未来への挑戦、君たちはやればできる!
土木学会という学術論文を発表する学会がある。
開催されるのは一年に一度だけ。
開催場所は全国各地、毎年変わる。
今年は熊本での開催だった。
どちらかと言うと、論文発表の登竜門的な学会だ。
そこに我が社の若い社員が挑むことになった。
彼らは学会での論文発表を経験したことがなく、生まれて初めてのトライ。
若者らしく、果敢に挑戦してくれた。
彼らは毎日繰り返される、ルーティンワークのような現場作業に飽き飽きしていた。
日常を変えたい。
彼らがそう思っていたかどうかはわからないが、論文発表しようというぼくの提案に二つ返事で賛同してくれた。
厳しいぼくの添削に耐え、何度も論文を修正してくれた。
慣れない発表だったが、何度も練習してくれた。
いざ発表の時、彼らから半端ない緊張感が伝わってきた。
明らかに普段通りではない。
しかし、誰かに緊張を和らげてもらうことなんてできない。
舞台はもう始まっている。
ぼくはもう彼らに手を差し伸べることなんてできない。
ひたすら自分と戦うしかない。
ぼくは乗り越えてくれと、ただ願うしかない。
発表は立派なものだった。
ひたすら繰り返した練習が、自信につながったのだろう。
制限時間を越えることなく、堂々とプレゼンをやり遂げてくれた。
質疑応答は各企業の専門技術者から、遠慮なく投げかけられたが、事前に想定問答集を作成していたからか、これも堂々と答えてくれた。
ぼく自身は何度も論文発表を経験し、プレゼンは手慣れたものだ。
しかし、自分の教え子のような若い社員がプレゼンするとなると、勝手が違う。
見ている方も異様な緊張感に包まれた。
自分でやった方が余程気が楽だ。
たった10分のプレゼンだったが、ぼくは肩に力が入って、ガチガチに固まってしまった。
セッションが終わって、質問をしてくれた方々に挨拶に行く。
学会での発表に慣れ方は、それが礼儀だとわかっているが、若い人たちは当然わからない。
ぼくは彼らを連れて、あちらこちらと挨拶回り。
もういい歳なのだが、久しぶりに走り回った。
彼らがどれだけ仕事にやりがいを持ってくれたかは、わからない。
しかし、忙しい仕事の合間を縫って、経験したことのない挑戦をやり遂げた。
彼らがこの経験を糧に未来へと羽ばたいていていくことを、信じてやまない。
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小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。