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アルバート・エリスのカウンセリングを見て驚いた!(5)

 この記事では、グロリアに対するカウンセリングの最終パート(宿題を出すところ)と、アルバート・エリス自身がセッションを振り返っての感想を述べていますので、そこを扱います。


グロリアへの宿題

 ここまでを踏まえて、グロリアが新しい考えのもとで行動を取れるかどうかを試すために、アルバートエリスは宿題を出します。これが対話の最後の部分です。

アルバート・エリス:さて、時間があまりないので、もっと具体的にあなたに何ができるか、建設的な方向で考えてみましょう。あなたは以前、どこに行けばいいのか、どうやって新しい人々に出会えるのかと尋ねましたね。私はこの特定の地域のことは知りませんが、ほとんどどこでも可能です。もし私たちが話してきたことができれば、つまり本当にリスクを取り、人生で何を望むのかということに焦点を当て、時間がかかるという事実(残念ながらそうなのですが)を受け入れ、そしてその時間がかかることは恐ろしいことではなく、その間のあなたも恐ろしい存在ではないと理解できれば、あらゆる種類の新しい出会いに恥ずかしがらずに自分を開くことができます。これらの出会いはバスの中で、路面電車を待っている間に(もしこの地域に路面電車があれば)、カクテルパーティーで、どこでも起こり得ます。適格に見える人々と話すことができ、友人に適格な男性を紹介してもらうこともできます。

でも最も重要なのは、A)うまくいっていないときでも自分を好きでいること、そしてB)良くない状況に対して不寛容にならないことです。そしてそれらが良くないということについては、私もあなたに同意します。先ほど言ったように、もしあなたが私の患者なら、意図的に、非常に意図的に外出して自分を困難な状況に置くという宿題を出すでしょう。言い換えれば、現時点で見つけられる最も適格な男性たちを見つけ、自分を強制して、自分らしくいるリスクを取ることです。

グロリア:例えば、医師のオフィスで、その人に魅力を感じたり惹かれたりした場合に、会話を始めることもあり得るということですか?

アルバート・エリス:その通りです。

グロリア:その人と個人的な会話を始めるところまで踏み込んでも?

アルバート・エリス:なぜいけないのでしょう?もしその人が適格な人物なら、どんな適格な人物でも。

グロリア:ええ、あなたはそれを受け入れているのは分かりますが、それはとても厚かましいことのように思えます。

アルバート・エリス:まあ、厚かましいとしましょう。失うものは何があるでしょう?最悪の場合、彼があなたを拒否するだけです。そして、もし私たちがここ5分ほど話してきたような考え方をしているなら、あなたは自分自身を拒否する必要はないんです。

グロリア:ああ、そうですね。

アルバート・エリス:では、それを試してみることはできますか?

グロリア:できると思います。外に出て確かめてみようという勇気が湧いてきました。その通りですね、最悪の場合は拒否されるだけです。

アルバート・エリス:その通り、そしてそれであなたは無傷のままです。残念ながら、一時的に望むものを得られないだけです。だから、試してみてください。あなたが既に読んだものを。そしてどうなるか、私はとても興味があります。

グロリア:ああ、わくわくしてきました。

アルバート・エリス:お会いできて本当に良かったです、グロリアさん。

グロリア:ありがとうございます、先生。

 反復行動で新しい考えを身に付けるように促していますね。ちょっと乱暴な要約ですが、

  • ひとまずナンパしまくる。気に入った男性がいたら、自分らしさを保ちながら話しかける。

  • 当面の間は上手く行かないことも織り込みながら、自分に対して寛容さを保ち、上手く行かない状況は許容する。

  • 上手く行くまでは時間がかかる。もし、この宿題が上手く行っても、それは単に目の前の機会を逃しただけ、ということを心得ておく。

 この後、グロリアが実際にどう行動したかは分かりませんが、セッションとしてはここまでになります。

アルバート・エリスの振り返り(前半)

 以下が、セッション後のアルバート・エリスの振り返りの前半パートです。

この面接は理性感情療法の典型的なセッションの良い例示となったと考えています。まず、患者の混乱の哲学的な核心と思われるものにかなり素早くたどり着くことができました。彼女が恥ずかしさや羞恥心、恐れを感じている理由は、部分的には無意識ではありますが、不完全な行動を過度に自分を責めることで、自分自身を非常に否定的に定義したり、自己価値を下げたりしているからだということを示すことができました。

完璧主義は多くの人間の苦悩の根源であり、彼女はかなり典型的な完璧主義的な考えを示していました。理性感情療法で通常行われるように、私たちは脇道にそれることを避け、精神分析家のように過去に遡ることや、患者との転移関係、非言語的表現などにはあまり触れませんでした。これらが重要でないというわけではなく、むしろ患者の混乱の核心である人生哲学とはあまり関係がないと考えるからです。

