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【浜口陽三】——「カラーメゾチントの開拓者」| 銅版画、ドライポイント、エッチング他 各種版画 査定 鑑定 買取 致します


◉ 「カラーメゾチントの開拓者」

グラスに注がれた水、テーブルに並ぶ果物、無言で佇む洋梨たち——浜口陽三の作品には、声を持たないものたちの気配が、そっと息づいている。

浜口は、19世紀の銅版画技法「メゾチント(ビュランで銅板を起毛し、そこに明暗を刻む手法)」に革新をもたらした画家として知られる。
中でも彼が独自に確立したカラー・メゾチントは、従来のモノクロ表現ではなく、色彩によって詩的な情緒や柔らかな光を宿すことに成功した、まさに“版画の静かな革命”だった。

浜口の色使いは、決して派手ではない。くすんだ赤、深い緑、ほのかににじむ金色——それらはすべて、画面に柔らかな“沈黙”を運び込むための音階のように置かれている。技術としても極めて高度で、1枚の版画を完成させるために1カ月以上をかけることもあったという。

1950年代、フランス・パリを拠点に活動を本格化させた浜口は、西洋美術に深く根を張りながらも、日本的な感性を忘れなかった。彼の作品に流れるのは「侘び寂び」とも通じる静謐で、空気を描くようなまなざしである。

また、彼は版画を単なる複製技術としてではなく、“一つの独立した芸術”として提示し、戦後日本のオリジナルプリント運動にも大きな影響を与えた。
その画面にあるのは、小さな対象たちが放つ光。だがその光は、静けさを通して、見る者の心の奥へと確かに届く。

浜口陽三は、線ではなく光と空気で描いた詩人だった。

◎浜口陽三(はまぐち ようぞう、1909年〜2000年)・プロフィール

和歌山県生まれの銅版画家。東京美術学校(現・東京藝術大学)油画科を卒業後、戦後の1940年代後半より銅版画の制作を本格化。1953年に渡仏し、パリを拠点に活動を展開。特にメゾチント技法を用いた色彩表現において世界的評価を受け、1957年のリュブリアナ国際版画ビエンナーレなどで受賞を重ねた。小さな静物や日常のモチーフを詩的に昇華させる作風で知られ、版画における「静寂の美」を確立。現在も中央区にある【ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション】でその作品群を観ることができる。

浜口陽三ポートレート

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