見出し画像

ゴルフがくれた縁  第6話       「旅をする時間」

エミといる時間は、とにかく楽だった。

気を遣わない。

無理もしない。

何より、一緒にいると頭が軽かった。

仕事のことも、不安も、ストレスも。

余計なことを何も考えなくてよかった。

そんな時間が、俺には心地よかった。

気がつけば、二人で旅行へ行くようになっていた。

もちろんゴルフもセットだ。

思い返すと、本当にいろんな場所へ行った。

どこへ行ったかも思い出だけど、

何より思い出すのは、その道中だ。

エミの運転する車の助手席。

それが俺の特等席だった。

景色を見ながら話をしたり、

音楽を聴いたり、

くだらないことで笑ったり。

そんな何気ない時間が、本当に楽しかった。

それにエミは、運転すると少し性格が変わる。

普段は落ち着いているのに、運転すると意外と飛ばす。

そして少しだけ口も悪くなる(笑)。

そのギャップがまた面白かった。

見た目は小柄で可愛らしいのに、中身は完全に「姉さん」。

ちなみに年下だけど(笑)。

俺とは育った環境も仕事も違った。

だから話を聞いているだけでも新鮮だった。

俺が知らないお店を知っていて、

俺が行ったことのない場所へ連れて行ってくれる。

そんな時間が、どんどん増えていった。

あの頃は、それが当たり前だと思っていた。

来月はどこへ行こう。

次はどこのゴルフ場にしよう。

そんな話をしている時間が、ずっと続くものだと思っていた。

でも人生は、そうじゃなかった。

今思えば、

あの何気ない時間こそが、一番幸せだったのかもしれない。


関連記事


いいなと思ったら応援しよう!

rm0618 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。現場で長く学んできたことを、飾らず正直に書いています。「読んでよかった」「また読みたい」と思っていただけたら、応援していただけると励みになります