レモンと塩と風の午後(あるいは午後の相変化)ー海の日に寄せて
砂浜の縁で
台風はもう低気圧ではなく
海藻と白い破片の分布になっていた
沖では水が
風とは別の計算で静まり
雲の影だけが
浅いところを移動している
東屋の柱は
吹いてくる空気をいくつかに分け
机の上の冷たいレモン缶には
午後の水滴が集まった
暑さは消えない
ただ風が通るたび
からだの周囲に
短い余白ができる
それからバイクは
海岸線を離れ
塩気のある空気を
街の信号へ運んでいった
A&Wの扉が閉じる
外の風はそこで切れ
白と黒の床の上に
冷房の静かな領域が始まる
コーヒーの暗い層から
ソフトクリームがゆっくり沈み
揚げたての輪は
指に持てないほど熱い
海からここまで
景色はいくつも変わったのに
テーブルの端ではまだ
レモンと塩と風の午後が
小さな画面の向こうへ
途切れず流れ込んでいた
画像の抽出過程


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