見出し画像

【せりふ三題噺】さすがに高すぎる|エアコン.かぼちゃ.非公式|ショートショート

むかしむかし、ある暑い国に、エアコンを守る妖精が住んでいました。
妖精の名前は〈クーラー〉。
彼の仕事は、人間たちが暑さで倒れないように風を届けること。

けれど、ある日。
王様が「節電のためにエアコンを止めよ!」とおふれを出しました。
国中の人がうだるような暑さに耐える中、ひとりの少女がぽつりと言いました。

さすがに高すぎる……」

それは、街に貼られた“かぼちゃの冷風器”の値札を見ての一言。
金のかぼちゃの形をした特製エアコン――値段はなんと、金貨300枚。

少女はお金がなく、夜だけ外に出ては、かぼちゃのつるに触れて風を乞いました。
その姿を見たクーラーは心を痛め、夜な夜なそっと涼しい風を送ってあげました。

ところがある晩、風にのってやってきた青年がいました。
「君が“非公式の王子”って呼ばれてる子?」
「……王子?そんなの知らないよ」

青年は笑って言いました。
「僕も“非公式”さ。だって、王様の許可なんてなくても、人を助けたいと思う心は、本物だろ?」

二人が笑い合うと、空に浮かぶかぼちゃの月がゆっくり輝きを増しました。
翌朝、街に冷たい風が吹き抜け、人々はようやく眠れる夜を取り戻しました。

それ以来、誰もその“非公式の王子”の名を知らないまま、
ただ夜風の中で、かすかに涼しい笑い声が聞こえるということだけが――
語り継がれたそうです。

おしまい


*下記企画に参加させて頂きました*



次の作品はこちらです↓↓↓

前回の作品はこちらです↓↓↓


最後までお読みくださり、ありがとうございます😊すず

いいなと思ったら応援しよう!

鈴蘭 読んで下さりありがとうございます!励みになります!