「こんなにアラがあるのに、なぜ受賞できるのか」──受賞作品を読みながら考えたこと|創作|小説|文学賞|文章術|読書|新人賞|文体分析|
皆さん、こんにちは。
HSP×アンチ東大主義の、
@おはようございますです。
文学賞の受賞作を読むとき、ときどき驚くことがある。
「え、こんな表現でいいのか?」
「ここ、視点がぶれていないか?」
「語の選び方が雑ではないか?」
実際に読んでいると、細かな違和感はいくつも見つかる。
たとえば、比喩の向きが不安定な表現。
たとえば、評価主体が混線している一文。
たとえば、情報が重複していて鈍く感じる描写。
こうした局所的な粗さを見つけるたびに、
「こんなにアラがあるのに、なぜこの作品は受賞できたのだろう」
という疑問が浮かぶ。
だが、読み進めながら気づいたのは、
その疑問自体が、文学賞を「減点方式」で
見ているところから生まれているのではないか、
ということだった。
文学賞は減点方式ではない
国語・小論文の答案なら、表現の誤りは減点対象になる。
比喩が不自然なら減点。
視点が乱れていれば減点。
語の重複があれば減点。
だが文学賞はそうではない。
文学賞が見ているのは、
その作品にしかない力があるかどうか
なのではないか。それが見えて来た。
たとえ一文一文を見れば粗さがあっても、
語りに熱がある
登場人物が生きている
テーマに切実さがある
読後に強い印象が残る
そうした作品全体の力があれば、受賞に値する。
つまり、
文章のアラの少なさが評価されるのではなく、作品の強さが評価される
のである。
局所の正確さと作品の価値は別である
読み手として細かな違和感に気づくことは大切だ。
たとえば、
「男の蛮行のおかげで」
交通ルールを無視する男の行為を
「蛮行」という強い非難の語を使いながら、
「おかげで」という利益評価を重ねると、
評価主体がぶれて見える。
あるいは、
「若者」と書いた直後に「若い男」と書けば、情報が重複し、文章が鈍くなる。
こうした指摘は確かに正しい。
しかし、
局所に問題があることと、作品全体の価値が低いことは別
である。
一文に粗さがあっても、
作品全体として読ませる力があれば、
その価値は損なわれない。
むしろ文学では、
整いすぎた文章より、多少粗くても力のある文章
が評価されることすらある。
粗さが熱になることもある
文章の粗さは、必ずしも欠点ではない。
比喩が少し荒い。
言葉がやや過剰。
視点がわずかに揺れる。
こうしたものが、
かえってその作品の熱量になる場合がある。
整いすぎた文章は、たしかにきれいだ。
だが、きれいであることと、強いことは違う。
文学では、
粗さの奥にある切実さ
のほうが重要なことがある。
言葉が少し不器用でも、
その不器用さが感情の生々しさになることがある。
だから、
技術的な粗さが、そのまま表現の弱さになるとは限らない
のである。
「アラがあるのに受賞した」のではない
考えてみれば、
「アラがあるのに受賞した」
という言い方そのものが、
「本来ならアラがあれば受賞しないはずだ」
という前提に立っている。
だが実際には、
アラがあっても、それを超える魅力があれば受賞する
のである。
これは「欠点に目をつぶった」という意味ではない。
むしろ、
欠点込みでなお評価されるだけの強さがあった
ということだ。
文学賞は「欠点の少ない作品」を選ぶ場ではなく、
読む価値のある作品を選ぶ場
だからだ。
細部を見る力と全体を見る力
細かなアラに気づくことは、読む力の一つである。
比喩の不自然さ。
視点の乱れ。
語の重複。
それらに気づけるのは、言葉に対する感度が高いからだ。
だが同時に、
細部を見る力と、作品全体を評価する力は別
でもある。
細部の瑕疵を見抜けることと、その作品の総体としての価値を判断することは同じではない。
もし細部だけを見れば、
「ここがおかしい」
「ここも粗い」
となる。
しかし全体を見れば、
「それでもこの作品には力がある」
ということがある。
文学賞が見ているのは後者だ。
文学は「正しさ」だけでは決まらない
結局のところ、文学は「正しい文章」を競うものではない。
もちろん技術は大事だ。
だが、技術だけで作品の価値は決まらない。
文学が問うているのは、
その作品が読む者に何を残すか
である。
だからこそ、
一文にアラがあっても受賞する作品がある。
それは審査が甘いからではない。
アラを超えるだけの表現の力があるから
だ。
細部の正確さは大切だ。
しかし、それだけでは文学にはならない。
文学賞の受賞作に粗さがあるのは不思議ではない。
本当に見るべきなのは、
その粗さを超えて、なお残るものがあるかどうか
なのだと思う。
受賞作検証を行ってきたうえでの、
「傾向と対策」なことを書いてみました。
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@おはようございますでした。
