Twin stars (理央&真央)
慶司: 『休日のパパみたいなヒトですが』
そんなタイトルと共に、弟(慶司)からLIN○に送られてきた画像。
「随分とお優しそうな方ね。」
理央が言った。
「でも、直に会ってみなければうちらはなんとも言えないけど。」
理央に来たその画像、もちろん私(真央)のところにも送られてきている。
「そんな事言って。良いヒトに決まってるじゃない。私は、良いヒトだと思うけどな。」
こういうのって、疑ってかかったら一々キリがないからね。..誰かさんみたいにw
「誰かさん、って誰よ?」
理央は、むくれる。
「それは、私のよーく知っているヒトです。」
双子とはいえ、私達は似ていないフシの方が多い。でも、それがまた面白いのかもしれない。
世の中混ぜるな危険という口もあるのだろうけど、私達は違う。
意見をぶつけ合う事で切磋琢磨し合っているし、そこから不思議な化学反応を編み出す時もある。
「それにしても、目鼻立ちが整っていてかなりかわいい顔なさっていると思わない?服装の方は、もっとお勉強なさる必要あるみたいだけど。」
「身長の方は、私らより少し高いかぐらいで。」
「うーん、典型的な優男さんって感じよね。慶司って、何気に面食いだわ。」
あれこれと、まるで品評会をしているとか..ご本人様には失礼な所業をしてしまっているけどね。
それもこれも、しばらくお店に顔を出さない慶司のせいである。
大事なお話は、直接私達に会って話しなさいよね、慶司。
「ちょっと待って。この方は黙っていても女の子達に普通にモテそうじゃない?。女の子達に放って置かれるようなタイプじゃないでしょ。」
「これは、水面下で一波乱あったんじゃない。」
「むしろ慶司の方が、苦労しそうじゃない?。」
「顔だけなら、慶司だって負けてないわよ。アイツ、顔だけは良いんだからね。」
あーだ、こーだなどと、私達は内輪で論を重ねたりしているけどさ。...
つい、老婆心が先に立つのが。
単なる癖なのかもしれないけど、私(理央)は1番上の姉だし。
ちゃんと、慶司がご飯食べられているのかという心配もある。
真央は、私の近くに居てくれているから真央への心配はないけど。
見た目はじゃがいもでも良いから、ちゃんと慶司を大事にしてくれる良いヒトと一緒になって欲しいって思っている。
慶司は十条さんの事を『見た目』で好きになったわけじゃないとも言っていた。
私は、【初めて十条さんの事を書き込んできたトーク】まで、遡ってみた。
慶司 : カラスって、近くで見ると。結構かわいい顔してるよ。お昼に、見た。
理央 : カラスの顔ってwご飯、ちゃんと食べてる?お昼は何を食べたの?
慶司 : サンドイッチとコーヒー
理央 : 今晩、夕飯にこっちにいらっしゃい。そんなんじゃ身が持たないよ。
慶司 : カラスから俺の昼飯守ってくれたヒトがいて、そのヒトは、俺の上司で十条 雀さん。
理央 : じゃあ..その十条さんと、一緒にランチだったの?
慶司 : うん。ずっと、俺のそばにいた。コンビニの『ご褒美弁当』とかいうのを食べていた。
理央 : 何か、お話とかしたの?
慶司 : したよ、俺達。すげー気が合うんだ。その十条さんは、俺の冗談とかに結構笑ってくれて。面白いから一緒にいても飽きないって。
理央 : それは、良かったね。^^(ちなみに、慶司は、人前で冗談をいうようなタイプではない。でも、そこは否定しないでおく。確認のしようがないから。)
慶司 : あと、十条さんはコーヒーがめっちゃ好きなんだって、俺にだけ打ち明けてくれてて。コーヒーの美味しいお店知ってたら教えてよ。十条さんを連れて行くから。俺と一緒に行きたがっているし。
理央 : ....そ、そうなんだね。うん、調べておくね。もう、十条さんとはお友達になったの?
慶司 : もちろん!もうすでに、十条さんは俺の事を『慶司』で呼んでくれているからね。俺の事、めっちゃ気に入ってくれてるし。
.....それから、3年後の現在に、そのお相手との初?デートの画像。場所は、横浜・八景島にあるシーパラダイス(シーパラ)。
そのお優しそうなヒトのとなりで、嬉しそうな慶司の自撮り。
その方、十条さんはコーヒー..じゃなくて『赤ちゃんスズメクレープ』というのを持っていた。
「....慶司、相当頑張ったんだね。」
「....ねー。」
慶司が、この十条さんに惚れ込んで..入れ込んでしまっているのをヒシヒシと伝わってきた。
「どうしよう、真央。私緊張してきちゃった。」
「だからと言って、だんまりは無しよ。」
「プレッシャー掛けないでよ。」
慶司が、十条さんをうちのお店に連れてくるという前日。
緊張しているのは、なにも理央だけじゃないし。
私も同じ。
「実は...ひょっとして、だ..男装の似合う女の人とかじゃないよね?十条さんて。」
理央は、一体何を言い出すのやら?w
「何で、そう思う?。」
「た、たまにいるじゃない?ビジュが、ボーイッシュで女の子達に、モテまくっているタイプとか。男装しかしていなくて、女性らしい服装を今回が初めてて、見繕うとか。」
その設定は、さすがに非現実的じゃないの。
「それ、テンパリ過ぎwオスカル様じゃあるまいし?。..多分慶司は、オスカル様みたいなタイプは..」
「...『あり』とか?。」
「でも、アイツ。ベルバラ読んでも『どこに焦点を充ていいのか?よくわからないし、キャラクタ達が何をしたいのかも、イマイチ目指す軸が掴めない』とか言ってなかったっけ?。」
「あと、なんか笑ってなかった?特にうちらが泣けていた革命のシーンとかで。『えーwフランス人なのにバンザイとか言っちゃうし、謎。』って。あんの、バカ。」
「あー、それ。思い出したらクソ腹が立ってきたわ。いい加減に読んでいるから、そうなるのよ。貸さないば、良かったわ。」💢
「ねー。」💢
(※ ごく一部を除き、男に少女漫画を読ませてやっても多分...碌な感想を得られない事でしょう。)
「でも、十条さんて本当に、慶司の事を受け入れてくれているのかな?..ビジュ一つとっても、申し分ないでしょ。」
「そうね。」
「十条さんは、きちんと整っているし、ちゃんと女性を惹きつける色気もありそう。普通に女の人に不自由しないはずなのに。そういう充実した方が、わざわざ自分から男の人を選んだりする?」
よくわからないけど。
「もしかして。慶司の方が、強引で十条さん..とうとうへし折れてしまったとか?」
「どうしよう?そこら辺も、ちゃんと伺わなくちゃ。」
私達は、どちらの発言ともつかぬ勢いでわちゃわちゃと喋ってしまっている。
ところであの子、無自覚なのかもしれないけど。
『見た目』でも、しっかりと自分の『ガチ好み』を選んでいるんじゃない。
それは、そうとして。
十条さんご当人は、どういう気持ちを慶司に抱いているのだろうか?...大丈夫、かな?
