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時間泥棒・佐木山登志花を追え!──3ヵ国で時間術本を出版した著者が伝える“あなたの時間”を守る方法



窓の向こうの夕空を見てはっとする。
1日中動き回っていた気がするのに、──やるべきことがなにも終わっていない。

これは結婚したばかりのころの、わたしの話だ。


家で過ごしていると、いつのまにか日が暮れている謎現象に悩まされていたわたしは、そのひとつひとつを追ってみることにした。

職場にいるときはこんなことがないのだ。
自分の仕事も、そのあとに押しつけられた雑務も、すべて片づけてから帰ってくる。なのに家だとまったく進まない。なぜなのか。

あのころはまだ、言語化できなかった。
けれど10年以上、時間の使い方と本気で向き合ってきた今なら言える。

わたしの時間は──盗まれていた。


わたしの時間は「佐木山登志花」に盗まれていた。


時間術についての本を国内外で出版している。

代表作は20代で出版した『時間が貯まる 魔法の家事ノート』。

主婦業とパートをしていたころのわたしが、どうすれば暮らしをらくにできるのか考えてつくった「家事ノート」について書いた本だ。

最終的には9刷となり、アプリ化や手帳化もしていただいた。


過去の自分のように悩む主婦に伝えたくてつくった本なので、この書籍自体は「家事や家庭内の雑務」に特化した内容になっている。

けれどもこの考え方自体は、じつは、仕事にも勉強にも使える。どんな職種でも応用できる魔法の方法なのだ。

むしろ、家事ノートが生まれた背景には、過去に勉強や仕事でやってきたことが原点になっているのかも。

ビジネスにも使えるこの考え方を、今回は「家庭」ではなく「仕事」の視点から紹介していこうと思う。


佐木山登志花とは何者なのか


まず、大前提として伝えたいのは、仕事でも家事でも、日常のあらゆるシーンの中に「時間泥棒」が潜んでいるということだ。

わたしはこれを「佐木山登志花さきやま としか」と呼んでいる。

ひとことで言うと、この時間泥棒は「何度もくり返す行動」を指している。

具体的にいうと、

・探す
・決める
・やり直す
・迷う
・取りに行く
・調べる
・考える

この7つの頭文字を取って「さきやま としか佐木山 登志花」。


時間をこっそり奪っていく、現代の7大泥棒だ。

たとえば、暮らしや仕事のシーンでこんなことはないだろうか。

・ToDoが多すぎて手が止まる
・Instagramを開いて保存レシピを探すはずが、いつの間にかリールを見ている
・前回使ったファイルがどこに保存されていたか思い出せない
・あれもこれもと読みかけの電子書籍ばかりが溜まっていく
・メールの敬語や文例をその都度検索している


思い当たることがあれば、あなたもすでにぬすまれている。


時間泥棒は、派手に現れる怪盗ではない。
忍者のようにこっそりと忍び込んでいる。

派手にではなく、静かに奪われていくのだ。なくなったことにすら気づかない。痕跡がのこらないのだ。

だからこそ、「いろいろ動いていたはずなのに、なにも終わっていない」ということが起こり得る。

ではどうすればいいのか。

まずは、自分が「なにに時間を奪われていたのか」に気づくこと。
これがファーストステップ。被害状況がわからないと対策は立てられないのである。

ここでは、時間泥棒「佐木山登志花の生態」と、2つの捜査方法について紹介していきたい。


あなたの身近にいる佐木山登志花


佐木山登志花は変装の名手である。
七色の変装をしている。

まず知っておいてほしいのは、時間泥棒は「たのしくない存在」だということ。けれども──厄介なことに、「なにがたのしくないか」は、人によってちがう。

たとえば朝、クローゼットの前で服を選ぶ時間。
「どれにしよう」と迷うことを、あなたは楽しめるだろうか? それとも、面倒に感じるだろうか?

