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【AIとことん考察ラボ】AIで作ったものは認めません—“生成AI締め出し”の空気と、クリエイターが行うべき自衛策

毎度、rorosukeです。
AI使ってますか?

先日、衝撃的なメールが届きました。
ストックフォトサイトのPIXTAから届いたのが次です。

[PIXTA]【重要】AI生成画像・動画素材の取扱い停止に関するお知らせ
平素よりPIXTAをご利用いただき、誠にありがとうございます。 この度、当社サービスPIXTAにおきまして、AIを利用して生成等された素材(以下「AI生成コンテンツ」といいます。)のアップロードの受入れ、および販売を停止することを決定いたしましたのでクリエイター会員の皆様にお知らせいたします。

簡単にいえば、AI生成コンテンツからの完全な撤退の方針が固まったということです。

取り扱い終了のスケジュールは次の通りとなっています。

  • 2026年4月20日 販売中のAI生成コンテンツの販売停止

  • 2026年5月︎22日 この時点で「AIチェックボックス」にチェックし「AI生成素材」と表示されている作品はすべて販売停止

正直、PIXTAはAIに対しては積極派だと思っていたので、この突然の手のひら返しにはショックが隠せませんでした。しかし、こうした「生成AIへの拒絶圧」はPIXTAに限ったことではありません。じわじわと、確実に押し寄せているのが現実です。

今回は現状の把握と、クリエイターが今後どうすべきかについて考えてみたいと思います。


イラストAC・写真ACの「沈黙」は何を意味するか?

あらためて俯瞰すると、ストックフォト業界全体が、AI生成コンテンツ問題に対して、新たな局面にきているように思います。

その1つが、イラストAC・写真ACの「沈黙」です。

PIXTAと同じストックフォトサイトのACワークスが運営する「写真AC」「イラストAC」では、2025年10月からAI生成素材の投稿受付が一時停止されています。

当初は「2026年1月以降に再開予定」とされていましたが、4月16日現在も再開の見通しは立っていないようで、投稿ページの「AIの使用の有無」はグレーアウトしたままになっています。

通達文には「ルールの見直しによって予告なく非公開となることもございます」という一文があり、場合によってはPIXTA同様の方針になる可能性が残されています。



PIXTAはなぜ「過去分」まで消すのか?

PIXTAの対応で最もショッキングだったのは、すでに販売されているAI生成作品まで遡って削除する点です。

これまで「AI生成物でもクオリティが高ければOK」としてきた方針を、なぜここまで急激に、かつ全否定するのか、AI生成とはいえそれなりに労力をかけてきたクリエイターにとっては打撃以外の何物でもありません。

これについては憶測の域ですが、EUと英国での次の出来事が関係しているかもしれません。

  • EU:欧州議会AI著作権透明化勧告
    欧州議会が「AI学習に使った著作物を開示し、権利者に報酬を支払え」という勧告を460対71の大差で採択しました。法的拘束力はありませんが、今後の立法の方向性を示すものとなります。

  • 英国「英国著作権例外白紙撤回事件
    「クリエイターの許可なくAI学習に使ってよい」という例外ルールを設ける当初の方針を、クリエイター業界の猛反発(賛成わずか3%)を受けて撤回しました。

つまり、世界は今「AI学習をするなら正統な許可と対価が必要だ」という方向へ一気に舵を切りつつある状況です。生成AIがネットなどから無作為に得たデータを学習に使用しているとすれば、これは起こるべくして起こった問題とも言えます。
そして、もはや放置できない段階に来ていることも間違いありません。

こうした動きは、ストックフォトサイトの立場で考えると、ただ傍観していられるものではありません。出所のわからない(=勝手に学習された)データで作られた素材を販売し続けることが、将来的な著作権侵害の賠償リスクを抱え続けることを意味するからです。

PIXTAが過去分まで削除するのは、この「時限爆弾」を今すぐデトックスしたい、というのが本音のような気がします。



日本アニメ界での炎上が示すもの

映像業界でも、こうしたAI拒絶の事件が起き始めています。

直近では、2026年4月に放送が始まったアニメ『本好きの下剋上 領主の養女』において、オープニング映像の一部に生成AIが使われているという疑いが話題となりました。

結果、制作のWIT STUDIOが4月10日に公式声明として「一部カットの背景制作においてAIが使用されていた事実」を認め、お詫び文を掲載する騒ぎとなっています。

https://booklove-anime.jp/images/top/booklove202604.pdf

このたび、本作のオープニング映像の⼀部カットの制作⼯程において、⽣成 AI を使⽤した 素材が含まれていた事実が、制作会社である株式会社ウィットスタジオからの報告および 確認の結果、判明いたしました。
(以下略)

