九怨
舞台は平安京。「魑魅魍魎(ちみもうりょう)が夜を支配する」とされた時代に、蘆屋道満の娘・浮月と弟子・咲耶が怪奇に包まれた藤原家の屋敷へ踏み込むという、正統派の和風ホラーゲームです。ジャンル名「怪談アクション」は、当時の和風ホラーブームの中にあっても独自性を主張していました。
この記事は周防パトラゲームアワードで選考の際につかえる資料としてまとめたものです。GeminiのGemとGenspark AI ワークスペース 3.0に手伝ってもらいました。
→親記事:パトラゲームアワード2026
基礎データ:
正式タイトル: 九怨 -kuon-(くおん)
ジャンル:怪談アクション(サバイバルホラー)
対応機種:PlayStation 2
開発・販売(日本): フロム・ソフトウェア
販売(北米): Agetec
販売(欧州): Nobilis / Indie Games Productions
発売日(日本): 2004年4月1日(エイプリルフール)
発売日(北米): 2004年12月7日
発売日(欧州): 2006年4月14日
プレイ人数 1人:定価 6,800円(税込7,480円)
ディレクター:谷口篤士(Atsushi Taniguchi)
アートディレクター:岩井希望(Nozomu Iwai)
国内外の評価・売上: 批評家からの評価は賛否両論で、Metacritic57/100
(レビュー20件)、GameRankings 59%(19件)とやや厳しい数字が並び
ます。しかしその独特の世界観と雰囲気については一定の評価を受けてお
り、「空気感は最高、操作感は難あり」という構図で語られてきました。
注目すべきは現在の中古市場価格です。絶対的な流通本数が少なかったこ
とから現在はプレミアソフト扱いとなっており、ヤフーオークションでの
落札相場は平均2万円前後、最高5.5万円に達することもあります。DL販売
やアーカイブ配信も行われていないため、「やってみたい」と思っても
「無理じゃん」という状況が続いており、ファンの間では「令和での復
活」が長年の悲願となっています。
周防パトラ 九怨実況プレイリンク
【 1 】
ベストパフォーマンス用:CV・キャラクター一覧表
ベストミュージック用:楽曲一覧表: メインコンポーザー:神田有士 / 作曲:高田征典・一木裕樹・末永浩一(いずれもフロム・ソフトウェア所属)
音楽デザインに関する論考: 本作の音楽的な最大の特徴は「音楽をあえて削
る」という設計にあります。「はしぞろえ」以外の場面でBGMがほとん
ど流れないのは、予算の問題ではなく明確なホラー演出の選択です。プレイ
ヤーが一番怖いのは「何かが来る前の静寂」であり、その沈黙を徹底するこ
とで恐怖を最大化させています。環境音の精度が非常に高く、「走ると食
器が鳴る」「遠くで鼓が聞こえる」という生活音の積み重ねが、プレイヤ
ーを常に緊張状態に置く設計は、現代のホラーゲームにも通じる先駆的な
アプローチと言えるでしょう。
ベストシナリオ&マシン&ワード用:切り抜きリンク、見どころ
お化け屋敷やんこんなん 式盤リドル くれはばっかり
十二支盤リドル おじぎしてる はんにゃーらーはら
お坊さん? なんか箱はこんでる! なんか来たよ
パパ何してんの 首になにか刺さってる? どこ?今度は
なんかいっぱい書いて うわぁあ 陽の章
なんかやばそうなとこ もってないけど犬 つれてかれて
ふたごにん おこってる
ベストボス用:強敵・神演出バトル
餓鬼 藤原頼近 仇蟲
道戒 藤原頼近 水曳き
奥方様(大百足) ましら(4乙 幽霊
道戒 道涼 蘆屋道満
藤原頼近(Lord Fujiwara) — 「屋敷の主の成れの果て」助けを求めた当主
が自らボスになって立ちはだかるという逆説的な構造が秀逸です。プレイ
ヤーはすでに屋敷内の惨状から「この人はどうなったのか」という疑問を
持って探索を続けており、その回答が「変異したボスとして対峙する」と
いう形で示されます。物語の文脈を使った恐怖演出の教科書的な例です。
道満の実験の「成果物」として登場する彼の姿は、プレイヤーに道満の真
の恐ろしさを体感させます。
仇蟲(Esnnyo)— 「棚から落ちてくる肉塊」:脅威的な見た目のイ
ンパクトで語り継がれているボス。棚の中からぬめりを帯びた巨大な肉塊
状の存在がずるりと落下してくるという登場演出は、和風ホラーの枠を超
