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想像もしていない事がトラブルになる

長く生きていると、時々トラブルが起きます。
しかしそれって、全く予想もしていなかった所からやってくるのです。
例えるなら、道の穴ぼこに注意して慎重に歩いていたら、空から隕石が降ってきた、みたいな。

私たちは、ある程度のリスクは予測して生きています。
「この道は暗いから、足元に気をつけよう」「この仕事は納期が厳しいから、早めに手をつけよう」
そうやって、目の前に現れた「穴ぼこ」を避けようと努力します。
それ自体は、とても大切で、賢明なことです。

しかし、人生で本当に私たちを打ちのめすのは、その「穴ぼこ」ではありません。
私たちの意識の完全に外側、想定の範囲外から、何の前触れもなく飛んでくる「隕石」なのです。

この記事では、なぜ私たちは「想定外」の出来事に見舞われるのか、そして、その「隕石」にどう向き合えばいいのかを、少しだけ深く掘り下げてみたいと思います。


✅人は思い込みをする生き物

なぜ、私たちは「隕石」の存在に気づけないのでしょうか。
その大きな理由の一つは、私たちが「思い込みをする生き物」だからです。

私たちは、これまでの経験や知識から、自分の中に「世界の法則」のようなものを作り上げています。
「AはBになる」「Cは絶対に起こらない」。そういった無数の法則を無意識のうちに積み重ね、それを基準に物事を判断しています。
これは、脳が効率よく情報を処理するための、いわば省エネ機能のようなものです。
いちいち全ての可能性を検証していたら、前に進めなくなってしまいますから。

しかし、この便利な省エネ機能が、時として私たちの視野を著しく狭める原因になります。

例えば、仕事でいつも使っているシステム。
「このボタンを押せば、こうなる」という経験則が染み付いていると、ある日突然システムの仕様がアップデートされていたことに気づかず、重大なミスを引き起こしてしまう。
あるいは、いつも穏やかなあの人が、まさかこんなことで怒るはずがない、と思い込んで無神経な一言を放ってしまい、取り返しのつかない事態を招いてしまう。

これらは全て、「自分の経験則が、これからも通用するはずだ」という思い込みが引き起こした悲劇です。
心理学でいう「正常性バイアス」もこれに近いかもしれません。
「自分だけは大丈夫」「まさかそんなことは起こらないだろう」と、無意識に危険な可能性を過小評価してしまうのです。

私たちは、自分が思っている以上に、過去の成功体験や固定観念に縛られています。
そして、その「思い込み」という色眼鏡を通して世界を見ている限り、視野の外から飛んでくる「隕石」の軌道に気づくことは、非常に困難なのです。

✅ミスはあるものとして動くのが基本

では、「思い込み」という厄介な性質を持つ私たちは、どうすればいいのでしょうか。
完璧な人間になって、全ての可能性を予測するべきなのでしょうか。

答えは、ノーです。それは不可能です。
私たちが目指すべきは、「完璧になること」ではなく、「不完璧さを受け入れること」です。
つまり、「ミスは必ずあるもの」として、日頃から動くのが基本だと心得るのです。

これは、決して投げやりな態度ではありません。
むしろ、非常に現実的で、しなやかなリスクマネジメントの考え方です。 「自分はミスをしない」という前提に立つと、いざミスが起きた時にパニックに陥り、対応が後手に回ってしまいます。
しかし、「人間はミスをするものだ。自分も例外ではない」という前提に立てば、ミスが起きる前に、それを防ぐための「仕組み」や、起きた後に被害を最小限に食い止めるための「備え」を用意することができます。

例えば、重要なメールを送る前には、宛先や内容を声に出して再確認する。一人で進めていたプロジェクトを、あえて第三者に見てもらい、客観的な意見を求める。
旅行の計画を立てる際には、晴天のプランだけでなく、雨天の場合のプランも考えておく。

これらは全て、「もしかしたら、うまくいかないかもしれない」という健全な疑いを持ち、「ミスはあるもの」という前提に立っているからこそできる行動です。

この考え方は、私たちの心を少しだけ楽にしてくれます。
「完璧でなければならない」というプレッシャーから解放され、「もし何かあっても、次善の策がある」という安心感を得ることができるからです。
道の穴ぼこを注意深く避けることは続けながらも、空から降ってくるかもしれない隕石のために、頑丈なヘルメットを用意しておく。
そんなイメージです。

✅まとめ

私たちの人生は、予測できることと、到底予測できないことの組み合わせでできています。
私たちは日々の「穴ぼこ」に気を取られがちですが、本当にキャリアや人生に大きな影響を与えるのは、しばしば想定外の「隕石」だったりします。

その隕石の正体は、多くの場合、私たち自身の「思い込み」です。
「こうあるべきだ」「こうなるはずだ」という固定観念が、私たちの視野を狭め、変化への対応を遅らせます。

だからこそ、私たちは「人は思い込みをする生き物である」という事実を認め、その上で「ミスはあるものとして動く」という基本姿勢を持つことが大切です。
それは、不確実な世界をしなやかに生き抜くための、最も現実的な知恵と言えるでしょう。

予想外のトラブルは、一見すると不運な出来事です。
しかし、それは同時に、自分の「思い込み」に気づかせてくれる貴重な機会でもあります。
トラブルを乗り越え、自分の世界の「法則」をアップデートしていくことで、私たちはより強く、より賢くなれるのです。

隕石の直撃を100%避けることはできないかもしれません。
しかし、日頃から「何が起きてもおかしくない」と心構えをし、柔軟に対応できる準備をしておくことはできます。
その小さな意識と備えこそが、私たちを絶望の淵から救い出し、次の一歩を踏み出す勇気を与えてくれるはずです。


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