理央 : あのね、慶司。十条さんて、役職持ちで、お忙しい方なんじゃないの?..あまり、無理をさせるのもかえって困らせてしまうんじゃない?そういう時は、無理しなくても良いからね。
慶司 : 十条さんは、自分から新しい服を買うのを俺に相談してきたんだよ。変な心配しないでよ。
理央 : ....そういう事なら、心配はやめるけど。
慶司 : 十条さんには、もう俺がいなくちゃダメなんだよ。
理央 : お付き合いはしているの?
慶司 : とっくにお付き合いしてる。十条さんのお家にも行ってるし。俺の傍から、離れないし。
当日。
予約時間どおりに、十条さんが私達の店にお越しになった。
リアル十条さんの出現に、私達はハイテンションになりアレコレと。
「理央姉、真央姉。圧禁止。もう、いいよ。俺等で選ぶから。ね、十条さん。」^^
わが弟ながら。
本命に対する男性の持ちうるであろう『情念』が垣間見えてしまった。..もう、手遅れかもしれない。でも、確認しなければならない事がある。
『お姉さん達もいるし、大丈夫。慶司はどっかでお茶してて。』
という十条さんの口添えもあって、それに動揺している慶司には悪いけど私達は一時的に彼を店の外に出してしまったわけで。
(生真面目で、温厚篤実で..大人しそうな方。)
十条さんは、きっと静かに暮らしたかったのかもしれないのに、慶司が無理矢理に掻っ攫ってきたとか。
いや、そうじゃないと信じたい。
慶司は、ほぼ本能的に十条さんの『逃げ道』を塞いでいる。
十条さん自身の気持ちを確かめる前に。
慶司は、十条さんからの『NO』を全く想定には入れてはいない。
(男の人って、一旦燃え上がると..そうなるのかな?いや、そういうのは初めて目の当たりにしたけど。)
慶司を突き放したにも関わらず、結局私達の見立てでは十条さんのお洋服を見繕う事ができなかった...慶司が一目散に戻ってきた。
そして。
慶司は、十条さんの『俺、これすげー好き。』を瞬く間に探り当てたのだった。
「お前、俺の事すげー見てんのな。」^^
「え?嫌ですか?。」
「嫌じゃない。」^^
良かった..理央も2人のやりとりにようやく安堵感を得たようで。
もちろん、先程の奮い立たせるハイテンションとは違って、私も心から高揚した。
(ああ、良かったね。慶司!)
十条さんも慶司と同じように、しっかりと慶司を愛してくれているという事を。
......
ところで、なぜお一人で?
(服を選ぶ事にしたのでしょう。)
「前に気になるヒトから...『休日のパパ みたい』って言われた事があって...」
と、十条さんは恥ずかしいそうにお答えに。
「ひっど...」と、理央が言いかける。
(あいつ、そのタイトルごとご本人に面と向かって言ってたんだ..)
私は、バカ弟の言動に苦笑った。
「気に..するような相手ではありませんよ。ええ。」
慶司ったら、上品でデリケートな十条さんに向かってなんて浅はかでガサツな発言を!
やっぱ、あんなバカ弟を追い出しといて、よかったわw
ベルバラ読んで、ヒトが泣くべきところを笑っていたザイル神経回路の頃と何ら成長もしていないじゃない..図体ばかり伸び放題でさ。
『その人と釣り合うようになりたいなって。その人の隣に並んでも、恥ずかしくないような自分でありたい』
と、十条さん。
「だから、お一人で。」^^
それに比べて、十条さんって、なんて健気で繊細な方なんだろう。...愛おしい方。
さて、十条さんと慶司は、言葉を交わす以上の余韻も、アイコンタクトも、まるで長年寄り添ったパートナーという様子だった。
真央は、そんな二人の仲睦まじい雰囲気にサムズアップをする。
私は、頷いた。
「今日は、良い仕事したんじゃない?。」
と、真央は言った。
「ええ、もちろん。」
【これからも、どうぞ慶司の事をよろしくね。
十条さん....】

私達(理央&真央)は、今年の七夕の星空をそんな願いを込めて仰いだのだった。