えたグロテスクなビジュアルホラーです。後の章では「普通の敵」に降格
するという扱いも、「あの初見の衝撃は何だったのか」というプレイヤー
の複雑な心理を生みます。
暮葉+道涼の融合体(Kureha merged with Doryo)— 「スキップできるボ
ス」という悲劇:弟子の一人・道涼と、浮月が探し続けた姉・暮葉が「繭
の中で融合させられた」姿がボスとして現れるという展開は、本作の物語
上最も心理的ダメージを与えるボスと言えます。しかも倒すことも回避す
ることも可能というゲームデザインは、プレイヤーに「戦うべきか逃げる
べきか」という倫理的ジレンマを突きつけます。道満の実験の実態が「こ
れ」であるという残酷さが凝縮された場面です。
ベストマシン用:秀逸なデザイン・ガジェット
赤い葛籠(あかいつづら)— 「呪いのコンテナ」:道満が屋敷と神社の各所
に配置した赤い葛籠。「繭が途中で破れないように保護するための容器」
として機能しており、道満の実験の進捗状況を示す物証でもあります。屋
敷のあちこちで不自然に置かれた赤い葛籠を見つけるたびに「ここでも行
われていたのか」という戦慄が走る、空間演出のための最重要プロップで
す
なにあれ 例の箱じゃん
形代船(かたしろぶね)— 「セーブシステムが世界観に溶ける稀有な道
具」:本作のセーブシステムは「水辺のセーブポイントで、専用アイテム
『形代船』を持っていないとセーブできない」という制約つきのシステム
です。紙で作った小舟に厄災(汚れ)を乗せて川に流す、という平安時代
の祓いの儀式「形代流し(みなしながし)」をゲームのUI設計に落とし込
んだこのアイデアは、「システム的な制限を演出に昇華させた」最高の例
として語り継がれています。
呪符(じゅふ)カードシステム — 「フロムソフトウェアの魔法の原型」:
近接武器が極めて攻撃タイミングの難しいゲームにおいて、実質的な戦闘
の主軸を担うのが呪符(符)カードです。攻撃系(火・氷)と召喚系に分
かれており、現在の「ダーク ソウル」シリーズの魔法・奇跡システムとの
類似を指摘する声もあります。カードが有限アイテムという設計も、後の
ソウルシリーズの法術設計を先取りしたように感じさせます。
ベストキャラ用:インパクト・支持率
咲耶(さくや)— 「最もプレイアブルキャラとして機能した主人公」:物語
の魅力という点では浮月が主人公に見えますが、ゲームを動かす推進力と
いう点では咲耶が圧倒的です。強い意志、実力、そして賀茂家出身という
背景が「親兄弟への反発」によって道満という師匠に繋がる経緯は非常に
説得力があります。「陽の章から始めることが推奨攻略順」という設計も
あり、多くのプレイヤーが最初に出会い、最も長く操作するキャラクター
として記憶に刻まれています。
陰陽師たちが乗り込んできたのか 精神統一かっこいい
安倍晴明 — 「最大のサプライズキャラ」:陰の章・陽の章を通じてずっと
「語られる存在」として君臨し、伝説的な陰陽師として一種の期待感を高
め続けた上で、隠しルート「九怨の章」でプレイアブルになる展開は本作
最大のカタルシスです。しかも女性という歴史上ありえない設定と、それ
を裏切らない圧倒的な強さ・スピード・無限呪力という規格外のスペック
で登場。物語全体の「回答」として機能するキャラクターです。
絶対強いけど 余裕を感じるわ
蘆屋道満(あしやどうまん)— 「本作最大の「人間の怖さ」を体現する黒
幕」:鬼でも物の怪でもなく、「人間が信念のために禁忌を犯す」ことの
恐ろしさを体現する本作の真の主役とも言えます。浮月たちの父、咲耶た
ちの師という立場を利用し、自分の娘すら実験材料として使う冷徹さ。物
語の全要素が道満という磁石の周りに集まる構造は、フロムソフトウェア
が後の作品群でも繰り返し追求する「深い動機を持った敵役」の原型で
す。
やっぱり全員やられたよね くれはばっかり
双子の童子(くわのきのふたご)— 「最もトラウマを植え付けたNPC」:ゲ
ーム本編において何も説明されず、屋敷の闇の中に突然現れて「はしぞろ
え~」と唄って消えていく双子。その正体が「桑の木の化身」であり、実
はすべての怪異の根源であったという種明かしは、後から振り返れば伏線
だらけの物語で最も鮮やかに機能する大どんでん返しです。タイトル画面
の絵とセットで、本作のアイコン的存在感を誇ります。
善鬼護鬼:かっこいい!
