の道・・・尉潦(うつりょう)、李衛(りえい)が難(かた)しとしたところの術・・・まさに、あの頃は、書物中に一が示されるを読むや否や、瞬時に三の考えヒラメキ、といった日々でありましたぞぉ・・・。
メンター ホォッー! いやぁ、たいしたもんだ!(酒を注ぐ)
男の喉 ウイッ!(酒を飲み干す)
男 3尺の雄剣をひっさげ、座しながらにして万人を制す、ひとたび立たば、たちどころに四界の乱を鎮めん・・・我以外の何人(なんびと)に、かような大業できようやぁ!(盃を、剣のように振り回す)。
盃 ビューン、ビューン、・・・。
メンター (相手が振りまわす盃から、身をよけながら)よいぞ、よいぞ、その心意気じゃぁ!
男の喉 ウイッ!(酒を飲み干す)
男 しかるに・・・(目がすわる)。
メンター しかるに?
男 千戸、万戸の領主となることを夢見ておったのにのぉ・・・。
メンター ・・・。
男 わしの力盛んなる時は、世の中は治まって国中平穏・・・武の道において、ついに、わしは、世に用いられる事無く・・・。
メンター ウーン・・・。
男の喉 ウイッ!(酒を飲み干す)
男 人生とはまぁ、皮肉なものよのぉ・・・(ますます目がすわる)今まさに天下は乱れ、剣士として功を立つるに最適のこの時というのに・・・ほれ、この通り・・・わしに残されたるは、この老残の肉体・・・徴兵のお呼びも、かかってこぬわぁい!
メンター して、今はいったいいかにして、身過ぎ世過ぎをしておられる?
男 ふとしたきっかけから、この江南の市に、旅寝の宿を結ぶようになりましてな・・・ここへ来たのは、あれはもう、何年前の事であろうか・・・いや、何十年?・・・。
メンター お子さんは、おられますのか?
男 はぁ・・・わずかに3人、男子ばかり・・・それにしても、子供を養うというのは、たいへんな事でござりまするなぁ・・・まさに、ビンボウに追いつくカセギ無しの毎日じゃよ。それ、史記(しき)にも書いてありましょうが、司馬相如(しばそうじょ)の貧困の日々、破壁(はへき)風(かぜ)寒くして夜の衣(ころも)短く・・・。
メンター お察し申しあげまする。(酒を注ぐ)
男の喉 ウイッ!(酒を飲み干す)
男 劉仲(りゅうちゅう)が乾鍋(かんか)、薪(たきぎ)尽きて朝の食(しょく)空(むな)し、ですじゃ・・・じゃがのぉ、旅のお方ぁ! わしは、志を決して捨てませんでしたぞぉ、決してなぁ(涙)。
メンター ・・・。
男 いつかは、わがこの才能を生かしてみたい・・・その望みを捨てませなんだ・・・いや、捨てるに捨てきれなかったと、いうべきかも・・・まさに、老いたる俊馬(しゅんめ)の千里を駆けらんとする心、未だ屈せず、じゃよ・・・(涙)
メンター ・・・。(涙)
男 じゃがのぉ・・・もう、限界じゃぁ・・・もう、どうしようものぉなってしもぅた・・・人間、追いつめられれば、無惨なものじゃのぉ、誇りも志もあったものではないぞよ・・・ハハハ(涙)。
男 「鷹も飢えれば、人間からの一呼(いっこ)を待つ」というではないか・・・まさにあの心境・・・ついにあきらめ、今日の今日まで大事にしてきたあの剣、あれを市に売りに来たのですわい・・・剣を売って得た金で、息子三人の飢えを、しのがんがためにのぉ・・・(涙)
男は、涙の中に、自身の身の上を語った。
男 それにしましても、見知らぬ私に、かようなご馳走を・・・なんとお礼を申し上げてよろしいのやら・・・ではこれにて・・・息子らが、腹をすかして待っておりまするでな。(座を立つ)
メンター (男の手を引き)あいや、待たれよ、しばらく・・・そなたに、相談したき事が、チとあってのぉ。
男 はぁ・・・。(再び着座)
メンター (ヒソヒソ声で)そなたの言(げん)を聞くに・・・三人の子供は飢え、そなたの長い人生も、今まさに、終局にたどりつかなんとしておる。
男 ・・・(うなずく)。
メンター (ヒソヒソ声で)じつはの、わしは今ここに、3,000両の金を持っておるのじゃが・・・この金をもって、そなたの身体を買いたい。
男 えっ? 身体を買う?!
メンター (ヒソヒソ声で)シッ! 声が大きい! さよう、そなたの身体をな。
男 (ヒソヒソ声で)いったい、どういう事ですのじゃ?
