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watashi_dojokobo
【せりふ三題噺】ほんとにいたんだって!|長靴.ネモフィラ.骨|ショートショート
タイトル:ネモフィラの下の白いもの
「ほんとにいたんだって!」
長靴のつま先で、
私は青い花のあいだをかき分けた。
ネモフィラの海は、
空をそのまま地面に移したみたいに広がっている。
その中に、
ひとつだけ違う色があった。
白。
最初は、ただの石だと思った。
でも、近づくと分かる。
それは、骨だった。
小さくて、軽くて、
でも確かに、何かの一部。
「ほら」
振り返ると、
誰もいない。
さっきまで隣にいたはずなのに。
風が吹く。
ネモフィラが揺れる。
青が、波みたいに動く。
そのとき、足元で何かが触れた。
視線を落とす。
白いものが、
さっきより少しだけ増えている。
一本じゃない。
二本、三本。
まるで、
地面の下から少しずつ浮かび上がってくるみたいに。
「……やめようよ」
声が出る。
誰に向けたのか分からない。
でも、どこかで聞いている気配がある。
「ほんとにいたんだって!」
もう一度、声が響く。
今度は、もっと近くで。
でも、姿は見えない。
ネモフィラの青が、
少しだけ濃くなる。
空と地面の境界が、
曖昧になる。
骨は、もう動いていない。
ただそこにあるだけ。
でも、なぜか分かる。
これは、見つけたんじゃない。
見つけられたんだと。
長靴の中で、足が冷える。
振り返らないまま、
ゆっくり歩き出す。
ネモフィラの海は、
何もなかったみたいに揺れている。
その下で、
何かがまだ、静かに待っている。
了

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