絢子姫:つれてかれてしまった
砕牙:犬いけ!
道戒:あ、仲間?
道珍:人生二回目の人? あれ。道珍? 穴あいてるところ
え。道珍? 道ちーん!
道涼:こんなんあったっけ みんないる 道涼が
浮月:パパ何してんの おねーたま どゆこと?姉さま?今
双子のせいじゃん! これやっぱ喰われてますよね
セクシーキャラ用:造形美と色気
咲耶(さくや)— 「和の凛美」:黄色い水干(すいかん)という男装に近い
装いが、その中に漂う女性的な線を際立たせます。実は名門・賀茂家の生
まれでありながら、反骨心から道満の元へ身を寄せているという設定は、 「自分で運命を切り拓く」という近代的な強さを宿しています。扇を優雅に
振るいながら呪術を放つ戦闘スタイルは、平安美人のような動的な美しさ
を演出。和の凛とした色気という点で本作随一のキャラクターです。
安倍晴明— 「最後まで謎のベールに包まれた強者の美」:ゲームを通じて
「最強の陰陽師」として語られ続け、その実態が「女性」であったという
衝撃のギャップ。描写される場面は少ないながらも、底知れない呪力と、
道満に対して感情を排した「この問題を解決すればよい」というスタンス
の冷徹さが、独特のフェロモンを放ちます。無限の魔力を持ち長刀を使い
こなすというスペックが、ビジュアルの想像をさらに広げさせる「見せな
い色気」の体現者です。
ベストワード用:ネットミーム・流行語
「千妖万邪皆悉済除 急急如律令(せんようまんじゃかいしつさいじょ きゅ
うきゅうにょりつりょう)」:咲耶(精神集中時):咲耶が体力を回復す
る「精神集中」の際に唱える実際の祝詞(のりと)。「あらゆる妖邪をす
べて除き去れ、急ぎ律令に従え!」という意味を持つ陰陽道の呪文が、ゲ
ームプレイの操作に組み込まれています。 ゲームを繰り返しプレイするう
ちに自然と口ずさめるようになってしまう「刷り込み効果」が強烈です。
電撃オンラインのコラムニストが「咲耶が精神集中する時には『千妖万邪
皆悉済除急急如律令』と唱えるのが私的にポイントが高い」と挙げるな
ど、プレイヤーへの記憶定着率が高い。実際の陰陽道に存在する呪文であ
ることも、世界観への没入感を高めている。ゲームプレイとセリフが最も
密接に結びついた本作の「体験語」です。
「はしぞろえ~ はしぞろえ~」:双子の童子(タイトル画面・屋敷内出現
時)タイトル画面から鳴り響くわらべ唄の中核フレーズ。曲名は「はしぞ
ろえ」で、双子の童子が口ずさんでいる。「御簾」「唐衣」「お化け葛
篭」「桑の実」「きらい箸」といった言葉が並ぶ歌詞全体が、実は道満の
「九怨の呪法」(繭の中での生物の融合儀式)を暗示しており、本作のす
べての謎を解いた後に聴き返すと意味が変わって聞こえる仕掛けになって
います。「一度聞いたら忘れられない」という刷り込み力が異常に高い。
本作のレビューやコラムの多くが「耳に残るわらべ唄」という形でこのフ
レーズを挙げており、本作の象徴語として機能しています。パッケージを
見るだけで脳内で「はしぞろえ~」が流れてくる、というプレイヤーの証
言は枚挙にいとまがありません
「うかつにも。。。殺されてしまったよ。ここでな」
「今度はしっかりみておりますゆえ」
「そなたの父、滅するがよいな?」
「餌は餌らしく、振舞うがいい!」
コミュニティ発祥のミーム
「最終的に安倍晴明がどうにかする」:陰の章・陽の章で積み重ねてきた謎
や絶望が、九怨の章で安倍晴明が登場した瞬間にすべて「最強だから解決
できる」という形で片付けられていく展開を、プレイヤーが総括した表
現。「最終的に安倍晴明がどうにかするゲーム」というツッコミ文句は、
本作を語る時の定型句になっています。RTA in Japan 2024でもこの表現が
