ヨル編第11章 妹よ……
前回のお話
皆さんこんにちは!
前回もう一度立ち直ろうとしたヨルでしたが……
お頭は軽く首を振るだけで、「まずは飯だ。手伝え」と、有無を言わせず火の前に連れ戻された。
食材も少なく、調味料もほとんど無い。それでも、誰かと一緒に食事を作るということ自体が、ほんの少しだけ心を落ち着かせてくれた。
「手際がいいじゃねえか」とお頭が笑った。多分、気を遣ってくれたのだろう。
皆で食事をして、皆で皿を洗った。
その間、ずっと胸の奥では焦りがくすぶっていたけれど、手を動かしている間だけは考えずに済んだ。――本当は、妹の安否を知るのが怖かったのかもしれない。
それでも、前に進むしかない。
お頭の話では、今日は皆がそれぞれ“仕事”の合間に妹を探してくれるという。山の男たちのことを、初めて少しだけ信じられる気がした。
私にはまだ彼らの名も、過去も分からない。でも、それでも、助けられているのは確かだった。

その日、私は細身の男――弓を得意とするらしい――と一緒に山を歩いた。
彼は食べられる草を見分け、罠を仕掛け、弓の弦を確かめながら言った。
「俺の親父も弓をやっててな」と。
その言葉に、お父さんの姿が重なった。
けれど、胸が温かくなったのも束の間、夕暮れまで探しても妹は見つからなかった。
洞窟へ戻ると、ただならぬ気配が漂っていた。
胸騒ぎのまま駆け寄ると――そこに、傷だらけの少女が横たわっていた。
その顔を見た瞬間、息が止まった。
妹だった。
「嘘……イヤ……!」
叫ぶ声が震えていた。
お頭たちが森の中で見つけ、急いで運んできてくれたらしい。
まだ微かに息があった。けれど、その温もりは、抱きしめる間にも確実に消えていった。
「うそ……うそだよ……!」
どれだけ呼びかけても、返事はなかった。

あの夜のことを、私は今でもよく覚えている。
泣き叫んでいた気もするし、何も言えずにただ座り込んでいた気もする。
時間の感覚も、世界の輪郭も曖昧だった。
ただ、胸の奥で何かが崩れ落ちる音だけが、はっきりと聞こえた。
翌朝、妹を埋めた。
お父さんとお母さんの眠る場所までは遠すぎたから、せめて同じ空の下に。
土に触れる指先が震えた。涙はもう出なかった。
これで、私は一晩のうちに家族全員を失ったことになる。
心の中にぽっかりと穴が開いたようだった。
だけど、その空白を埋めるように、別の感情が燃え上がった。
――赦せない。
家族を奪った者を、絶対に赦さない。
いつか必ず、この手で仇を討つ。
そう心に刻んで、私はもう一度、静かに空を見上げた。

失ったものはあまりにも大きくて……
たとえ復讐心でも…無謀な怒りだとしても、それが生きる原動力になるのなら、この時に限っては…いいのかもしれません…?
最後までお読みいただき有り難うございます。
それでは、今日も明日も皆さんにとって良い1日になりますように。