メンター (ヒソヒソ声で)詳しい話は、ここではできぬ、後で話そう・・・ようはじゃな、どのようにしてみても、そなたの人生は残り少ない、その残り少ない人生を、わしに売ってはくれぬか、という事よ。その身体を売ったかわりに、行く末はるかなる子孫の富貴を得てみてはどうかな、という事よ。どうじゃ、悪い話では無かろうが?
男 (眉をあげて喜び、頭を下げて謝意を現し)(ヒソヒソ声で)なんという、ありがたいお話・・・あなたのお言葉通り、わしに3,000両を下さるとあらば、3人の子を飢えから救えまする・・・かわいいあの子らの為なら、自分の命など、どうなってもよい! ありがとうござりまする、ありがとうござりまする!(涙)
メンター (ヒソヒソ声で)よし、商談成立じゃな。では、前金で3000両、ほれ、この通り(金袋を男の前へ置く)。
男 (ヒソヒソ声で)なに、前金で全額じゃと! まさか夢ではなかろうな!(袋の中を見て仰天)。
男 (ヒソヒソ声で)ほんにまぁ、世の中には、気前の良い人がおられるものじゃなぁ・・・ありがとうござりまする・・・この老残の身に3,000両も・・・して、わしはいったい、何をすればよろしいのか?
メンター (ヒソヒソ声で)いや、今すぐに、どうこうという事ではない・・・ま、その金でもって、今は思う存分、楽しんでおかれるがよい・・・指示は追って出す・・・では、さらば。
男 ・・・(平伏)
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元へ帰国したメンターが次に行ったのは、情報収集であった。
スパイ(諜報活動員)を南宋の首都へ送り込み、今度の長江の戦の功労でもって、千戸万戸侯に出世した伯顔(はくがん)や呂文煥(りょぶんかん)たちの事を、首都の人々がどのように言っているかを、探らせたのである。
スパイたちは、南宋の首都に潜入し、家々の外にたたずみ、将軍たちの日常や、人々のうわさを徹底的に調査した後、元に帰ってきた。
メンター どうであった?
スパイ元締 諜報部員らのスパイング(spying)の結果を、総合して報告もうしあげますならば・・・伯顔、呂文煥らは、我が軍に大勝利を収め、武功身に余る状態となっておりまする。かの国の人々が彼らを重んずる事、まさに、天帝をも越えるかと言ってもよいくらいの、すごさでござりまする。
メンター フーン、やはりのぉ。
スパイ元締 かりに、彼らが、あの勢威をもってして政権を傾けんと思うならば、自らの指で自らの掌(たなごころ)を指差すごとくに、極めて容易な事でありましょう。かの唐(とう)王朝の時代、安禄山(あんろくざん)が兵を率いて首都を侵し奪った時も、まさにかくのごとき状態であったであろうと、万人が怖れを抱いておりまする。
メンター よし・・・機は熟したな。
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メンターは、例の3,000両で買った男を、元国へ呼び寄せた。そして、彼の股の肉を切り裂き、骨と骨の間に密書を封入した。
その密書は、呂文煥、伯顔、賈丞相(かしょうじょう)3人の筆跡そっくりの偽の文書であり、その内容は政権転覆(せいけんてんぷく)計画であった。いわく、
「我ら既に、元の軍に大勝利し、士卒の付き従う事、その数を知らず。天すでに我らに時を与えたり。これを取らずんば、かえって禍(わざわい)有るべし。しからば速やかに、士を率いて約を成し、帝都に赴かんと欲す。亡国(ぼうこく)の暗君(あんくん)を捨てて有道(ゆうどう)の義臣(ぎしん)に与(くみ)せんと欲しなば、我らに力を合わせて、政権を転覆する謀(はかりごと)を共に致(いた)すべし。」
敵をあざむく手はずをこのように整えた後、メンターは、「しかけるタイミング」を、じっと待った。
男の股の傷が完全に癒えた後、メンターは、彼と接見した。
メンター 傷の方は、どうじゃな?
男 はい、もうすっかり、ほれ、この通り!(手で、股を叩く)
メンター よし・・・ではな、これからおまえは、南宋の首都へ行き、宮中へ潜入せよ。その時、心すべきことは、挙動不審者(きょどうふしんしゃ)のようにふるまう事。そして、遅かれ早かれ、逮捕されるようにふるまう事。
男 逮捕されるように、わざと、ふるまうのですな?
メンター さよう。宮門を守る兵たちは、そなたを捕え、拷問にかけるであろうな・・・どうじゃ? 大丈夫か? できるかな?
