私とセバスチャン・スタンとコミコン2025 覚書①
まえがき
まずこれを読む前に、人生の主人公は自分であることを思い出してほしい。人間は悲しいことに、他人と比較して負の感情を抱きやすい。
これは私の物語、あなたにはあなたの素敵な物語があることをどうか忘れないで
そして時間のない読者のために先に伝えておく。このnoteは見た目こそ“東京コミコン2025レポ”のようだが、実際は私とセバスチャン・スタンの長い物語であり本編では2025年には触れない。
そのため先に要約しておこう、私は今、セバスチャン・スタンの青い瞳に惹かれ続けてここにいる。
MCUとの出会い
スパイダーマンが大好きだった私が初めてMCUの作品を見たのは、2017年公開のスパイダーマン:ホームカミングであり、そこまで昔の話ではないだろう。MCUといえば、様々なキャラクターの世界観が複雑に交錯し続けている超大規模な一連の作品である。
スパイダーマン:ホームカミングは、MCUで一番最初のスパイダーマン作品であるが、スパイダーマンの登場自体はキャプテン・アメリカ:シビル・ウォーである。
ホームカミングはスパイダーマンの単独作品だが、キャプテン・アメリカ:シビル・ウォーはMCUの過去作品とのつながりが特に深い作品である。この時、私はMCU作品を時系列順に見ることを決意する。
一際目を惹く青い瞳
上の見出しを見て、MCUファンがすぐに思い付くのはキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースのことではないだろうか。
だがしかし、私が目を惹かれた青い瞳はキャプテン・アメリカ:ファーストアベンジャーに登場した「ジェームズ・ブキャナン・バーンズ」というキャプテン・アメリカの親友であった。
キャプテン・アメリカ:ファーストアベンジャーでは、重要な人物ではあるものの、MCUの絢爛たるヒーローたちとは違い単なる親友だった。
次に「ジェームズ・ブキャナン・バーンズ」が登場したキャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャーでは、悪役として重要人物を務める。闇堕ちしているキャラクターに弱いので、洗脳された親友という立場は私にかなり響いた。と言いたいところだが、当時は好き、という感情ではなくただひたすら彼の青い瞳と独特の雰囲気を持つ口元を目で追ってしまっていた。
学生の恋も、稲妻が落ちるような感覚ではなく気が付いたら目で追ってしまっている、という経験はないだろうか。そんな感覚だった。
恋の自覚
いつからセバスチャン・スタンが好きだったかは正直覚えていないし、「ジェームズ・ブキャナン・バーンズ」役をセバスチャン・スタンが演じていることを知ったのもどのタイミングだったか覚えていない。ただ暫くMCU作品を見ているうちは、スパイダーマン役のトム・ホランドが好きだと思っていたし、セバスチャン・スタンのことは"無意識に目で追ってしまう人"だと思っていただろう。
MCU作品を一通り見た中でもキャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャーは、主要キャラであるスティーブを主人公としながらもナターシャにもフォーカスを当てる作品で、純粋に美男美女がかっこいいアクション映画は私の大好物なので考察をしたりして何度も繰り返し見た。
でもやっぱり気になるのは「ジェームズ・ブキャナン・バーンズ」だった。定番ヒーローじゃなくて、「ジェームズ・ブキャナン・バーンズ」のことが私は好きなの?と不思議でならなかったが、何度でも彼の青い瞳と口元を目で追ってしまうので流石に自覚が芽生えた瞬間があった。
コミコンを知る
MCUを好きになると誰もが一度は海外のコミコン写真を見ることになるのではないだろうか。特にキャプテン・アメリカシリーズを好きになった私の情報網にはよくクリス・エヴァンスとセバスチャン・スタンが海外コミコンではしゃいでいる写真が回ってきたものだ。
そんな折に「東京コミコンにセバスチャン・スタンがやってくる!」という2018年開催の東京コミコンの情報が舞い込んだ。(ちなみにホームカミングを2017年に見てからこの間約1年である)
すっかりセバスチャン・スタンの青い瞳に虜になっている私は2度とない機会かもしれないと、学生ながらになけなしのお金握りしめて、勇気を出してチケットを取ることにした。(当時は16,000円だったが学生の私には大金だった)
チケット発売日にセブンイレブンに駆け込んでマルチコピー機に出張って緊張しながら取ったのをよく覚えている。MCUが好きな友達にも撮影チケットが取れたことをすごく自慢して、暫くはその話で持ちきりになった。
全裸でバイクに乗るセバスチャン・スタン
必死で取ったチケットは来日キャンセルであっけなく返金対応となりただの紙切れになった。お詫びの動画と全裸でバイクに乗るセバスチャン・スタンの写真だけが当時のツイッターに流れてきた。(今思えば忙しいスケジュールの中でお詫びの動画を送ってくれるなんて、なんて優しい人なんだろうと思う)
映画のスクリーンの向こう側の人間が海を超えて、日本に、私の隣に立つのはとてつもなくハードルが高いことなのだと思い知らされた瞬間だった。

