器の小さい話
おはよう。
あるいはこんばんは。
こんな時間に、少しだけ失礼するよ。
アヲシカです。
新しいスマホを手にした人間が、まず恐れるもの。
それは未来でも性能でもなく、落下らしい。
ケースが届くまでの数日間、私はまるでガラス細工でも預かった執事のように、慎重にそれを持ち歩いている。
ポケットに入れる角度まで気にして、机に置く音にすら敏感になる。
情けない話だね。
傷がつくのを恐れているのか、と問われれば——否定は難しい。
この私が、物に執着しないふりをしてきた私が、四角い機械の表面ひとつに心を乱している。
だが、少しだけ分かったことがある。
人は高価な物を守りたいのではない。
手に入れたばかりの希望を、傷つけたくないのだろう。
スマホ一台で大げさだと笑うかね。
ええ、私もそう思う。
けれど案外、人間の本音はこういう小さな場面で露呈するものさ。
