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主婦がレトルトカレーじゃ、だめですか?

「え、レトルトカレー?それ、専業主婦でアリなの?」

久しぶりに会った男友達にそう言われて、思わず苦笑いした。

高校の同級生で、もう25年のつきあいになる異性の友人ふたり。

独身時代はよく3人で一緒に飲みに行ってた。
理解され難いが、恋愛感情はお互い全くない。

会えば昔のノリに戻るけど、今はお互い家庭もあるし少し空気は変わった。

そんな3人で、久々に飲みに行った夜のことだった


会社を辞めたことを話すと、当然のように「今どんな生活してるの?」と聞かれた。
「今は無職で、好きなことをいろいろやってる」と答えると、ふたりは少し驚いたような顔をした。

そこから自然と、家事や育児の話になった。
「今日の夕飯は?」と聞かれたので、「レトルトカレーだよ。」と答えると、ふたりとも「えっ?」という顔になった。

私がいない夕食で、こどもが機嫌よく食べてくれるキャラクターシールがついてるカレーは、何よりもありがたいんだけどな…心では思った。

「夫は毎朝早く家を出るので、朝食は自分で用意してる。
夕食の皿洗いと、息子の習い事の送迎は、平日は夫がやってるかな」

そのあたりの分担を少し話すと、ふたりの反応が少し変わった。
引いていた、というより、「それってどうなの……?」という空気を含んだ空気になった。

これも野暮な気がして伝えたなかったが、
夫が朝早く出るのに、私が起きてくることが申し訳ないと思ってること。
夕食の後片付けは夫婦でやりたいと言ってること。
息子のお迎えのあとに、2人で歩くことが幸せだと思ってること。

だから夫がやっている。ただそれだけの話なのだが。

その時は酔っぱらっていたのもあって、ちょっとムッとしたのかもしれない。
私はこう伝えたのを覚えている。

「世の中には、妻に“稼いでほしい”とか“きっちり家事をやってほしい”とか、そんなことを期待してない人もいる。
ただ、機嫌よく子どもと楽しそうに暮らしていたら、それだけで十分だって感じる男性も、けっこういる。」

その夜、家に帰ってからふと思った。

ああ、私、だいぶ変わったなって。

昔は、そういう家庭でニコニコしてる女性の生き方をどこかで軽くみていたかもしれない。

「自立していない」とか「がんばってない」とか。
専業主婦は甘えだと思っていたし、働いているほうが価値があると信じていた。

そうやって、「自分の生き方こそが正しい」と思い込んで、自分の選択を正当化していたのかもしれない。

でも今、そうじゃないと思えるのは、会社を辞めて、無職になって、肩書きも予定もなくなったからだ。

昔の私は、たぶん世界をひとつの視点でしか見ていなかった。
「こうあるべき」「こうじゃなきゃ」という目で、人のことも、自分の人生も見ていた。

でも、立場が変われば、見える景色も変わる。

「正しさ」なんて、ひとつじゃない。
浅いか深いかも、他人が決めることじゃない。

その人が笑って暮らしているなら、それで十分、深く幸せな生き方なのだと思う。

主婦がレトルトカレーを夕飯にだしたっていいじゃないか。


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