ここで問題となるのは、先ほどの海外の動きと同じで、AI生成コンテンツというものが、クリエイターらに無断で用いられた学習データによって生成されている可能性が捨てきれないことです。

この問題を解決しないまま、AI生成を安易に使用することに関しては、社会からの反感が待っているという印象的な事例となりました。



韓国「AI基本法」という世界基準

一方では、社会的にAI生成をどう受け入れていくかについての法律が生まれています。

先鋒を切ったのが隣国の韓国です。EUで「AI法」が論じられている間に、「人工知能の発展および信頼基盤の造成等に関する基本法(AI基本法)」を2026年1月から施行しています。

「AI生成画像については、それを必ず表記することを義務付ける」というもので、違反すると罰金が科せられるという包括的な法的根拠を持たせた法律となっています。

具体的な内容です。

  • 生成物の明示義務(第31条):
    人間が作ったものと見分けがつかない「ディープフェイク」を含む画像、動画、音声を一般提供するときには「これはAIによって生成されました」と利用者が一目でわかるように表示せよという義務。

  • 高影響AI(High-impact AI)の厳格管理:
    人命や身体、基本的人権に重大な影響をおよぼす可能性のあるAI(医療支援、採用選考など)については、より厳しい安全性確保を担保する義務。

  • 「隠れて使う」ことが法的な罪に:
    表示義務を怠った場合、最大で3,000万ウォン(約330万円)の罰金が科されます。また、政府が事業者に対して立ち入り調査を行う権限が与えられています。

広告分野での「AI制作ラベル」義務化

韓国の広告業界では、ディープフェイクを用いた有名人の虚偽広告や、過度な加工による消費者被害を防ぐため、2026年早期の施行を目指して
「AI技術で制作・編集された広告」へのラベル表示を義務付ける規制が進んでいます。さらに、掲載する側(プラットフォーム)にも、このルールが守られているかを監視する責任が負わされています。

この事例は、AIの学習データについて言及するものではありませんが、大衆がAIを使っているかどうか知る権利を確保することで、選択する自由を保有するものです。AI生成の暴走的な増加にブレーキをかけることができるという意味において、有効に働くことになりそうです。



サービスごとの生存戦略(2026年4月版)

ここまでの流れを見ると、AI生成クリエイターにとっては受難の時代という感じです。しかし、有名ストックフォトサービスだけみても、決して足並みがそろっているわけではありません。

Adobe Stock:表示共存型
AI生成である旨の申告を条件に、引き続き受け入れを継続中です。自社AI「Firefly」の学習データ源として位置づけており、今後も積極的な共存姿勢を保っています。

Shutterstock:自社囲い込み型
外部AIツールで作った素材は制限しつつ、自社開発のAIサービスの利用を推奨する方向に動いています。

イラストAC、写真AC:様子見中
再開のタイミングを測りつつ、実質的な凍結状態です。

PIXTA、Getty Images:完全排除型
リスクをゼロにするため、過去に登録した素材も含めて「AIお断り」の方針に踏み切っています。

もっとも注目すべきは、やはり一番大手のAdobe Stockでしょう。Adobe自身、Fireflyを提唱していることもあり、生成AI作品を認めざるを得ない立場であり、その上でどうバランスをとっていくかに期待したいところです。



クリエイターはどう動くべきか

PIXTAの動きだけ見ると、絶望を感じるしかありません。「これまでかけてきた時間は何だったのか」と嘆きたいクリエイターも多いかと思います。しかし、他社のサービスに乗っかって以上、こうした事態はある程度折り込んでおくしかないでしょう。

作成したAI画像の権利を主張するためには

それからもう一つ注目しておきた事件があります。
それは、2025年11月に起きた、次の事件です。

千葉県警生活経済課は2025年11月20日、生成AIで作成された画像を無断で複製したとして、神奈川県大和市の無職の男性(27)を著作権法違反(複製権侵害)の疑いで千葉地検に書類送致したと発表した。県警によれば、生成AIで作られた画像を著作物として扱い、著作権法違反で摘発するのは全国で初めてとみられる。

簡単にいえば、生成AIで作成した画像を、他人が勝手に使用したという事件です。生成AIであっても著作権があることが認められたという意味での意義は大きいのですが、そのために決め手となったのが、「被害者が生成過程で入力した多数のプロンプト(指示)や内容、表現に至るまでの過程」です。制作の痕跡があればこそ認められた判例です。

