見出し画像

犬でも猫でもなく、イモムシを飼っています

我が家では毎年40匹くらいアゲハ蝶を育てている。

これを人に話すと、大体聞き返される。

「え?40匹?」
そう。

私も2年前の自分に言ったら、何言ってんの?って思うはず。

始まりは、仕事帰りだった。

道端でアゲハ蝶の幼虫を見つけて、
「久しぶりにイモムシ見た〜」と、何気なく夫(きゃべつ太郎)に話した。

すると返ってきた言葉が、「飼いたい」だった。

……はい?
犬でも猫でもなく?イモムシを?

この一言から、我が家のイモムシ生活が始まった。

誘拐中の様子


もちろん最初は何も分からない。

紙コップに葉っぱを入れて、フタをして育てていた。

でも毎日見てると、不思議なもので情が湧く。

「ウチのコにはなるだけ自然に近い環境で育ててあげたい」そんな親バカならぬ、虫バカになってしまった。

今では花瓶に柑橘の枝を挿しておくだけ。
あとは本人たちに任せるスタイル。

しかし、当の本人たちは、こちらの思い通りには全く育ってくれない。(虫なので)

気づいたらサナギになるために脱走している。

みつけられなかった子もいる…


「1匹足りなくない?」と家中を捜索するのは、もはや毎年の恒例行事。

そして数日後。

あーーーー!!こんな所にいた!!とクローゼットや天井にいたりする。

あなた、そこまで登ったの?
しかも、もうサナギになってるし。

脚立もないので天井でサナギになられても、そのまま見守るしかない。

自宅の壁についてる

行方不明になっても1ヶ月後ぐらいには
無事、蝶になって飛びだしてくる。

そして残されたサナギの抜け殻。
いまだに多々、天井についている…。

我が家の天井には、毎年の思い出が飾られているのだ。

オシャレなドライフラワーではない。
サナギの抜け殻である。

そんなこんなで毎年40匹くらい育てているけれど、全員が蝶になれるわけじゃない。

途中で命を落とす子もいる。
しかも、羽がうまく開かない子も。

そして初めて知った。
サナギから蝶じゃなくて、寄生バチやハエが出てくることを。

あの日の衝撃は、一生忘れない。

実際にサナギから生まれた別の虫


自然界って、本当に厳しい。

だからこそ、羽を乾かして空へ飛んでいく姿を見るたび、いってらっしゃいと、ちょっと親みたいな気持ちになる。

2年前までの私は、アゲハ蝶を見ても、「あ、蝶だ」くらいだった。

でも今は違う。

街でアゲハ蝶を見かけるたび、
「あの子も、ここまで来るの大変だったんだろうな。」なんて考えるようになった。

もちろん、うちの子じゃない。
でも勝手に親戚感がある。

たった一匹の幼虫を連れて帰っただけなのに、こんなにも景色の見え方が変わるなんて思わなかった。

今年もまた、きゃべつ太郎がどこからか幼虫を連れて帰ってきた。

そして私は「3匹も連れて帰ってきたの?」と言いながら花瓶に枝を挿し、数日後には家中で脱走したイモムシを這いつくばって探している。

これが、我が家の夏の風物詩であるのだ。

いいなと思ったら応援しよう!