翌年2019年に再び「東京コミコンにセバスチャン・スタンがやってくる!」という情報が入り大喜びしたが、去年の大ショックがあった私はそこまでの期待はしていなかった。が、やはり来日キャンセルになった。しかも今度はチケット販売前に。全裸でバイクには乗っていなかったが。
空白の5年間
ここまで来ると自分はセバスチャン・スタンが好きであるという自覚をしっかり持っていた。
そして、日本に来てくれることに期待はあまり持たないようにしながら暮らしていた。バキ翼が最高だった時も、ステイホームで彼が大暴れしている時も、メットガラでパキパキピンクのスーツでビシッと決めていた時も、会える機会が来るとは全く思っていなかった。
スクリーンの向こう、海の向こうにいる彼をニヤニヤ眺めてるだけで十分幸せだった。
コロナ禍も落ち着き、映画界にもやっと活気が戻ってきた2024年、そう2019年から約5年後に再び「東京コミコンにセバスチャン・スタンがやってくる!」という信用のならない文字が飛び込んできたのだ。(念の為弁明しておくが、セバスチャン・スタン本人に信用がないわけではない、ここで言う信用がないは彼の忙しさを誇りに思う意を込めている)
発表も束の間、流石に3度目なのであっさりと書いてしまうが来日キャンセルになった。あまりにもあっさりだったので、迷惑メールが送られてきたぐらいの受け流し方でこの辺りの記憶はほぼない。
in Tokyo with me!
セバスチャン・スタン来日キャンセルになった2024年東京コミコンに対し、友人は今年もマッツとベネ様と写真を撮るのか、いいな〜セブなんてまた思わせぶりな…なんて冗談めかせながら言っていると、衝撃的なニュースが入ってきた。
「東京コミコン2024 アフタークリスマス開催決定!年末はセバスチャン・スタンと過ごそう!」
年末はセバスチャン・スタンと過ごそう?何を言ってるんだ…アフタークリスマス?何それ…
アフタークリスマスというものが何かもわからないまま突然年末にセバスチャン・スタンと過ごすことが決まった瞬間である。日本のセバスチャン・スタンに会えることを長年待ち望んだファンたちが一斉に「とにかく詳細をくれ!」と困惑していたのは今でも覚えている。
突然森の精霊が如く現れて、いままで会えなくてごめんね、実はなんと特別イベントをやります!(キラキラ笑顔)なんて日本に向けたメッセージを送られたら有無も言わずに年末の予定なんて秒速で空けるに決まってる。
具体的な内容としては、ザ・プリンス パークタワー東京で12/28,29,30の3日間、写真撮影とサイン会、食事などを含めたパーティをやるという企画だった。
特別な東京タワー
2018年の雪辱を晴らす思いで、私は30日の写真撮影、サイン会のチケットを1枚ずつ握りしめ会場に向かった。
会場は東京タワーの向かいにあるザ・プリンス パークタワー東京で、関東出身の私には見慣れてる東京タワーのはずなのに、この日は何か特別に見え、気づいたら写真を量産していた。

ちなみにこの時私はハリウッドスターと写真を撮るなんて大層な出来事すぎて、写真撮影とサインは一人一回ずつ、パーティなんていける階級の人間ではないので行かないよ…なんて真面目に思っていた純粋な少女である。
今はハリウッドスターに会いに海を渡って行く人、ハリウッドスターに会うために何回もループする人を大勢見てしまい、そんなピュアな感性は消え去ってしまったし、大富豪の顔をして堂々とパーティに行けばよかったという後悔になってしまっているが、どうか初心として忘れないようにしたい。
兎にも角にもこの日が私とセバスチャン・スタンが初対面する記念すべき日である。国の祝日にしたい。友人(高校生の時から好きな女性モデルの推し)に真剣に撮影ポーズの相談に乗ってもらい、この日のためにポーズをお願いする英会話をAI英会話アプリで何度も練習した成果を発揮する時だ。

本物のセバスチャン・スタン
結婚披露宴でもやるのかというぐらい立派な建物に、多くのセバスチャン・スタンに会いに来たファンが集まっていた。この時点で私は感動していた。
私にとっては念願の大スターだったけれど、やはり周りの友達や職場の仲間にはアイアンマンだとか、スパイダーマンだとか王道キャラでないとピンと来ず、セバスチャン・スタンと言っても伝わらない経験は数多くしてきた。でも今この会場にはセバスチャン・スタンに会うことだけを目的とした人間しかいないのだ!今までどこにいたのだこの人間たちは。
まずは撮影会から参加で、本人が待ち受けているフロアとは隣にあるフロアの待機列に並んだ。せっかちなので先頭から3番目に列に並んだ。
あまりにも緊張してスマホを見る余裕もなくソワソワしながら会場を見渡していると、休憩入りするセバスチャン・スタンが列の前にある通路を通り過ぎ、こちらにお手振りしてくれたのだ。これがファーストウォッチ。
私は輝かしいスターのことを総じてミッキーマウスだと思ってしまう癖があるので、思わず「ミッキーマウスやんけ…」という心の声が漏れた。なんならツイートした。

