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規模が大きいと1人あたり売上高も増加

[要旨]

公認会計士の金子智朗さんによれば、事業規模を拡大すると、シナジー効果などで、従業員1人あたり売上高が増加する、すなわち、固定費比率が下がります。そこで、従業員数が多くても、従業員1人あたり売上高がそれほど多くない会社は、会社として事業活動を行っている意義が低いということです。

[本文]

今回も、前回に引き続き公認会計士の金子智朗さんのご著書、「同じモノを売っているのに、儲かっている会社、儲かっていない会社」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、金子さんによれば、オリエンタルランドは、ディズニーシーを開園し、お酒を提供して、ディズニーランドには来なかった顧客を取り込んだり、宿泊施設を作ることで、海外を含む遠方の顧客の利便性を高めて、新たな商圏も開拓したことから、キャパシティの拡大による固定費が増加しても、それを上回る売上があったことから、稼働率が上昇し、全体として利益が増えたということについて書きました。

これに続いて、金子さんは、企業規模が大きい会社ほど、1人あたりの売上高は大きくなるということについて述べておられます。「人というキャパシティが生み出す価値を見るために、よく1人当たり売上高や1人当たり利益などを計算することがあります。これらは、人の生産性を測る指標と言えます。生産性と一口に言っても、従業員数で割る対象は売上高や利益など、いろいろあり得ます。もしかしたら、何の気なしに売上高や利益を適当に人数で割っているかもしれませんが、何を人数で割るかによって意味が変わってきます。

ここではまず、1人当たり売上高から考えてみましょう。ある人が1人で仕事をしたら、1年間で1,000万円稼ぐとします。同じような人が10人集まって会社を作ったとしましょう。そのとき、会社の売上高が1億円だとすると、1人当たり売上高は1,000万円です。つまり、この会社の売上高は1人ひとりの稼ぐ力の単純合算にしかなっていないということです。これなら、わざわざ10人集まって会社を作る経済的意味は何もありません。

人が集団化することによって、1人当たり売上高が2,000万円や3,000万円になって初めて意味があるのです。つまり、1+1が2以上になるシナジー効果が生まれるからこそ、1人ではなく複数人で仕事をすることに経済的意味があるのです。この考え方に基づけば、あなたの会社の1人当たり売上高を計算したとき、『これくらいの金額なら、自分1人でも稼げるよ』と思える程度の金額だとしたら、その会社に帰属している経済的意義はないということになります。

集団化することによって何の経済的シナジーも生み出していないのですから、人間関係や組織の論理にストレスやフラストレーションを感じてまで、わざわざその組織に帰属している経済的意義は全くありません。つまり、1人当たり売上高という指標は、働く者の側からすれば、『その会社に帰属する経済的意義』を表す指標ということができます。経営者の側からすれば、1人当たり売上高が小さい会社は、会社としての経済的存在意義がないということを意味します。

企業の売上高が、個人が稼ぎ出す売上の単純合算でしかなかったとしたら、『1人当たり売上高』は企業規模の大小にかかわらずほぼ同じような金額になるはずです。実際のところはどうなっているのでしょうか。本来は、従業員数別の1人当たり売上高を見た方がいいのですが、適当な統計データがなかったので、ここでは資本金の額が企業規模をほぽ反映していると考えて、資本金別の1人当たり売上高を見てみましょう。(中略)

資本金の額が大きくなるにつれて、1人当たり売上高は加速度的に大きくなることが分かります。マクロ的に見れば、企業規模が大きくなるほど1人当たり売上高は大きくなるということです。これは人が多くなるほど一般的にはシナジー効果が高くなり、少人数では成し得ない規模の売上を達成することができるようになることを意味しています。一般論としては、やはり1人で仕事をするよりも集団化した方がいいし、小さな企業よりも大企業の方が大きな売上を生むということが言えそうです」(153ページ)

会社の規模が大きくなるほど、1人あたり売上高が増える要因には、いろいろなものがあり、そのひとつひとつについては言及しませんが、ほとんどの方は、感覚的に理解できると思います。とはいえ、現実的には、会社規模を大きくするには、それなりの労力がかかるものの、規模を大きくすることで、固定費比率を低くすることができる、すなわち、競争力を高めるメリットがあります。そこで、このことは、裏を返せば、規模の小さい会社は、価格競争をしてはいけないということになります。

事業規模を大きくすることは、必ずしも正しいわけではないのですが、事業規模を大きくしないことを選択するのであれば、価格競争に挑まず、非価格競争をしなければなりません。また、中小企業でも、ある程度の売上を得ることができなければ、従業員の給与を支払うことができないことから、売上を増やす活動に相当の労力を割いている会社は少なくありません。そのため、間接部門は最低限とし、パートタイムの職員が担うだけであったり、また、社長も本当は管理業務に軸足をおかなければならないにもかかわらず、事業活動だけに注力してしまうことが少なくありません。

そして、これは、私がこれまで中小企業の事業改善をお手伝いしてきた経験から感じることなのですが、管理部門、間接部門があまり機能していない会社は、結局、事業活動が成行的となることから、さらに競争力が弱くなり、業績を安定化させるためには、ますます、多くの売上を必要とするという悪循環の状況になってしまうということが少なくありません。したがって、事業拡大で固定費比率を下げるのか、事業拡大をせずに付加価値を高めて固定費比率を下げるのか、自社の方針を定めて、その目指す方向に着実に進むよう、社長がしっかりとした管理を行うことが大切だと、私は考えています。

2026/6/22 No.3477

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