令和スーパー物語〜誤発注のスター⭐️A子編〜第3話「みかん缶と誤発注と聖なる夜」
フレッシュマートはざまは、築30年以上のチェーンスーパー。
棚はガタピシ、冷蔵ケースはカラカラ鳴る。
「今日こそ壊れるかも」と、毎朝がスリル満点。
でも、毎日通ってくれる常連さんがいる私たちの店。
その裏側には、今日も静かなドタバタ劇があリます。
⸻
■みかんの缶詰が、やってきた。
ある朝、カゴ車が異様に重い。
いつもは見慣れた発注商品たちの中に、妙に統一感のあるパッケージが、ズラリ。
「……これ、全部みかんの缶詰じゃない?」
24個入りのケースが、11ケース。合計264缶。
寒さで指がかじかんだわけじゃない…
発注担当のA子が、見た瞬間に膝から崩れ落ちそうになっていた。
「……私、“1”しか押してないのに……」
そこへ登場する、副店長。
カゴ車を一瞥して、ボソリ。
「……売ってね…」
A子「指が…指がさ…」
もはや、誰も理由を聞かない。
⸻
■どう売るか。いや、どう魅せるか。
クリスマス目前。チキンもケーキも場所を取り合っている。
私:「いっそ"缶詰ツリー”ってコーナーにして全部積んどく?」
A子:「それもう食品売場じゃないよね?」
2人「あはははは」
(店長の視線が刺さる。気付かないふり。)
とはいえ、笑ってる場合じゃない。
どうにかまずは“売れそうに見せる”しかないのだ。
突然の“缶詰ラッシュ”に困惑しつつ、でも、あきらめたくない。
むしろ、この大量のみかん缶を**「必要だったかのように」**見せたい!
外は凍えるような寒さでも、私たちは静かに燃え出していた。
そこで私たちがひねり出した策は――
「リース型みかんゼリー」
・みかんゼリーをドーナツ型に成形
・トッピングやアレンジでクリスマス感を演出
・見本品として売場に展示
・POPでレシピとイメージをしっかり伝える

大きなボウルの中に小さなボウやコップを真ん中に入れることでもドーナツ型はできる。

■関連商品で囲い込む。
今回はさらにもう一歩踏み込んだ。
ゼリーに必要なゼラチン。
さらに、クリスマスの団らんにちょうどいい、レトルト食品やジュース、お菓子などの関連商品を周囲に配置。


まるで最初から計画されていたかのように
缶詰ピラミッドで圧倒的量を押し出し、通り過ぎてしまうお客さんの目にいかに触れさせることができるか。
「これは……売れる気がする」
⸻私たちの直感は、当たっていた。
■みかん缶、減る。
「見本のゼリー、かわいすぎ!」
「また作るから、追加で買いに来たのよ!」
「これ、ゼリーにしたら孫が大喜びでさ!」
「レシピ簡単すぎて、逆にびっくりした」
「今度お隣にも配ろうと思って、もういくつか買いにきたのよ!」
次々と手に取られる缶。
“誤発注”は、いつの間にか“ヒット商品”へと化けていた。
副店長が、つぶやいた。
「……やっぱり、売場って生きてるんだな」
A子は言った。
「……クリスマスって、なにか起きるよね……」
⸻
■気づいたこと:目立たせれば、売れる。
今回の成功で、私たちははっきりとわかった。
「何を売りたいのか」がすぐに伝わる売場。
その商品が主役だと、一目でわかる陳列。
POPと見本と周辺商品が一体となって魅せること
これこそが、売場を動かす“鉄則”だということ。
みかんの缶詰は、誤発注だったかもしれない。
でも私たちは、それを“売れる必然”に変えることができた。
このやり方は、確かに通用する。
そう確信できた瞬間だった。
⸻
■……しかし、嵐は去らない。
1月中旬。
今度は節分間近。
やってきたのは――
煮干し。煮干し。煮干し。
そう、またしても、誤発注。
A子:「私の指が……また……?」
私たちは、また試されるのだ…
⸻
▷次回予告
第4話:「鬼のいたずら!?煮干しの逆襲」
煮干しが大量に届く。
売場は乾物の海と化す。
果たして私たちは、無事、鬼を追い払えるのか。
近日公開!
✏️編集後記
記事内の言葉・POP・展開方法は、すべて実際の売場での出来事をもとにしています。
事実に基づいていますが、登場する人物・団体・店舗名などはすべてフィクションです。
実在のものとは一切関係ありません。
こんなスーパーの舞台裏が、どこかで誰かの参考になれば嬉しいです。
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