【掌編小説】Drive on
鳥にはなれない重厚感を抱えたまま、二台のクルマは漆黒の森の上を旋回する。
地上と空、過去と未来の境界線上で、スヌースの香りと共に更けていく大人のミッドナイト・ドライブ。
Google Gemini(Gemini3) によるリード文
縦書きでお読みになりたい方はこちらへどうぞ↓
https://prologue-nola.com/novels/u5aqxogTevSMOBH3eFHv
(以下、上記と同内容の本文です。)
雨上がりの煙った匂いがアスファルトから立ちのぼり、外灯の白い光がそこに虹色の輪を投げている。
サーキットの勾配の頂上に二台分のヘッドライトが現れ、カーブに合わせて同じタイミングで空を切った。それらはそのまま緩やかな下りを、ぴったりと並んで滑っていく。
強化カーボン製のボンネットは、等間隔で置かれた外灯の下に潜り込むたびに鈍い光を放ち、一台のエンジンはヴォンッとエレキベースのように唸り、もう一台はシュアッと気を吐いた。
カーブに差し掛かると一台がわずかに先行して壁を上り、もう一台は半拍遅れるかどうかといった速さでそれを追う。ストレートに入るとまた二台は並んだ。
そんなふうに追いかけっこをしながら、五、六周すると、どちらともなくスピードを落とし、コントロールラインに並ぶ。
「きょうはわたしの負けね。」
「きょうも、の間違いじゃない。」
譲二がからかうと、
「言うわね。」
真実は笑いながら片方の眉を上げてみせる。バタフライを泳ぐときの腕よろしくドアが持ち上がり、二人はコックピットから出る。彼女は屈んでグローブボックスからスヌースの缶を取り出し唇の裏に挟むと、缶の蓋を閉めて彼に放り投げた。二人は夜気を楽しむ。
少しの休憩のあと、彼らはもう一度走り出す。今度は地面からクルマを浮かせて走る。
二台はそれぞれにスイッチを入れ、いずれの車体も地面から一メートルほど浮く。
片方がパッシングして合図を出すと、両者は車のお尻を僅かに持ち上げて後退し、反動をつかって前進しながら上昇する。
「自由」を感じられる瞬間のひとつだ。空飛ぶクルマはかつて、垂直に上昇してから水平移動をするものだったというけれど、今は斜めに飛ぶことができる。もし斜めに飛べなかったら、これほどのびのびした気持ちにはなれなかっただろう。
十分な高さを保てるようになると、譲二はクルマの天井に設えられた三〇センチ四方ほどの窓を開ける。冷たい外気が吸い込まれ、また出ていった。真実も同じように小さな窓を開けて外気を浴びる。二人は束の間、大空を舞う鳥の気分を味わおうとしてみる。だが、鳥はもっと軽々と、同時に息を切らして飛ぶのだろう。クルマは鳥のように軽くはなれないし、鳥もクルマほど滑らかに走ることはできない。二人はクルマが風を切って進む重厚感を思いきり味わっていた。
二台はそのまま、サーキットの隣にある大きな公園の上空をゆっくりと旋回する。そこは広大な敷地を誇り、芝生と森と人工のアスレチックとで構成されている。その緑は今がいちばん美しい季節だが、真夜中のいま、森は黒々と息づき、なまめかしく揺れている。
彼らは上昇したり下降したりしながら、その景色を存分に楽しみ、シフトレバーを操作して重力を感じながら公園の駐車場に降りる。
「また、明日ね。」
「おう。」
それ以上の言葉を交わさず、二人はそれぞれのシングルシートに身を沈めて帰路につく。


※トップ画像 および リード文は Google Gemini の作品です。
※「嗅ぎたばこ」を「スヌース」と、「一人乗りのクルマ」を「シングルシート」と表現したのは Google Gemini の提案に拠ります。そのほかには、AIに拠る部分はありません。
※ Prologue, エブリスタ, TALSE にも本作を投稿しています。
※ #第一回豆星文学賞 に参加します。
※ 3月8日「皆さんの『なんのはなしですか』」に回収して載せていただきました。コニシ木の子さん、ありがとうございます、とてもうれしいです。
※3月9日、「『なんのはなしです課』通信」に載せていただきました。ほんとうにありがとうございます。
「なんのはなしです課」通信|コニシ木の子|note
※同じく3月9日、小説投稿サイト エブリスタ でトレンドランキングに入りました(まだ93位だけど→3月18日、64位に浮上)。
おめでとう!
※ #恋のアーカイブ |アプリ恋愛のきれいじゃない話さん の「共感した恋愛記事」に載せていただきました。ありがとうございます。
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