アルバート・エリスのカウンセリングを見て驚いた!(1)
以前にロジャーズの傾聴のビデオ録画をご紹介しましたが、Youtubeをサーフィンしている際に、論理療法(理性感情行動療法)のカウンセリングで有名なアルバート・エリスの録画も見つけました。こちら、カウンセリングを専門に学ばれている方の間では貴重な資料として有名なようです。
動画を見てみたのですが、アルバート・エリスの著作を大昔に読んだ記憶から、穏やかに諭すようなイメージを勝手に持っていたのですが、それとは真逆に近いような、かなりの早口でクライアントを説得するような対話形式でしたので、驚いたわけです。
私にとっては興味深い資料でしたので、ロジャーズと同様に、インタビュー内容の逐語訳も含めて記事化をします。この記事(1)では、アルバート・エリスの理論について簡単にまとめます。
アルバート・エリスのABC理論とは
最近、広告界隈でABC理論をよく見ますので、ご存じの方も多いのかもしれません。このABC理論が、論理療法(理性感情行動療法)の基本となります。
下の図に簡潔に示されていますが、私たちが悪感情や望まない行動を取るのは、目の前で起きていたり過去の出来事が直接的に影響しているように思いがちですが、実はそうではなく、その出来事に対する考え方や解釈が影響している、ということです。

冒頭でお示しした動画の冒頭で、アルバート・エリス自身が、以下のように解説をしています。(翻訳はAI頼りですので、専門用語など多少のブレはご容赦ください。)
合理療法、または理性感情療法はいくつかの基本的な仮説に基づいています。その最初の仮説は、過去は人の人生において決定的なものではないということです。過去は人に大きな影響を与えますが、人は過去が影響を与える以上に、自分自身に影響を与えています。なぜなら、人が歴史的発達の中で学んできたことがどうであれ、これらの出来事や言われてきたことが今日その人に影響を与えている唯一の理由は、その人が幼少期に吸収し、自分に教え込んだ同じ人生哲学や価値観を、今でも自分に再教育し続けているからです。
したがって、理性感情療法では、過去よりも現在に主に焦点を当てます。そして、今日個人が否定的な感情や自己破壊的な行動、失敗や非効率性を経験しているのは、現在、自分の信念を含む単純な自己説明的な文章を通じて、自分自身を再定義しているからだと考えています。
人間はあらゆる種類の言語、絵、手話、非言語的表現を用いて自分の考えを表現できます。しかし、通常は母国語で自分自身に語りかけます。彼らが非合理的または非論理的な方法で自分自身に語りかけるとき、彼らは否定的な感情や感覚、そしてそれに続く行動を文字通り作り出しています。
ビリーフの書き換え
ですので、結果や感情を自分の望ましい方向に持っていこうとすると、上の図のBポイントに働きかける必要があります。過去の経験や出来事自体は変えることはできないので、それをどう解釈するかを変えていかないといけないのですね。
書き換える必要のあるビリーフを、アルバート・エリスは非合理なものと位置付けています。そういった非合理は、過度の一般化や「ねばならない」という思い込みからくる、としています。こちらも、動画冒頭のインタビューから。
人が動揺しているとき、通常は最初に賢明な文章を自分に言い、その後に非理性的な文章を言います。賢明な文章とは「私は自分がしたことが好きではない」「私は自分の行動が嫌いだ」といったものです。それは良いのですが、残念ながら、その後に「自分の行動が好きではないから、私はダメな人間だ、私には価値がない、私は良い人間ではない」という非理性的な文章が続きます。これが不安や抑うつ、罪悪感を通じて他の形の自己対話や自己破壊を生み出します。
誰かがあなたを不当に扱ったとき、「あなたの行動は好きではないけれど、それでもそれを耐え忍び、あなたの行動を変えるよう働きかけることができる」と言う代わりに、「私はあなたの行動を耐えることができない」とか「あなたは自分の重要性からそう言うのであり、私は今のあなたが好きではない」と言います。これが個人を動揺させる二番目の「ねばならない」文章です。
カウンセリングの目的
それを踏まえて、アルバート・エリスは、カウンセリングの目的を以下のように解説しています。ここを読むと、動画の中でかなり早口に話しかけていた理由が分かるような気がします。アルバート・エリスとしては、限られた時間の中で、クライアントに出来るだけ多くの洞察を得てもらおうと頑張っていたのですね。
理性感情療法では、他の心理療法とは異なる3種類の洞察を患者に教えようとします。最も一般的なものを強調しつつ説明します。
第一の洞察は、患者のすべての行動、特に私たちが関心を持ち、患者を動揺させている否定的な自己破壊的行動には、明確な思想的先行要因があることを教えます。そうでなければ、現在の否定的な行動を採用することはなかったでしょう。
第二の洞察は最も重要ですが、残念ながら多くの他の心理療法では無視されています。それは、人は以前持っていたこれらの考えと自分自身を継続的に結びつけているということです。そしてそれが問題であり、それが今、彼が混乱している理由です。
第三の洞察は、自分が自分に言っていることがナンセンスだとはっきりと分かっても、仕事と練習によって、そして自分の哲学的な前提を継続的に再評価し再価値付けすることによってのみ、良くなることができるということです。
カウンセリング後のフォローアップ
そして最後に、アルバート・エリスは、カウンセリング後のフォローアップや、取り組みの継続性について、以下のように語っています。確かに、大昔に論理療法の書籍を読んだときにも、「セルフケアに使えそう」と感じました。
私たちはまた、個人を変えるには行動が必要だという事実を強調します。物事について話したり考えたりするだけでは良いですが、必要条件ではありません。心理療法的な変化のために必要な条件ではないと言うべきでしょう。個人が加えてしなければならないことは、通常、行動することです。したがって、私たちは具体的な宿題を与え、それを実行させ、これらの宿題をしているかどうかをチェックしフォローアップします。
私たちの最終的な目標は、個人が生涯にわたって自分の基本的な価値体系、自分の思考を問いかけ挑戦することを学び続けることです。それは本当に自分で考えるということです。特に悲惨な気持ちのとき、不安や抑うつ、罪悪感、過度の欲求不満、その他否定的なことを経験しているとき、あるいは効率性を失うときに、これを行わなければなりません。そして最終的に、この種の新しい思考、自分の前提の再考を通じて、私たちが科学的方法と呼ぶものを適用することができるようになり、それによって、完全には除去できないものの、ひどい不安を最小限に抑えることができるようになります。
そのほか、「論理療法」にまつわる背景や非合理なビリーフについての詳細は、こちらのリンクが参考になりましたので、貼っておきます。次回の記事(2)からは動画中のセッションを掲載していきます。
他にもどんな記事があるのかな、と思っていただけた方は。