使われており、現在も有効なコミュニティ語として機能しています。これ
はゲームの欠点を指摘しているようで、実はそれだけ安倍晴明の「無双
感」が快感だったということの裏返しでもあります
ベストパフォーマンス用:演技の深掘り
久川綾(浮月役)— 「消えゆく希望を声で紡いだ演技」:浮月は本作におい
て「もっとも苦しむキャラクター」です。父を探し、姉が消え、屋敷の惨
状を目の当たりにし、道満の正体を知り、そして最後まで振り回される。
久川綾はこの浮月の、憂いを帯びた消え入りそうな柔らかさと、危機にお
ける震え声の恐怖演技を両立させています。平安の少女という設定に合わ
せた、現代的すぎず古すぎない絶妙な語り口が、固定カメラで描かれる陰
鬱な映像と見事に溶け合っています。
浅野るり(咲耶役)— 「精神集中のシーンが演技の結晶」:本作における最
大の演技見せ場は、咲耶が体力消耗時に唱える「千妖万邪皆悉済除急急如
律令」のシーンです。繰り返し聴くことになるこの一節に、浅野るりは毎
回真剣勝負の緊張感と、若き陰陽師の矜持(きょうじ)を込めています。
長い呪文を詠み上げる際の息の使い方と語尾の力強さが、このゲームのプ
レイ体験そのものを構成する要素となっています。
有本欽隆(蘆屋道満役)— 「穏やかさと狂気の境界を演じる」:本作で最も
難しい役を担ったのは道満役です。娘の父であり、弟子の師であり、禁忌
を犯す黒幕でもある道満を、有本欽隆は表向きの穏やかさの中に底知れな
い狂気を潜ませる演技で表現しています。彼の声が穏やかであればあるほ
ど、その言葉の意味の残酷さとのギャップが際立ち、プレイヤーに「この
人物は信頼してはいけない」という直感を植え付けます。
トリビア
パッケージの童女は「ゲームキャラクターではない」:本作の印象的すぎる
パッケージに描かれた赤い着物の童女。プレイヤーの多くが「浮月か双子
の誰かだろう」と思いながら手に取るのですが、これは画家・智内兄助
(ちない・きょうすけ)氏が1985年に発表した作品「面妖(つらあや
し)」を使用したものであり、ゲーム内の特定のキャラクターではありま
せん。智内兄助は和紙とアクリル絵具を用いた独特の童女画で知られる日
本の画家で、メインビジュアルとして既存の美術作品を起用するという異
例の判断がこのゲームのアート的な格調を一段引き上げました。このこと
は案外知られておらず、知った瞬間にゲームの印象が変わります。
「九怨」というタイトルには二重の意味がある:本作のタイトル「九怨(く
おん)」は、日本語として「九つの怨念」を意味するとともに、「永遠
(くおん)」という別の読みも持っています。これは作中で道満が行う
「九怨の呪法」(九回の融合で永遠の命に近づく儀式)と「永遠の命への
欲望」という物語テーマを一語に凝縮したダブルミーニングです。英語表
記「Kuon」も「九怨」と「久遠(永遠)」の両方を音写できる絶妙な設計
であり、タイトル一つにこれほどの意味が込められているのは、物語のコ
アへの深い理解を示しています。
歴史上の男性・安倍晴明を「女性」に変えた設計と、続編への伏線:本作の
最大のサプライズは、実在した平安時代の大陰陽師・安倍晴明を女性とし
て描写したことです。歴史的に安倍晴明は男性ですが、プロデューサー・
谷口篤士は「女性主人公を重視したい」という方針を持っており、重要な
キャラクターを女性にするという判断がなされました。さらに、本作の物
語はクリフハンガーで幕を閉じます。これは谷口が続編を意図して制作し
たためであり、物語が完全には解決されない宙吊りのエンディングは「続
きは次作で」というメッセージでした。しかし続編は実現せず、そのため
本作は「どこかモヤが残る結末」と語られ続けています。