また典型的なことですが、この患者は多くの患者が示す不安と低い欲求不満耐性の両方を示し、これらは絡み合っていました。そして普通によくあることですが、彼女はそのような感情を感じることで自分を責め、非難し、自己否定していました。

セッションの最初の時点では、彼女は明確に認識していませんでしたが、描写的な文章や感嘆の言葉で自分にこれらの感情を作り出すように言い聞かせていたのです。私は彼女にこれらの文章のいくつかと、それについて何ができるかを示そうと努めました。

 アルバート・エリスは、自己受容感低下・完璧主義は典型的な悩みの根源である、と解説し、そこに早期に辿り着けたことに一定の満足をしているようです。

 一方で、過去の出来事や、クライアントとカウンセラーの関係性、セッション中の非言語表現はあまり重要視していない、と言っています。アルバート・エリスにとっては人生哲学(非合理的なビリーフ)の探索と書き換えが最重要なのでしょう。

 余談ですが、実際に私も、非言語情報を読み間違えることが多々ありますし、過去の経験と結び付けようとしても相手が同意・否定する確率が半々くらいかなあ、という実感ですので、積極的に取り扱わないです。自分事を書いてしまいました。

 後半では、自己受容感低下・完璧主義が不安を生み出し、その結果、「是が非とも目の前の男性を手に入れねばならない、そうしないと自分は無価値」という非合理的ビリーフが、失敗に対する耐性を低くしている(低い欲求不満耐性)と構造解説をしています。

アルバート・エリスの振り返り(後半)

 そして、振り返りの後半です。

他にも、これが短い1回のセッションであったにもかかわらず、彼女が取り組める宿題を出すよう試みました。これまであまり取ってこなかったリスクを取り、積極的に自己実現を図ることを提案しました。

興味深いことに、このセッションでは患者の態度や哲学をかなり強く批判したにもかかわらず、彼女はそれを攻撃として受け止めませんでした。むしろ私が彼女をサポートしていると感じ、将来何ができるかについていくつかのアイデアを得て、楽観的な気持ちで終えることができました。

また典型的なことですが、このセッションでは患者を説得し続け、彼女の考えを批判し、彼女の人生哲学がどのようなものであるかを示すだけでなく、この種の哲学に固執すれば、必然的に否定的で自己破壊的な結果に至ることを示しました。途中で彼女が防衛的になり、私の言うことを完全には受け入れない時期があっても、私は気にせず彼女の基本的な核となるシステム、価値観に対する働きかけを続けました。

もちろん、特に時間の面で制限がありました。例えば、繰り返しのための十分な時間がありませんでした。通常の複数回のセッションであれば、確実に理解が定着するまで同じ内容を繰り返し、患者からフィードバックを得て、特に私が話していることを行動で本当に理解しているか、それを実行しているのか、それとも別の道にそれていないかを確認する時間があったはずです。

彼女が自分自身の評価や一般的な哲学を継続的に再評価し、生涯にわたって再考し続ける必要があることを強調する時間もありませんでした。このセッション中の私との関係や自分自身について語る中で、自分に対する否定的な態度を示していることを詳しく示す時間もありませんでした。

最後に、これは個別セッションだったため、グループセラピーのように、セラピスト以外の人々との具体的な関係を見て、その状況の中で何が起こっているのか、それについて何ができるのかを示す機会もありませんでした。

しかし、このセッションについては希望を持っています。少なくとも患者が自分で取り組んでいけるようないくつかのアイデアを提供できたと思います。なぜなら、セラピストが提供する材料について患者自身が取り組まない限り、心理療法では結局何も起こらないからです。私たちにはどんな魔法もありませんが、特定の触媒となるアイデアや影響を与えることはできます。もし彼らがそれらに取り組み、後で実践すれば、生涯にわたって良い結果を得ることができるでしょう。

 ここから、アルバート・エリスが彼の論理療法セラピーに対してのポリシーが述べられていますね。

  • クライアントの非合理ビリーフを攻撃することで抵抗を受けても、カウンセラーとしては気にせずに価値観・ビリーフへの働きかけを続ける。

  • 単に書き換え後のビリーフを示すだけではなく、旧来のビリーフに固執した場合にどのような帰結になるのかも含めて説明をする。

  • 単回ではなく繰り返しセッションで、ビリーフと行動の関係について繰り返し説明をして理解を定着させることが好ましい

  • グループセラピーであれば、他の人の事例も見聞き出来て参考になるので、更に好ましい

  • 一番大事なのは、クライアント自身が生涯にわたって自力で考え、行動できる力をつけること。そうしないと結局何も起こらない。

 ここまでがセッション内容の和訳と感想になります。次回が最終回で、セッション全体の構造について考えていきたいと思います。

他の記事も読んでみてもいいかな、というかたは。


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