「1on1から最大の価値を得るための極意」佐々木葉子
この本は、1on1を受ける側(部下)のためのものです。1on1ミーティングも各所で活動が大変盛んになっており、1on1を実施する側(上司)のための指南書は数多くあるのですが、そんな中でも異彩を放っていますね。
この本が教えてくれること
この本は、1on1を受ける側が持っているとよい知識や心構え、また、部下から上司に対して積極的に働きかける際に活用したいコーチングスキルが紹介されています。
そもそも、「1on1は何のために受けさせられているのか分からない」という人から、「特定の事が気になっており、上司との1on1が苦痛になってきている」という人まで、役立つヒントが身に付くようになっています。
著者自身が「スキルよりも、抽象度の高いスタンスや考え方のお話が多くなってしまった」と書かれています。まだまだ1on1の定着には時間が必要で、そういった基盤の整備から始めないと上手く行かないことも多いことを示しているのかもしれません。
対話の土壌を耕すには
著者は、対話に参画する二人の関係性の質が、1on1にとって重要であると説きます。
そのためには、まずは1on1を受ける側が、状況に対して他責的な「被害者」の発想ではなく、遭遇した状況に対して常に主体的に行動がとれる「学習者」の視点を持つことが重要である、としています。
たとえば、1on1において、上司が常に上司自身の話ばかりをしてくる。そんなとき、その状況のままで「なぜ、自分に話をさせてくれないのだろう」と「被害者」な立場を取り続けることもできます。もしくは、「たまには、私も話したいことがあるのですが」と主体的な「学習者」として、場を変えて、学ぼうとしていくこともできます。
また、自分の考えをきちんと相手に伝えるためには、相手だけではなく、自分に対しても敬意を表し(自己信頼を高める)、また、自分の考えについて、「こんな事を、わざわざ言わなくても、相手に伝わるだろう」ではなく、きちんと「言語化」をして伝える必要があります。
「学習者」の態度であり続け、自分の思いを「言語化」することで、対話の土壌が整っていきます。
1on1を活用するためのコーチングスキル
1on1では、実施側の上司がコーチングスキルを使用する例はよくありますが、筆者は、1on1を受ける側も、そういったコーチングスキルを積極的に使うことで、対話がより有意義になる、と推奨しています。
質問する
何か疑問に浮かんだことがあれば、気軽に質問をしてみればよいでしょう。「私の理解はあっていますか?」「それって、どうやったら学べますか?」「今の質問をされた背景って、何かありますか?」。質問をする前に、「質問してもいいですか?」「確認してもいいですか?」と同意が取れれば、相手も更に気持ちよいはず、と筆者は提案しています。
フィードバック
フィードバックには2種類があり、例えばオンライン会議で「声が途切れれ途切れですね」などの客観的事実を伝えるもの。もしくは、上司のコメントを受けて、「そう言ってもらえてうれしい(残念な気持ち)」などの主観的事実を伝えるものです。
客観的事実だけではなく、自分の気持ちや意見などの主観的事実も伝えることで、1on1の舵取りをしている=主体的学習者であることができる、と著者は述べています。
リクエスト
上司に行動を少し変えてほしいとき、「一つ、お願いがあるのですが、言ってもいいですか?」「一旦、話を最後までしてもいいですか」など、相手が「YES」と言いやすい工夫をしながら投げかけることは、あなたの自律自走を促すものである、と筆者は言っています。
こういった行動の積み重ねで、周囲に味方を作っていくトレーニングをしている、くらいの大きな気持ちで取り組んでほしい、と筆者は読者の背中を押しています。
まとめ
1on1を受ける側に向けた本書は、その視点に新しいものが含まれています。特に、コーチングスキルは受ける側もどんどんと使ってほしい、との記載は、従来の見方を打ち破るもののように感じます。
是非、この本の極意を使って、上司を味方につけるような1on1を続けていくと、職場などのコミュニケーションは良くなっていくと思います。
