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初めての「面白かった」#あれがそうだったのか

自分に文章の才などないのだと分かっている。
子どものころから今まで、文章で評価されたことは一度もない。夏休みの読書感想文も、noteのコンテストも選ばれたことはない。
それでも、文章を書きたい。

今こうして文章を書いていられるのは、インターネットの出現と、友人のたわいない一言のおかげだと思っている。

ほとんどの家庭は携帯電話はおろか、パソコンすらないくらい昔のことだ。私は、流行のブランドの洋服より、自分用のパソコンとインターネット環境が欲しかった。

バイト料でローンを組んで、Macintoshの廉価版を買った。パソコン雑誌と、PCに詳しい友人や大学の先生の助言を受けながら、自宅にインターネット環境を構築した。
当時、インターネットにアクセスできる人たちの間では、自分のホームページを持つのが流行っていた。まだnoteやブログのような便利なツールはなかったので、HTMLというプログラム言語を使って、企業のサイトみたいな見た目のホームページを一つ一つ作ることになる。私も見よう見まねで作ってみた。そして、そこに日記のようなエッセイのようなものを書いてみた。

当時、文章を書いて公表できる手段として私が知っていたのは、学校で読書感想文や作文を書いて選ばれるか、文芸部に入って部の雑誌に書くか、同人誌を作ってコミケで販売するか、文学賞に応募して賞をとってデビューするか。もともと文章の才のない私にはどれもハードルが高かった。

そこに「インターネット」というツールが現れた。
お金をかけずに、書きたいものを書いて簡単に公表できる。日本中の人に読んでもらえる。そして、私がどこの誰だかバレることがない。

書きたいことを書きたいように書いた。
(何を書いたかもう分からないが、今、読み返したらきっと地球の裏側に逃げ出したくなるくらいひどいものに違いない)
それが、とても楽しかった。
今日は何を書こうかと、毎日ワクワクしていたのを憶えている。当時はまだインターネットにアクセスする人も少なかったので、読んでくれる人はほとんどいなかった。でも、返ってそれがよかった。「炎上」することも、勝手に拡散されることもない。

私のホームページの存在は、インターネットにアクセスできるように手を貸してくれた友人にだけ知らせた。

「あの記事面白かったよ」

私のホームページの文章を読んだ友人から、こんな言葉をもらった。
それは、小学校のころの思い出話を書いたものだった。
私が小学校のレクリエーション係だったときのこと。私の通う小学校では、全校集会の最後に全校生徒で歌を歌う時間があった。歌う曲を選ぶのがレクリエーション係の仕事。私は、前々からなりたかったレクリエーション係になれて張り切っていた。
担当の先生は、小学校唱歌が掲載された本『みんなの歌』の中から歌を選んでと言ったのだと思う。しかし私は、なぜかそれをNHK教育テレビ(現:Eテレ)の子ども向け音楽番組「みんなのうた」だと勘違いした。
集会で「みんなのうた」のある曲をかけたら、それまでお通夜みたいだった歌の時間が大盛り上がり。1年生から6年生までノリノリの大合唱となった。それ以来、小学校では集会の時間にNHKの「みんなのうた」を歌うのが習慣になったとか、ならなかったとか。
この、”本”の「みんなの歌」と”歌番組”の「みんなのうた」を勘違いして曲を選んでしまった事実を今日まで誰にも言い出せなかったという話。

文章の元ネタが面白かったことが大きな理由だと思うが、自分が書いた文章を読んだ人から「面白かった」と言われたことは、これが初めてだった。

自分の書いた文章が褒められた。
驚くと同時に、今まで経験したことのないうれしさがこみ上げた。
例えば、背が高いとか、頭がいいとか、人が持って生まれたものを褒められたときとは違ううれしさ。自分の努力が認められた、報われたような、体の奥底から自信がわいてくるような喜びだった。

多分、私はこのときの喜びが忘れられなくて、今も文章を書いているのだと思う。
「面白かった」この一言が欲しくて書いている。

もちろん、そんなに毎回うまく書けるはずもなく、最近では、自分の文章が面白く感じられなくて、書きかけのまま投げ出してしまうことも多い。うまく書こう、面白いと言わせようと思うばかりに、書けなくなることもしばしばだ。

それでも「面白かった」と言われたくて、書こうとしてしまう。ネタを探してしまう。
本当は、他人の評価をアテにしたら辛くなるからダメなのだと思う。でもやっぱり、クリックして開いてくれたからには「面白かった」と思ってもらいたいし、言われたい。

今は「風の時代」なのだそうだ。最近、新しい風に乗って飛躍する人を見かける。できるなら、私もその風に乗ってみたい。

これから書くものは、これまでと全然違うものになるかもしれない。期待外れでがっかりさせてしまうかもしれない。もう読んでくれないかもしれない。
それでも、私は自分が書きたいものを「面白く」書きたい。
初めての「面白かった」を思い出して、今、そんな気持ちが湧いている。

らんさんの「初めて」の企画に参加させていただきました。
ああ、やっと書けた!
らんさんの企画noteを読んでから2週間、ずっと書いては消し、消しては書き、ちっとも仕上がらなくて歯がゆい気持ちと葛藤しておりましたが、やっと生み出せました。
この企画のおかげで、「初めて」のことや「最後」になったこと、過去の様々な出来事を記憶のアルバムをめくりました。そこには、いつも必ず誰かがそばにいてくれたことに気づきました。らんさんもその一人です。ありがとう。素敵な企画です。

まだ参加されていない方はぜひ。とてもすばらしい思い出の旅に出かけられます。

#あれがそうだったのか

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