交換日記
母がガンを告知され
私は何かを残したいと思った
お互い書く事が好きだったので
思いつきで交換日記を提案したら
母は目をキラキラさせた
2人とも書くことが好きだったし
気持ちを書く事でお互いに
支え合えるのでは?と思ったからだ
2人でノートを選びに行き
早速、母娘の交換日記が始まった
ちなみに実家は近所だったので
母とはほぼ毎日会ってたくさんの
お喋りをしていたが
それでも懲りずにお互い書き綴った
母が亡くなるまでの約3年間で
たくさんのノートが残った
そのノートが入った箱を
私は何年も開けられずにいた
開けるのが怖かった
少し落ち着いた悲しみが
津波の様にまた、押し寄せるのが
怖かったのだ
9年経って私はやっと箱を開けた
懐かしい字が目に入る
文言も懐かしく母が隣で話しかけて
くれている様な思いに駆られる
愛おしくて読みながら泣いた
時を跨いで母の大きな愛は
変わらず私を包み込んだ
箱を開けるのを
躊躇していた理由はもう一つある
読んだら処分をすると決めていたからだ
(処分というと寂しい言葉になって
しまうので私は「ありがとうをする」
と表現する)
もちろん残しておきたい言葉や
ページは切り抜いたりスマホのメモに
残したりした
「ありがとうをする」と決めたのは
一歩前進したかったからだ
母との思い出は交換日記が無くなっても
ノートが無くなっただけで
思い出や愛情は心の中に強く
鮮明に残っている
自分もある程度の年齢になってきて
身の回りの整頓も考えた結果だ
感謝しながらシュレッダーにかける
泣きながら、笑いながら
少しずつ気持ちが
清々しく そして温かくなった
スマホのメモにはたくさんの
母の言葉が残っている
元気のない時は読み返す
そして、また前を向いて生きるのだ
母とは心の中で今も一緒だ
私の宝物入れの箱の中に
実はまだ1冊残っている
亡くなる前までの最後の1冊
この日記帳はもう少しここで
私を見守ってもらうことにしよう