その答えはきっと、人によって分かれる。

つまり、時間泥棒の正体とは「自分にとってたのしくない、くり返される行動」だ。
“これってムダかも”と思った瞬間──それが、佐木山登志花の仕業である。

ここでは、”わたしにとってのムダな時間”を例にあげつつ、日常に七変化しながら潜む彼女を追っていこう。


探す


同じものを何度も探してしまうこと。物理的なモノだけじゃなく、ファイルや情報も含む。

例:
・前回使ったファイルがどこに保存されていたか思い出せない
・デスクに積まれたクリアファイルの中から必要な資料を探している


決める


その場で0から考え、迷い、決断していくため、判断に時間がかかる。

・請求書や書類のファイル名ルールを毎回決めている
・「今日は何から手をつける?」と毎朝迷ってから始まる


やり直す


初期設定・工程・作業を何度もやり直すことを指す。

・プレゼン資料を一度仕上げたのに「やっぱり方向性が違う」と全修正になってしまう
・画像サイズや表記ルールを忘れてやり直す


迷う


これは優先順位や対応の順番がなかなか判断がつかないということ。

・ToDoが多すぎて手が止まる
・「先に返信すべきメールはどれ?」と未読の山を前に固まる


取りに行く


何度も同じものを取りに行くムダを指す。応用編として「すぐに足りなくなって買いに行く(発注する)」もあるかもしれない。

・毎回備品の文具を取りに行く
・電話番号や住所を毎回名刺入れから探している


調べる


何度も同じことを検索したり、確認したりすること。

・メールの敬語や文例をその都度検索している
・特定のExcel関数(VLOOKUPなど)を毎回ネットで調べる


考える


毎回その場で設計・段取りを考えること。

・顧客からのよくある質問に、都度回答を一から考えている
・定例のメール配信でも文面・構成を毎回ゼロから考える

佐木山登志花の生態については伝わったと思う。では、あなたの仕事を早くするために、実際の「捜査」に取りかかっていこう。


だれでもできるアナログな捜査方法


これまでのわたしは、暮らしや仕事上で佐木山登志花を見つけたとき、紙に自分で書き込んで”捜査”をしていた。


アナログ捜査のやり方は3ステップ

A4用紙が1枚あればいい。
ここに「現在」「過去」「未来」を書き込んでいく手法だ。

A4用紙は縦長に4分割されるような四つ折りにする。

1.左側に「困っていること」を書く(現在)
2.そこからやじるしを引いて、その「理由」として思い当たることをメモ(過去・現在)
3.次に、理由からさらにやじるしを引いて、まず試したい「解決策」を記入する(未来)

なお、四つ折りにした理由は、「3」の工程のあとに、さらに具体的なことを思いつく可能性があるからだ。その場合、4つ目の欄に記入する。

困っていることの「理由」は「さ・き・や・ま・と・し・か」のどれにあたるかを考えるとすっと思い浮かぶので試してみてほしい。

ここからは3つのケーススタディをしていこう。。


【ケース1】請求書や書類のファイル名ルールを毎回決めている

これは「決める」。

ただ、よく見ると「考える」も含まれている気はする。そして結果的に「探す」にも影響を及ぼしているようだ。
「佐木山濃度」が高くなると効率はどんどん落ちていく。逆に言うと、解決したときに守られる時間も増えるのだ。

分析が終わったら、解決策を探していこう。

▼こんなことを実践している

ファイル名ルールを決めたら、それを「辞書登録(単語登録)」しておく。

すると、「ふぁいるめ」と入力しただけで「WP_Sheet図解テンプレ_CAT2_NAME_TAG」というようにルールが表示されるようになる。

▼削除と入力でかんたんに同じファイル名がつくれる。

WP_Sheet図解テンプレ_CAT2_NAME_TAG

W_Sheet_暮らし_子どもの時間割_子育て 育児 時間 使い方 時間割




【ケース2】プレゼン資料を一度仕上げたのに「やっぱり方向性が違う」と全修正になってしまう

これは「やり直す」。

似たケースとして、わたしは書き上げた原稿がすべてやり直しになったことがある。結果的に、もう一度「調べる」「考える」「迷う」といった時間泥棒が蓄積されていった。

分析が終わったので、解決策を探していく。

▼こんなことを実践している

・たたきの段階(あるいは4割完成したところ)で、方向性を確認しておく
・最初に複数案を出す
・思考フローをつくっておく

たたきの段階(あるいは4割完成したところ)で、方向性を確認しておく」については、毎回行なうのであれば文例をテンプレート化しておくといい。辞書登録するか、専用のメモ帳をつくってコピペできるようにする。

これで「迷う」「決める」時間から解放される。



【ケース3】特定のExcel関数(VLOOKUPなど)を毎回ネットで調べる

これは「調べる」。

社会人1年目は、これを何度もやっていた。そして思った。「検索して目的のページを探すよりも、ノートに書いておき開くほうが速いのでは……?」と。

そこで、「My関数辞書」をつくることにした。つくりかたを紹介しておく。


1.手のひらサイズのノートを1冊用意する。

2.1ページ=1関数にする。

3.一番上に「関数の名前と意味」を書く。

VLOOKUP関数 ─ 表の中で検索して答えを取り出す関数

4.次に、公式を書く。

=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索方法)

