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【アマノ文筆クラブ】恋する女は嫌いだ|エッセイ
タイトル:恋する女は嫌いだ
恋する女は嫌いだ。
昔の私は、よくそう思っていた。
好きな人ひとりで機嫌が変わる。
返信ひとつで落ち込む。
会えるだけで世界が明るくなる。
そんな姿が、どこか不安定に見えた。
もっと自分を持てばいいのに、とも思っていた。
恋愛に振り回される人を見るたび、
少し冷めた気持ちになった。
でも、ある時気づいた。
恋をしている人は、
弱くなっているんじゃない。
むしろ、
隠していた感情が表に出ているだけなのだと。
好きな人の前では、
平気なふりが崩れる。
強がりも、
余裕も、
綺麗な理屈も。
恋は、人を少し不器用にする。
だから、ときどき見ていて痛々しい。
でもその不器用さは、
本気で誰かを大事にしようとしている証拠でもある。
私はたぶん、
“恋する女”が嫌いだったんじゃない。
誰かを好きになることで、
自分でも制御できないほど感情が揺れること。
その危うさが怖かったのだと思う。
恋をすると、
自分の知らなかった部分が出てくる。
嫉妬。
寂しさ。
期待。
弱さ。
それは決して綺麗なものばかりじゃない。
でも、人間らしい。
だから最近は、
恋をしている人を見ると少しだけ優しくなった。
ああ、この人はちゃんと誰かを想っているんだな、と。
恋は、とても面倒だ。
だけど、
人を少しだけ本音に近づける力がある。
そのことを知ってから、
私は昔ほど、
“恋する女”を嫌いじゃなくなった。
了

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