ブルーに灯る日。世界自閉症啓発デーと「自閉スペクトラム支援士」【頭の中の左利きさんシリーズ①】
私が普段勤めている精神科。
勤め出した当初は、
いまよりもずっと閉鎖的でした。
病棟に入るための重い鉄扉に格子窓。
いわゆる
「昔ながらのイメージ通りの精神科」。
もちろん患者さんは全員大人。
そんな病院に
私がスクールカウンセラーをしている
ご縁もあって、
一番初めに来院してきたお子さんの患者さん。
あなたのことを私は決して忘れません。
(以下、本人の人物像を損ねない程度に適宜修正を加えた
類似の架空ケースとなっています)
理解できない悔しさから——私が自閉スペクトラムを学び直すまで
院長にとっても、
初めての児童思春期の患者さんだったと思います。
通常は受け付けしない年代でしたが、
様々なご縁と事情が重なり、
主治医を引き受けてくださいました。
小学生の女の子でした。
空想的で、頭の中で様々なキャラクターと会話し、
そのキャラクターとごっこ遊びをして楽しむ女の子。
敏感さんで、
様々な刺激に反応し、
すぐに不安が高まってしまいます。
彼女はいつも部屋の片隅で、
誰もいない空間に向かって楽しそうにしていました。
頭の中のキャラクターたちと会話し、
物語の続きを体験しているのでした。
その一方で、
蛍光灯の光に痛みを感じ、
椅子のきしむ音にふっと体をこわばらせる。
楽しそうな世界と、
急に強い刺激で不安が襲い掛かって来る現実。
その狭間で、
揺れ動いているように見えました。
私はどう関わればいいのだろう。
想像力を守りたい気持ちと、
困りごとを減らしたい気持ち。
そのどちらも本当で、
答えを見つけられない自分の未熟さに、
強い悔しさが胸に残っていました。
想像の世界で遊ぶ少女と、答えを探す心理士
それから何度か病院で関わりましたが、
どこか私のなかで
その子に追いついていない感覚が消えませんでした。
既に所属している学会の論文はもちろん、
もっと専門性を高められる知識を欲して机に向かう日々。
知れば知るほど、
自分がまだ入り口に立ったばかりだと分かるあの感覚。
独学だけでは足りない——そう思ったとき、
ある学会の案内が目に留まりました。
「日本自閉スペクトラム学会」
直感的に、これだと感じました。
入会するためには、学会員1名の推薦が必要とのこと。
周りに学会員が誰もいなかったので、
直接事務局に電話し交渉しました。
自閉スペクトラム学会の論文は
今まで読んだどの論文よりも、
目の前の女の子に対して
働きかけるヒントになりました。
その学会の認定資格。
「自閉スペクトラム支援士」。
医療、
福祉、
アセスメント、
教育、
心理、
関連法規
の6領域の学びを体系的に
深めていくことで認定される
この資格を
私は目指したのでした。
入会後に分かったのですが、
この学会はアカデミックであるにも関わらず、
ご家族や当事者であっても入会
可能だったのです(しかも会費は支援者の半額)。
気になる方はぜひ以下のサイトから覗いてみてください。
4月2日。青い日から始まる私のささやかな啓発活動
ここ何年か、私は毎年この時期が来るとささやかな啓発活動を行ないます。
4月2日~8日の期間。
「世界自閉症啓発デー」。
全世界の人々に自閉症を理解してもらう
取り組みが行われています。
日本でも実行委員会が組織され、
自閉症をはじめとする発達障害について広く啓発する活動が行われます。
その一環としての
東京ゲートブリッジと都庁舎の
ブルーライトアップ。
ポスターとリーフレットのデータも
ネット上で無料で配布されています。
使用希望の方は、
以下のリンクより「ポスター等使用申請Webフォーム」
にて申請の上、データをダウンロードしてご活用ください。
(当記事も用途を申請のうえ、使用しています)



公式テーマソングは『We Belong」わたしたちのうた』。
「すべての子どもたちのアイデンティティーや友情を尊重し、
多様性豊かな社会で、
子ども全員が自分自身に誇りを持ち、
居場所を感じられるよう願いを込めた楽曲です。」
(公式テーマソング紹介文より)
おわりに
4月2日が近づくたび、
私のなかには自然と「あの子」の姿が浮かんできます。
教室の片隅で、想像の世界を楽しんでいた女の子。
啓発活動は小さく、届く範囲も限られているかもしれません。
それでも、
こうして微力ながら啓発活動に協力できることで、
あの日の私と女の子との出会いが静かに続いていく気がしています。
理解されにくい世界を、
少しでも伝えること。
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