5.具体例があれば書く。ひと手間かかるけれど、「ひと目でわかるように」書いておくことで、これからもう二度と検索しなくていい。


▼この「My辞書」は、こんなシーンで活用できる。なお、紙のノートではなく、テキストファイルなどでも◎。

◆表記ルール辞書
例:「おこなう → 行なう」「かげつ → ヵ月」「かたづけ → 片づけ」など、文章を書くときの細かいルールをまとめると校正時間が減る。

◆言い換え辞書
例:「効率的→スムーズに/無理なく」「方法→やり方/メソッド」「時短→手早く」
硬い言葉を言い換えたいときの辞書に。

◆ショートカットキー
頻繁に使うショートカットや操作手順をまとめておく。

3つのケーススタディを紹介した。
こんなふうに「なにに時間を奪われているか」とその「理由」がわかれば、自分で解決策を導きやすくなる。

けれども、このアナログ捜査には、問題があった。

「解決策」が思い浮かばないこともあるのだ。

そこで、現代だからこそできる最新の捜査方法を紹介する。──それは「AI捜査」だ。



AI時間警察を活用した捜査方法


AI捜査はとてもかんたんだ。仕事がなんとなくうまくいかないなというときに、AIに「プロンプト」をコピペして打ち込むだけ。

これはわたしが書いたプロンプト原案をもとに、実際にAIに何度か試してつくった最終版。

以下のアミカケ内の内容をそのままコピー&ペーストするだけで、AIがあなたの仕事のなかに潜む「さきやまとしか」から「解決策」まで探し出してくれる。

もちろん、あなたの仕事に合わせて内容は微調整してもらうことが可能。


AI時間警察への通報プロンプト

🚨AI時間警察に通報するプロンプト

あなたは「AI時間警察」です。
私の仕事の中に潜んでいる時間泥棒「さきやまとしか」を特定してください。必要に応じてヒアリングを行い、今すぐ可能な改善策があれば提案してください。

【🕵️‍♀️時間泥棒「さきやまとしか」とは】
「何度もくり返す行動」によって、気づかぬうちに時間を奪う存在です。

具体的には以下の7つ:
・さ→探す (どこにあったっけ?)
・き→決める(どれにしようか?)
・や→やり直す(やっぱり違った)
・ま→迷う (今やるべき?)
・と→取りに行く(あっちの部屋にあった)
・し→調べる(設定どうやるんだっけ?)
・か→考える(後回しでいい?)

この頭文字を取って「さきやま としか」と呼んでいます。

【🎤まずヒアリングをお願いします】

以下の中から、今日の仕事の状況として最も近いものを選ばせてください。

1.〆切に間に合わない
2.〆切を忘れる
3.優先順位が決められない
4.もっと時間を有効につかいたい
5.なぜかなにも手につかない
6.毎週同じことで時間がかかっている気がする
7.気づくと別のことをやってしまっている
8.その他
→ 選ばれた番号に応じて、必要な業務内容をヒアリングしてください。

【🔍目的】

・どの「さきやまとしか」が出没しているか特定
・できれば仕組み・環境・ツール・考え方など、改善策も一緒に提示してください


AI時間警察との公開捜査

ここでは、公開捜査としてわたしの仕事の悩みを捜査した一連の流れを紹介したい。

仕事の悩みは……

月2回のコラム執筆の仕事の〆切や進捗を把握しにくいこと。
おもな原因は:
1.調べる ─ 納品日時が月によって変わるため毎月確認が必要
2.探す ─ 進捗確認ができるのが、現状PCか紙の手帳のみ。出先や子どもの体調不良時に調べにくい。
3.考える ─ 公開日がここだから、納品はここ……と毎月考える作業が発生


1.プロンプトを入力した際のAIからの返答

わたしのAIはノリがいいので、
同じ文言にはならないかもしれない。


2.わたしの回答

ここで詳しく書いているが、番号だけ選んでもOK。するとヒアリングがされる仕様。

あえて整理したり箇条書きにせず
頭に浮かんだものをだらだら書いてみた


3.AI警察からの状況報告

改善提案もしてくれる。
Googleカレンダーの捕捉は知らなかった!



4.アフターケア

具体的な改善策について、もう少し詳しく聞いてみた。

コピペして質問するだけ。

↓こんな解説が届いた。

ここまでたったの数分。

アナログ捜査で時間をかけていたころと比べると、とてもスピーディーに問題点探しから解決策までが導かれるようになった。

けれども、たまにはアナログ捜査をやることもおすすめしたい。

AIはあまりにも便利すぎる。
自分の頭で考えるちからを伸ばしていかないと「さきやまとしか」がいなくなっても、自分でクリエイティブに考えることができず、仕事が遅くなるかもという危惧がある。


最後に


この7つの時間泥棒を思い出しやすいように、「さ・き・や・ま・と・し・か」というキャラクターを考え出した。
けれども、それでも「やってなんだっけ……?」と迷ってしまう人もいるかもしれない。

そんなあなたは、この表を印刷するかメモして手元に置いてみてほしい。
すぐに捜査に取りかかれるようになるはずだ。


「さきやまとしか」をひとりずつ捕まえていくと、ぬすまれていた時間が戻ってくる。1日の長さは変えられないけれど、濃度がおどろくほど変わるので、ぜひ試してみてほしい。



▼経歴や著書はこちらから。


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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