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【自治体職員のリアル】最終回 区切りの日

朝は、いつもと同じだった。
特別な日だからといって、特別な朝になるわけではなかった。

少しだけ緊張していたけれど、
起きて、準備をして、家を出る。
42年働いた最後の日の朝も、結局いつもと同じ朝だった。

辞令交付は、あっという間に終わった。
名前を呼ばれて、前に出て、紙を一枚受け取る。
それで終わり。

42年の区切りが、紙一枚なんだな、と思った。
重いような、軽いような、不思議な気持ちだった。

そのあとは、町内の挨拶回り。
「ありがとうございました」の気持ちで回った。

でも、どこに行っても聞かれたのは、次の仕事のことだった。
応援してくれているのか、
心配してくれているのか、
それとも、ただの好奇心なのか。

同じ説明を何度もして、
何度も「頑張ります」と言った。

今日は感謝を伝える日のはずなのに、
未来の話をたくさんした一日だった。

午後は、役場の中での挨拶回り。
本当は一人ひとりとゆっくり話をした方がいいのかもしれない。
でも、照れくさいのもあって、結局どこへ行っても、

「ありがとうございました」

それだけを言って回った。

いろいろな言葉をかけてもらったけれど、
一番多かったのは、

「お疲れ様でした」

という言葉だった。

42年間の「お疲れ様」を、
一日でまとめて言ってもらったような、
そんな一日だった。

セレモニーの前は、不思議なくらい落ち着いていた。
会場に入ると拍手で迎えてもらい、
今日は自分が主役なんだな、と
少しだけ他人事のように感じていた。

感謝状をもらい、
同期から花束をもらった。

挨拶は緊張していたはずなのに、
話し始めると少し落ち着いて、
でも喉はカラカラだった。

退職された先輩方への感謝、
そして、今一緒に働いている仲間への感謝。
それだけは、しっかり伝えたかった。

セレモニーが終わり、
職場に戻って、みんなで写真を撮って、
最後は笑顔で帰ってきた。

こうして、42年間の役場生活が終わった。

長かったような、
あっという間だったような、
不思議な一日だった。

ここまで来ることができたのは、
本当に多くの人のおかげだと思います。

一緒に働いた職員の皆さん、
お世話になった町内の皆さん、
関係団体の皆さん、
本当にありがとうございました。

そして、
最後の一年を支えてくれたメンターに、心から感謝しています。

区切りの日。
自治体職員としての第一章が終わります。

north60

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