男 わしを見損(みそこ)のうてはいけませんぞ! こう見えてもな、若かりし頃には、好んで兵法の書を読んでおりましたのじゃ! 呉子に孫子、尉潦に李衛! 3尺の利剣をひっさげ、座しながらにして万人を制す、ひとたび立たば、たちどころに四界の乱を鎮めん、我以外の何人に、かような大業できようやぁ! ハチョーッ、ハチョーッ!(拳法の形をキメル)
メンター ハハハハ・・・もうよい、わかった、わかった・・・たとえ、水火の責めに遭うとも、すぐに落ちてはならん、しばらくは、がんばり通すのじゃぞ。して、逆さ吊りに身を苦しめ、ホウラク骨を砕く段に至ってはじめて、白状するのじゃ、「我は、伯顔将軍や賈丞相らの使者として、謀反に与する者らに、事の詳細を伝えんがため、首都にきた。その証拠は、この股の中に」とな。
男 あいわかりもうした!
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いったん、3,000両の金で我が身を売ったからには、もはや命を惜しむべきにあらず、謀反催促の書状数10通を身体の中に収められたこの男は、メンターの指示のままに、首都の宮門へ急いだ。
逮捕されるやいなや、身を車裂きにされ、骨をしおからにされてしまうかもしれない・・・しかし、そのような事は、一切かえりみない、千金に身を替えて五刑に赴く・・・あぁ、子を思う親の心とは、何と哀れなものであろうか。
首都へ到着の後、男はわざと、怪しげなるふうに身をやつし、宮門をめぐって、帝宮内部の様子を探らんかのようにふるまったので、たちまち、警護の武士に逮捕された。
上げつ下ろしつの責めにも、しばらくは、あえて落ちなかった。拷問度重なり、もはや、骨砕け筋肉絶えるかという段になり、男は口を割った。
男 ・・・白状する・・・白状するから・・・止めてくれ・・・ハァハァハァハァ・・・。
牢獄の担当者 よし、さっさと白状せい!
男 わしは・・・わしは、謀反の使いじゃ・・・伯顔将軍と呂文煥らの・・・。
牢獄の担当者 なにぃ! いいかげんな事を言うでないぞ!(男を棒で打つ)
棒 バシッ!
男 ウッ・・・うそではない・・・しょ・・・証拠がある・・・わしの・・・股の・・・肉の中に・・・。
男の股の中から、宮中や地方の諸侯への例の手紙、謀反に加担すれば賞を与える約束を記した手紙が、数通出てきた。
これを見た牢獄の長官は驚愕、そく、皇帝に奏上した。
まず、男が殺された。
次に、伯顔将軍、賈丞相、呂文煥らの父子兄弟が、三族皆殺しの刑に処せられた。
その他、罪無き諸侯らが、兵刃(へいじん)の下に命を失い、功有る旧臣が、獄門の前に首を曝(さら)された。
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首都でのこの異変のニュースは、長江(ちょうこう)沿岸方面に、あっという間に伝わっていった。
驚いた、伯顔、賈丞相、呂文煥らは、自らには何ら罪がない事を神妙に申し開かんがため、元に対する戦を放棄し、首都へ引き返そうとした。
しかし、諸侯たちはその道を塞ぎ、彼らの前進を阻んだ。かくして、この3人は、元帝国のメンターの謀略に陥れられ、諸処で討たれてしまった。
メンター 陛下、今や、長江一帯は無人状態、我らの進軍を妨げる敵兵は、一人もおりませぬ! 総攻撃の時、来たれりですぞ。
クビライ あなたの計略は、みごとに当たりましたね。すばらしい!
クビライ みんな、すぐに、総攻撃開始してくださいませ!
元の諸将一同 はい、お言葉の通りに!
元軍500万騎は、一斉に長江を渡り、南宋の首都めざしてまっしぐら。
これをあえてさえぎる勢力も無く、南宋の皇帝は皇族全員と共に、宗廟(そうびょう)を捨て、東南アジア方面へ逃走した。
クビライは、逃走した皇帝に入れ替わって、南宋帝国・首都へ入城、中国全土の諸侯は皆、彼の支配に服し、宋帝国400州はたちまちにして、元王朝の支配する所となった。
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あのような超大国・宋でさえもが、あっという間に傾いてしまった。天の定めによって、予め決定されていた「宋帝国・最後の時」が、今まさにめぐりきたったという事であろう。
とはいうものの、やはり、メンターの謀略が、大きくモノを言ったという事は、間違いの無い所である。
ひるがえって、現代の日本を考察してみるに、かの細川清氏(ほそかわきようじ)は、「無双(ぶそう)の大力(たいりき)、世に超越したる勇士」との、世間のもっぱらの評判であったが、細川頼之(ほそかわよりゆき)の尺寸(せきすん)の謀略にはめられてしまい、たった1日の間に亡んでしまった事、かの南宋王朝の皇帝が、元のメンターの謀略によって政権を失ってしまった事に、何やら相似しているではないか。
かの孔子の残した次なる金言が、我々の胸に響いてくる、
人、遠慮(とおきおもんぱかり)無きときは、必ず近憂(ちかきうれい)有り。
(原文)「人而無遠慮 必有近憂」。(注4)
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(訳者注4)論語の衛霊公篇にある。
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