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ayaki_10ru
【アマノ文筆クラブ】ネタがない|ショートショート
タイトル:ネタがない
新年度の始まりは、いつも少しだけ騒がしい。
新しい教室、新しい席、
そして新しい仲間。
けれど、この世界で一番大事なのは、
名前の下に引かれる一本の線だった。
「アンダーバーって、知ってる?」
隣の席のやつが聞いてきた。
黒板には、全員の名前が並んでいる。
でも、何人かの名前の下には、
細い線が引かれていた。
「それがあると、“役割”が与えられるんだよ」
勇者、魔法使い、記録者、案内人。
この世界では、
その役割が人生を決める。
「で、お前は?」
俺の名前には――何もなかった。
「……ネタがない、ってことか」
笑われる。
アンダーバーがない者は、
役割を持たない。
つまり、物語に登場できない。
「終わってんな」
そう言われた瞬間、
黒板の文字が、ゆっくり揺れた。
そして俺の名前の下に、
一本の線が引かれる。
遅れて、表示が浮かぶ。
――未定
教室がざわつく。
「そんなの、聞いたことない」
仲間たちが顔を見合わせる。
俺はその文字を見つめる。
役割がないんじゃない。
まだ、決まっていないだけ。
「ネタがない、か」
小さく笑う。
それならきっと、
これから作ればいい。
新年度は、
まだ始まったばかりなんだから。
了

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