以上から考えると、クリエイターが今後行うべき自衛手段が浮かび上がります。

1.大手プラットフォームを軸に置く

AI作品をただ受け入れているだけではなく、AI作品をシステムとして推進しているプラットフォームを利用したほうがいいかと思います。その筆頭が、Adobe Stockです。LINEスタンプや受託制作、自社コンテンツなど幅を持たせて分散しておきたいところです。

2.AI生成の記録を残しておく

AI生成したとき、プロンプトはもちろんですが、中間生成された画像も残しておいたほうがよいかと思われます。これが、自分が作ったことを主張できる証拠となるからです。一度作ったら、不要になったデータを削除したくもなりますが、トラブルになったときの自衛として残しておくことをおすすめします。




「どこからがAI生成か」という問い

一口にAI生成といっても、100%AI生成の場合もあれば、一部だけAI生成の場合もあります。また、プロ向けツールはAI機能をウリにしていることが当たり前になっていますから、AIでレタッチしたり、AIで切り抜きをしたりと、なにがしかのAIの働きかけがあって当たり前の時代です。

多くのストックフォトサイトなどでは、AIを使用しているかどうかは申告制となっているので、クリエイターにとっては「境界線の曖昧さ」が悩みの種となります。

各ストックフォトのガイドラインを比較すると

今回の騒動を受けて、各サービスの「AI生成」の定義を改めて確認してみました。

PIXTAのガイドライン(2026年4月14日策定)は、現時点で最も詳細に踏み込んでいます。「販売不可」とされる範囲は、プロンプトからのフル生成だけでなく、「画像の一部(被写体、背景、特定のパーツ等)にAI生成物を使用・合成したもの」も含まれます。さらに、Photoshopのインペインティング(特定部分の置換)やアウトペインティング(外側への描き足し)も明確に「不可」とされています。

Q&Aでの「AIで生成したテクスチャを、自作の3DCGモデルに貼り付けた場合は?」という問いに対し、PIXTAは「販売不可です。作品の一部であっても、AI生成物が含まれる場合は一律で対象です」と回答しています。

一方、許容されるのは「ノイズ除去」「写り込みの消去」「高解像度化(元の造形を変えない範囲)」など、あくまで「品質を整えるための補完的な利用」に限られます。PIXTAが定めた判断の基準は明快で、「AIが新しい画素・動き・音を『創造または置換』しているかどうか」です。

Adobe Stockは、AI生成コンテンツの受け入れを継続しつつ、投稿時に「ジェネレーティブAIツールを使用して作成」チェックボックスのオンを必須としています。Photoshopの「生成拡張」や「生成塗りつぶし」を使った場合もAIラベルの付与が求められるため、部分的な利用でもAI申告の対象です。

イラストAC・写真ACは、投稿停止前のガイドラインでは「使用したツールの記載」と申告を求めていましたが、「どこからがAI生成か」の定義は現在も明文化されていません。

各サービスのガイドラインを比較してみると、PIXTAが明言しているように、「少しでもAI生成の素材が含まれていれば、それはAI生成コンテンツとみなされる」という方向に向かっているように見えます。「ちょっとだけ背景を補完した」「テクスチャを一部AI生成した」という場合でも、PIXTAの基準では「不可」となります。

それでも、たとえばAIにキャラクターをデザインしてもらって、それを見て手描きで完全に描き起こしたキャラクターはAI生成と言えるのか? また、それを見てAI生成だと断定できるのか、といったところまで考えると、それはもう本人次第としかいいようがないように思ったりもしますが、どうなのでしょうか?



まとめ:来歴証明保全の勧め

AIのおかげで、絵を描けない人でも参加できるようになったストックフォトやLINEスタンプですが、

「AIで作ったものは出ていってください」

そんな厳しい声が聞こえる2026年の春。でも、技術の進化は止まりませんし、私たちがAIを使って「表現の幅を広げたい」という情熱も消えません。

業界が抵抗するのは、立場的にもやむなしです。
しかし、それでAIがなくなるわけではなく、業界に対しての圧はますます高まっていきながらも、混乱後は必ず落ち着く先が見えてくるはずです。

長期的には、排除ではなく「適切なラベル貼り」と「来歴証明」による共存に落ち着くのではないかと考えます。それまでは、変化を記録しながら淡々と続けていく。それがいまのところの最適解かもしれません。

以上!


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ROROSUKE LABO 記事なり、プログラムなりが役に立ったと思った方は、 チップの応援よろしくお願いいたします。 次の開発もがんばろうかな、という気になりますのだ (笑)