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夫婦観察ログ番外編|オニパパから世のママたちへ|【返歌】

https://note.com/arinkosan151522/n/n0066c7878412


さて。

アクマリンコの記事を読んだ。

正直、胸に刺さった。

刺さったというか、ほぼ全弾命中。

いや、これは反論ではない。
言い訳でもない。

ただ、あの朝、パパの頭の中で何が起きていたのかを、 できる範囲で解剖してみたい。

そう思って、これを書いている。

その名も、オニパパ編である。

さて。

あの朝。

ぼくは洗濯物を畳み、アイスコーヒーを入れていた。

傍から見れば、ゆったりしているように見えたと思う。

実際、そう見えて当然だと思う。

でも、頭の中はまったくゆったりしていなかった。

朝、目が覚めた瞬間から、脳はすでに小さな会議を開いている。

今日の仕事の段取り。
昨日言われて忘れていた用事。
子どもの持ち物。
天気。
時間の逆算。

これが、次から次へと、無音のまま押し寄せてくる。

これは言い訳ではなく、単純に脳の仕組みの話らしい。

朝の時間帯は、人間の脳、特に前頭前野の働きがまだ本調子ではないという研究がある。

前頭前野というのは、感情にブレーキをかけたり、 言葉を選んだりする部分。

寝起きから数十分〜数時間は、ここの働きが鈍い。

つまり、朝は誰しも、多かれ少なかれ「ブレーキの甘い状態」で動いている。

そこに、次から次へとタスクが降ってくる。

洗濯物。
コーヒー。
自分の身支度。
子どもの支度。
保育園の時間。

一つひとつは小さい。

でも、脳にとっては「小さなタスク」ではなく、 「小さな決断」の連続に見える。

心理学の世界には「決断疲れ(decision fatigue)」という言葉がある。

決断を重ねるほど、脳のリソースは削られていく。

朝という時間帯は、実はこの決断の消費がいちばん激しい時間帯でもある。

そこに、

「おむつ替えて」

という、追加の一言が飛んでくる。

正しい。
やるべきこと。
100%こちらの落ち度。

それは頭ではわかっている。

でも、その瞬間のぼくの体の中では、 もう一つ別のことが起きていたと思う。

心理学者ジョン・ゴットマンの夫婦研究に、 「フラッディング(flooding)」という概念がある。

これは、対立場面で心拍数が急上昇し、 体が「攻撃されている」と錯覚するほどの 生理的な過覚醒状態に入ることを指す。

そしてこの現象、実は男性の方が起きやすく、 かつ回復に時間がかかる傾向があるという報告がある。

つまり、こちらの体感としては、

「責められた」 「追い詰められた」 「今ので、もう無理」

という信号が、ほぼゼロコンマ数秒で全身を駆け巡っている。

これは正当化ではない。
ただの、内部で起きていた現象の報告である。

さらに、もう一つ。

男性は幼少期から、 「弱音を吐くな」 「感情を出すな」 「黙ってやれ」

という育てられ方をされてきたケースが多い。

これによって、感情そのものを言語化する回路が、 女性に比べて発達しにくいという指摘がある。

いわゆる「男性のアレキシサイミア傾向」。

感情がないわけではない。

ただ、それを言葉に変換する前に、 体が先に反応してしまう。

その結果出てくるのが、

舌打ち。

そして、

「は?」

という、たった二文字。

これは、はっきり言えば、 言葉ではなく、悲鳴に近い。

追い詰められた動物が、 低くうなるのと同じ構造。

かっこよくもなんともない。
ただの未熟さである。

そしてもう一つ、正直に書く。

ぼくは元々、ワーキングメモリーがあまり強くない。

複数のタスクを同時に頭の中で保持しておくのが、 人よりだいぶ苦手だ。

洗濯物を畳みながら、 コーヒーを入れながら、 今日の予定を組み立てながら、

そこに新しい情報が飛んでくると、 処理落ちを起こす。

処理落ちした脳が、 とっさに出す言葉は、たいてい短い。

「は?」

これは、思考ではなく、 バグった時のエラーメッセージのようなものだと思う。

さて。

ここまで書いて、思う。

これは、免罪符にはならない。

理由がわかったところで、 言われた側のダメージは消えない。

舌打ちされた妻の中に、 静かに積み立てられていく不満。

それは、事実として存在する。

理由があることと、 許されることは、別の話だ。

でも、パパ側にも、 言葉になる前の、小さな嵐がある。

それだけは、書いておきたかった。

もし、あの朝に戻れるなら。

コーヒーを一旦置いて。
深呼吸を一つして。

「ごめん、今行く」

そう言えるパパでありたい。

理屈はわかった。
仕組みもわかった。

あとは、それを言い訳にせず、 次の一回に活かせるかどうか。

そこだけが、本当の分かれ道なんだと思う。

以上、夫婦観察ログ番外編。

オニパパより、反省を込めて。

いや、反省だけじゃなく、 次はちゃんと「うん、替えるね」と言いたい。


育児と自分の未熟さに向き合うパパの観察記録として書いています。



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