ただピアノを習っていただけなのに
音楽の道を歩き始めた16歳の娘と、気づけばすっかり翻弄されている母の日常を綴ります。
16歳の娘は、音楽を専門的に学びながら、年間20回を超える舞台に立っている。
まだまだ発展途上の、いわばジュニアピアニストだ。
ついこの間まで、私の横で30分の練習をしていた小さな女の子だったのに。
……なんて書くと、最初から英才教育をしていたように聞こえるかもしれない。
でも、全然違う。
娘が生まれたとき、私は決めていた。
4歳になったら、ピアノとバレエを習わせよう、と。
別に、プロになってほしいと思っていたわけではない。
そもそも私は音大を出ているので、音楽の世界がどんなところか、多少は知っている。
4歳や5歳から始める子が珍しくないことも知っていたし、逆に10歳になってから、
「ママ、ピアニストになりたい!」
と言われても、そこからではなかなか大変だということも、なんとなく分かっていた。
だから、
やるなら、とりあえず早いうちに。
それくらいの気持ちだった。
ピアノとバレエ。
どちらも小さい頃から始めておけばいい。
プロにならなくても、人生の中で音楽や芸術を楽しめるようになれば、それで十分。
そんな、いたって普通の親心だった。
今思えば、あの日はまだ何も知らなかった。
この小さな女の子が、これからどんなふうにピアノと出会っていくのかも。
次は、当時4歳だった娘のピアノの最初の一歩についてお話したいと思います。
