認知症の人が携帯を手放せないわけ|ばあちゃんの場合
ばあちゃんが、掛け方もわからなくなった携帯を握りしめるわけ
【登場人物】
義母:ばあちゃん
長女:上の姉)和子(近所で由美をサポートしてきた)
次女:義姉)
主人(弟):健一(けんいち)
主人公:トメ子

認知症になると、物に執着することってよくあるみたいです。
でも、ばあちゃんにとっての携帯は、ただの物じゃありませんでした。
娘たちと繋がる、たった一つの大事な物だったんだと思います。
当時の私は、日に何度も同じことを繰り返す義母に、正直イライラしたこともありました。
でも今振り返ると、ばあちゃんがやっていた事って、すごく当たり前の事だったんですよね。
「大事な人と繋がっていたい」🙏
ただ、それだけだったんだと思います。
7年間、仲良く暮らしていた親子に何があったのか
ばあちゃんは、下の姉「由美」と仲が良くて、大阪から東京へ行き、7年間ずっと一緒に暮らしていました。
きっと、二人なりの生活があったんだと思います。
でも、そこに認知症が入ってきた。😩
昨日できていた事が、今日できなくなる。
=同じことを何度も聞く。=
感情も不安定になる。😰
義姉さんも、ばあちゃんも、どうしていいか分からなくなっていたんだと思います。
そんな時、たまたま私たち家族が遊びに行きました。
ばあちゃんは何も言わなかったけど、
「助けてほしい」
そんな気持ちで、私たちについて来たんじゃないかなって、今は思います。
そう考えると、あの時のばあちゃんの行動にも、ちゃんと意味があったのかもしれません。
仲が良かったからこそ、出ることのできなかった携帯
私の家に来てからも、ばあちゃんは由美姉さんに電話を掛けたがっていました。
でも、もう携帯の掛け方が分からなくなっている。
日に何度も、「掛けてくれ」🥺って、携帯を持ってきます。
私は何度も電話を掛けました。
でも、携帯から聞こえるのは、ツーーーーーーー……という音だけ。
しばらくすると、また、「トメちゃん、由美のところに電話して」って、携帯を持ってくる。
正直、こっちもしんどかったです。💦

同じことの繰り返しで、終わりが見えない感じがして。
でも今なら、少し分かる気がします。
ばあちゃんは、答えが欲しかったんじゃなくて
「大丈夫だよ」っていう、安心できる声を探してたんですよね。
義母は、信用できる姉の言葉が欲しかっただけなのに
もう一人の娘に、電話してみた
私は少し考えて、上の姉の和子さんに電話をしました。
何回かコールした後、和子姉さんが出てくれました。
私は、ばあちゃんにスマホを渡して
トメ子「和子姉さんですよ」
トメ子「和子姉さん、ばあちゃんが話したいと言っています」
トメ子「ばあちゃん、ここからは東京まで600kmもあるから、すぐには行かれないよ」
トメ子「新幹線乗って、乗り換えて、6時間くらいかかるんよ」
すると和子姉さんが、電話越しにばあちゃんへ言いました。
和子「本当やで」
和子「だから今は、健ちゃんの家で面倒見てもらい」
すると、ばあちゃんが、
義母「そんなん言わんと、お前のとこ行かしてなー😢」
そんなやり取りを、何度も何度もしました。
でも不思議だったんです。
私が同じことを言っても、なかなか納得してくれないのに、
和子姉さんの声を聞いた後のばあちゃんは、少し落ち着くんです。
やっぱり、実の娘の声って特別なんですよね。
介護してると
「なんで何回も電話するん」
「同じ話ばっかり」
って、しんどくなる事もあると思います。
でも、その電話一本で、親が安心して眠れる日もあるんですよね。
そしてその安心が、介護してる側の私たちを助けてくれる事もある。
私は、ばあちゃんを見ていて、そんな事を何度も感じました。
最後に
ばあちゃんは、掛けることのなくなった携帯を、毎日のように充電していました。
でも、その携帯も、とうとう充電ができなくなりました。

何回充電しても、もう電源が入らない。
それでも毎日、「ばあちゃんの携帯どうなった?」😔って聞いてくる。
もう使えないよって説明しても、次の日にはまた聞く。
でも今なら分かる気がします。
ばあちゃんにとって、あの携帯は、ただの四角い箱じゃなかった。
娘たちと繋がっていた時間そのものだったんだと思います。
認知症になると、できなくなる事ばかり目につきます。
でも、
「誰かと繋がっていたい」
その気持ちだけは、今でもちゃんと残ってるんですよね。
【筆者からのひとこと】
介護は一人でできるものではないです。 ちょっと、出てくれた「その電話」が助かりました