列が進みだし、撮影ブースの真横まで来たところで、休憩からセバスチャン・スタン様がお戻りになられ颯爽と横を通り過ぎていった。“優しい風が吹いた”とかロマンチックな描写を入れる余裕なんて一切なく、先頭3列目にいたので撮影ブースの中へと入ることになった。
まず最初にコミコン用(?)にソロで写真撮影をしてから、私たちに手を振り、カメラマンの準備が終わるまでの間、先頭の女性に「どこから来たの?」など話しかけ私たちを和ませようとしていたのを覚えている。
撮影が始まってからはあっという間だった。「セブいい匂いする!この香水らしい!」なんて話題になっていたが私はふわふわの何かと触れ合った謎の記憶しかない。

なんとかAI英会話アプリとの練習の成果もあって、やってほしかったハートを一緒に作るポーズとちゃっかりハグのお願いもさせてもらって、実は背に手を回されている写真が完成した。家宝爆誕。
コーラを飲むお疲れセレブ
人間浮かれ始めると財布の紐が緩み出します。当日コミコンプレミアくじという、東京コミコン2024にもあった1回3,000円で1/5の確率でセレブと会える!と謳ったくじがあったのだ。
数週間前の東京コミコン2024でもうっかり12,000円払ってベネ様とお会いすることができた。サイン会の待機列に並び、サインの列が解消されたらセレブの前を美術品を見るようにウォークスルーするという一目だけでも見たい人向けのケチくさい商売だ。
しかし浮かれるとケチくさい商売だろうがお構いなしになっているため、コミコンプレミアくじを1回だけ回した。そしたらなんと見事にグリーティング券を手に入れることができたのだった。

不意に訪れた再会の機会に動揺するも待機列に並んだ。何を話すのか、話す時間があるのかさえわからないまま待っていると、隣に並んだ女の子が話しかけてくれた。
私と同じく、計画にはなかった再会の機会に動揺していて、これって具体的に何するんですかね?という会話から、自分の好きなセバスチャン・スタンの出演作品はなんだとか、チケットの額の跳ね上がりは出世だとか、順番が来るまで楽しくお話しした。映画や同じ俳優が好きな友人は一人もいなかったので並んでいる間も素敵な時間を過ごせた。
いざ順番が来て、サイン会のデスクにコカコーラとドライフルーツを置いた少しお疲れ顔のセバスチャン・スタンを目の前にした。
3日間間髪入れずにファンとの交流を優先しており、休み時間もずらしてくれてたと聞いている。
私の前の順番の人はそんな彼を心配して「疲れていないですか?大丈夫ですか?」と彼のためを思った質問をしていた。
そこに現れた空気の読めない人間が私だ。隣に並んだ女の子と相談して「可愛いポーズをしてほしい!」という欲望まみれなお願いをした。
セバスチャン・スタンは、何をしているんだ?というキョトン顔であったが、私の真似をして両ほっぺに人差し指をチョンと付けるぶりっ子ポーズをしてくれた。
実際の当時のレポート
me「i want to see your pretty face the best」
seb「^-^」
me「i study English for today」
seb「yeah your English is great! thank you!」
記憶より結構長めに話してて草。私は一体何をしているんだろうか、自戒の念に囚われながらも決めた言葉しか発することができなかったんです、と心の中で懺悔をした。
サインチェキ爆誕
最後に16:00~のサイン会を控えていたが、時間は結構押していた。アフターパーティのための席抽選が始まるので列を抜けるような案内などが既に飛び交っていた。
今回サインしてもらうものにはかなり迷ったが、東京コミコンで販売していたバキ翼のフォトカードに書いて貰えば大切な思い出を常に持ち歩けるのでは?と思い2種類を用意した。
自分のサインの番になってセバスチャン・スタンの隣にいた通訳さんに「どちらがお気に入りのシーンか選んでサインしてほしい」と頼んだ。

サインを書いてもらってからの記憶は正直ない、ウキウキで帰ったのだろう。写真フォルダには夕焼けとザ・プリンス パークタワー東京の写真と、コンビニで買ったラーメンといちごの氷結を並べた写真が残っていた。
ありがとう、セバスチャン・スタン。(2024年編〜完〜)
