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ekakinonakagawa
見えない敵と戦う少年だった――新聞紙の剣と、母の笑顔と。
僕は小さなころ、戦隊ヒーローになりきって、見えない敵と戦っていました。
もちろん、本物の悪者なんていません。ただ、心の中には確かに「敵」がいて、それを倒すことで、世界を守っているつもりだったのです。そんな話。
1.ターボレンジャーのあとで
当時の僕にとって、『ターボレンジャー』は最高のヒーロー番組でした。
放送が終わると、母が新聞紙を丸めて「剣」を作ってくれます。僕はそれを手に、本気で戦いを挑みました。もちろん、相手は母。
でも、子どもは手加減を知りません。容赦なくパンチやキックを繰り出していたと思います。
――あの頃、母の笑い声が一番のBGMでした。
2.母が忙しい日は、頭の中で。
母が台所で忙しいとき、僕は想像の世界に潜り込みました。
リビングが戦場になり、空気の向こうに敵が見える。僕は真剣に戦っていました。
誰も見ていないけれど、その瞬間だけは、本当にヒーローだった気がします。
3.あの頃の「見えない敵」は
今思えば、あれは孤独とか不安とか、言葉にならない感情の象徴だったのかもしれません。
それでも、母の作った新聞紙の剣を手にすれば、少しだけ強くなれた。
――大人になった今も、僕はときどき思うんです。
あの頃と同じように、見えない敵と戦っているな、って。
