デイサービスの「加算」、正直どれが取れているか把握できていますか
稼働率はそれほど悪くない。利用者も安定している。
なのに、同じ規模の他の事業所と比べると、どこか収益が薄い気がする。
そういう感覚があるとしたら、加算の算定状況を一度確認する価値があるかもしれない。
デイサービスの収益は「基本報酬 × 稼働人数」だけではない。
加算をどれだけ算定できているかで、同じ稼働率でも月次の売上が数十万円変わることがある。
その差に気づいていない経営者は、現場の感覚として、決して少なくない。
「加算が弱い事業所」に共通すること
デイサービスの立ち上げや運営改善に13年関わってきたなかで、繰り返し見る光景がある。
加算の算定が弱い事業所に共通するのは、悪意でも怠慢でもない。
「自分たちが取れる加算を、網羅的に把握していない」というケースが圧倒的に多い。
基本報酬の請求はできている。でも加算は、なんとなく知っているものだけを算定している。
そういう状態のまま、何年も運営が続いている。
それで特に大きな問題になっていないように見えるが、取れていない加算は毎月確実に損をしている。
「稼働率を上げれば改善する」より先に、「今取れていない加算を取る」ほうが、費用対効果が高いことは多い。
取れていない加算が発生する、3つの理由
デイサービスで算定できる加算には、基本報酬のほかに複数の種類がある。
個別機能訓練加算、口腔機能向上加算、栄養改善加算、認知症加算、中重度ケア体制加算、ADL維持等加算、科学的介護推進体制加算(LIFE加算)——代表的なものだけでもこれだけある。
<!-- [要・実数補強]:各加算の単位数(例:個別機能訓練加算Ⅱ=56単位/日、ADL維持等加算Ⅱ=60単位/月、科学的介護推進体制加算Ⅱ=40単位/月など)と、定員15名・月22日稼働の事業所で主要加算を算定した場合の月次加算収入の試算を加える。「未算定の加算が3本あると月XX万円の差になる」という具体的な数字で、損失の実感が伝わる。 -->
取れていない理由は、3つのパターンに整理できる。
① 要件を満たしていないと思い込んでいる
算定要件の解釈が古かったり、実際より高いハードルを想定していたりするケースだ。
たとえば個別機能訓練加算は、「機能訓練指導員が常勤でなければ取れない」と誤解されることがある。
実際には配置要件の解釈次第で、非常勤専従でも算定要件を満たせる場合がある。
「うちは無理」と決めつけていたが、要件を読み直したら算定できた——というのは珍しい話ではない。
② 加算の存在そのものを把握していない
2021年度改定で整理されたLIFE加算は、まだ算定していない事業所も多い。
LIFEへのデータ提出という運用負荷はあるが、仕組みを一度作れば継続的な加算収入になる。
「なんとなく難しそう」「対応する人手がない」で手を付けていない、というのが最も多いパターンだ。
③ 実施しているのに、請求が漏れている
サービスは提供しているのに、書類や記録の要件を満たせておらず請求に乗せられていない。
現場が記録を残していても、その記録が算定要件を満たす形式になっていないという問題だ。
「取れていない」のではなく「取れているのに取っていない」状態で、3つのなかでは最も改善しやすい。
加算の算定状況は、事業所ごとに人員構成・サービス内容・記録体制が違うため、一律に「これを取れ」とは言えない。
どの加算が自事業所で取れる状態にあるかは、個別の構造判断が要る部分だ。
収益構造の全体像——加算を含めた設計がどうなっているかという問いを、同じ視点からさらに踏み込んで整理しています。
デイサービスはなぜ苦しくなったのか──15年現場にいて見えた"軽度モデル崩壊"の正体
加算を「取れる状態にする」ために整備すること
加算の算定には、3つの整備が必要になる。
① 人員・体制の要件確認
加算ごとに、必要な資格職の配置が異なる。機能訓練指導員、管理栄養士、言語聴覚士など。
まず自事業所の人員構成がどの加算の要件を満たしているかを、一度棚卸しすることが出発点になる。
人員を1名追加することで取れる加算があるなら、その人件費と加算収入の差額を計算すれば投資判断ができる。
「人を増やす余裕がない」ではなく、「増やした場合に加算収入が人件費を上回るか」という計算の問題だ。
② 書類・記録のフォーマット整備
加算算定は、サービスの実施だけでは足りない。
個別計画書の作成、定期的な評価と記録、モニタリングの実施記録——これらが算定要件を満たす形式で存在していることが前提になる。
現場の記録がすでにあるなら、書式を変えるだけで算定に乗せられるケースもある。
最初から作り直す必要はない場合も多い。
③ LIFE提出の運用体制づくり
LIFE加算を算定するには、定期的なデータ提出が必要だ。
最初の設定と入力の仕組みづくりが最大の負担だが、一度動き出せば継続的な収入になる。
ICT補助金が活用できるケースもあり、導入コストそのものを抑えられる場合がある。
稼働率を上げる前に、まず加算の棚卸しをする
正直なところ、加算の算定を整備するだけで月次収入が数十万円改善した事業所を、複数見てきた。
利用者を増やしたわけでも、スタッフを増員したわけでもない。
「すでにやっているサービスを、正しく請求できるようにした」だけだ。
稼働率の改善には時間がかかる。利用者を増やすにはケアマネジャーへの営業が要る。
加算の算定整備は、それより早く、小さい投資で収益を改善できる可能性がある。
今の事業所で取れていない加算がないか——まずそこを確認することが、現場の感覚として最も費用対効果の高い一手だと思っている。
加算を含む収益構造の全体設計——制度変化の中でどう収益を作るか——について、同じ問いをさらに踏み込んで整理しています。
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