エイプリルフール発売の意図と、英語版の誤訳問題:発売日が「2004年4月1
日(エイプリルフール)」であることは偶然ではなく、意図的なものとさ
れています。また英語版は日本語版に比べて翻訳の質が低く、「藤原家の
息子の名前(満)が翻訳エラーで省略されていた」というローカライズミ
スが指摘されています。このような翻訳上の瑕疵(かし)が、もともと複
雑な物語をさらに難解なものにし、海外プレイヤーの評価に影響を与えた
可能性があります。
「テンペスト」機能は開発後期の後付け:本作の戦闘における難易度を押し
上げる要因の一つに「走ると体力が減り、付近の敵を誘引するヴァーティ
ゴ(眩暈)状態になる」という通称テンペストシステムがあります。これ
は開発後期になって追加された仕様であり、この追加がゲーム後半の難度
を大きく引き上げ、開発スケジュールを圧迫させた一因になったとも伝え
られています。
成り立ちと歴史
企画のきっかけ:「怪談(Kaidan)」から生まれたホラー:本作の企画は
2003年、フロム・ソフトウェアが「ロスト キングダムスII」の開発を終え
た直後にスタートしました。プロデューサー・谷口篤士とアートディレク
ター・岩井希望のコンビが、「西洋ホラーとは異なるアプローチ」を模索
した結果、行き着いたのが「怪談(Kaidan)」という日本固有の恐怖表現
の形式でした。怪談とは平安〜江戸時代に生まれた、霊や祟りを扱う日本
の古典的恐怖文学・口承ホラーの総称。この「文化的ルーツに立ち返る」
というコンセプトが、舞台設定から音楽設計、セーブシステムの演出化に
至るまで、ゲーム全体を貫くテーマとなりました。
フロム・ソフトウェアのジャンル越境の歴史の中に置く:当時のフロム・ソ
フトウェアは現在と異なり、「特定ジャンルの専門メーカー」ではなく、
RPG(キングスフィールド)、アクション(アーマード・コア)、子供向
け(クッキー&クリームの冒険)など多様なジャンルを次々と試していた
時期でした。そうした挑戦の中で誕生したのが九怨であり、本作はフロム
唯一の「純粋な和風サバイバルホラー」として特異な位置を占めていま
す。
技術的挑戦:制約を演出に変える発想:2004年のPS2というハードウェアの
制約は、一見するとゲームの弱点に見えます。固定カメラ視点、エリア切
り替え時のロード、低解像度。しかし谷口チームはこれらをホラー演出の
ための武器に変換しました。固定カメラは「見えない方角への恐怖」を生
み出し、ロード演出は「扉を開けたら何が待っているか」という間(ま)
を作り出し、PS2の薄暗い表示能力は「圧倒的な闇」という本作の恐怖の
核心そのものになりました。形代船のセーブシステムも同様で、「保存で
きない不便さ」を「平安の祈りの儀式」として昇華させました。これらは
現代の「不便さを逆手に取るゲームデザイン」の先駆的事例として高く評
価されます。
後世への影響:ソウルシリーズとの見えない系譜:本作は当時、続編もリメ
イクもなく静かに市場から消えましたが、2009年以降のフロム・ソフトウ
ェアの「ソウルシリーズ」の成功によって再発見されることになります。
呪符カードをスペル枠として消費するシステムの魔法設計、「物語を文書
や環境から読み解く」叙述スタイル、「強力な敵への弱者としての対処
法」という設計思想。これらは後のデモンズソウル・ダークソウルシリー
ズに脈々と受け継がれたと感じさせる要素群です。また、本作の日本的世
界観・陰陽術・和風の怪異は、2019年発売の「SEKIRO: SHADOWS DIE
TWICE」の直接的な先祖ともいえます。「九怨のDNAはSEKIROの中に生
きている」という海外ファンの評は、あながち的外れではないでしょう。
