見出し画像

【アマノ文筆クラブ】華のないふたり|エッセイ

どこにでもいる、ふたりだった。
写真に撮っても映えないし、SNSに載せても「いいね」は少ない。
でも、ふたりでいる時間は、不思議と穏やかだった。

外では華やかな声が響く。
キラキラした人たちの話題、成功、恋愛、特別な出来事。
私たちはその輪に入らず、少し離れたベンチに座って、
缶コーヒーを半分こしていた。

「ねぇ、俺たち地味だね」
「うん。でも、地味って悪くないよ」

そう答えると、彼は照れたように笑った。
風が吹いて、どこからか桜の花びらがひとひら、膝の上に落ちた。

華がない――それは、咲き誇ることがないという意味じゃない。
必要以上に飾らず、根を張って、静かに呼吸している。
そんな時間を、私たちは選んだだけ。

誰にも見られなくてもいい。
ふたりだけの季節が、確かにここにある。




*下記企画に参加させて頂きました*



前回の作品はこちらです↓↓↓


最後までお読みくださり、ありがとうございます😊すず

いいなと思ったら応援しよう!

鈴蘭 読んで下さりありがとうございます!励みになります!