現在の地位:「入手困難な隠れた名作」として再評価:本作は2024年に発売
20周年を迎え、Reddit等で記念特集が組まれ、「今までプレイしたPS2ホ
ラーゲームの中で最も怖い部類」「雰囲気が最高」という評価が改めて注
目を集めました。RTA in Japan Winter 2024でも取り上げられ、新たなフ
ァンを獲得しています。一方でDL配信なし・アーカイブなし・中古価格は
平均2万円超という「プレイするための壁」が今も続いており、「令和に
リメイク・復活してほしい幻のフロム作品」の筆頭として界隈で語り継が
れています。
出典
Wikipedia(日本語) https://ja.wikipedia.org/wiki/九怨
Wikipedia(英語) https://en.wikipedia.org/wiki/Kuon
フロム・ソフトウェア公式製品ページ
https://www.fromsoftware.jp/jp/detail.html?csm=032
電撃オンライン(はしぞろえ記事) https://dengekionline.com/articles/55121/ 電ファミニコゲーマー(開発レビュー) https://news.denfaminicogamer.jp/horror2016/hr-review022
電ファミニコゲーマー(安倍晴明記事) https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/230908q
ピクシブ百科事典 https://dic.pixiv.net/a/九怨
Kuon (九怨) Game Wiki(Fandom) https://kuongame.fandom.com/wiki/Kuon
TV Tropes https://tvtropes.org/pmwiki/pmwiki.php/VideoGame/Kuon
Comics Beat(英語深掘り記事) https://www.comicsbeat.com/horror-beat-kuon-fromsoftware/
Games For Thought(英語レビュー) https://gamesforthought.com/2024/10/25/kuon-fromsoftwares-forgotten-horror-game/
みんなで決めるゲーム音楽ベスト100まとめwiki https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/8369.html Survival Horror Wiki https://survivalhorror.fandom.com/wiki/Kuon
Reddit(20周年特集) https://www.reddit.com/r/HorrorGaming/comments/1bu27ch/kuon_20th_anniversary/
RTA in Japan Winter 2024(YouTube)https://www.youtube.com/watch?v=lRF5E1FG8WA
ゲーム内資料読み上げ
奥方の日記 壱 奥方の日記 弐
鞠模様の日記 紅葉模様の日記
蚕の記 巻ノ壱 蚕の記 巻ノ弐 蚕の記 巻ノ参
蚕の社縁起 女房の覚書 松葉色の書
道戒の書冊壱 道戒の書冊弐 道戒の書冊参
道珍の書簡 壱 道珍の書冊 弐 道珍の書冊 参
道満の書 巻ノ壱 道満の書 巻ノ弐 道満の書 巻ノ参
道満の書 巻ノ四 道満の書 巻ノ五
二藍色の書
如叡の手記 巻ノ壱 如叡の手記 巻ノ弐
浮月の日記 封鬼奇譚 暮葉の日記
頼近への書簡
頼近邸検分書 巻ノ壱 頼近邸検分書 巻ノ弐 頼近邸検分書 巻ノ参
皺だらけの書付け

